二人のアイドル2
アイドルの話の続きを兼ねた、主人公たちの強さに関する説明回です。
モチとアズキは三人と別れ、オーディション会場の案内板に従って移動した。
到着したそこは、もうすぐ開設される娯楽エリアにほど近い商業ビルの一つで、プレイヤーが用もなく訪れることがまずない、隅に位置する場所だった。
ビルの玄関の前には『受付』と張り紙が貼ってある簡素なテーブルと椅子があり、そこに運営の人間――イベント担当のプルートが座って顔を埋め、居眠りしていた。傍には『オルオンアイドルオーディション会場』と書かれた大きな看板が立て掛けられている。
二人がプルートの前まで来ても起きる気配はない。
「……完全に寝てるな」
「だね。すいません、起きてください」
モチが肩を揺すると、プルートはすぐに目を覚まして体を起こし、大きく伸びをしてから欠伸をした。
「……あー……こんにちは~。アイドルオーディションに参加する人ですかー? ふぁ……」
「はい、そうですけど」
「なんか手続きとかいるか?」
「あー……ん? ちょっと待って。んんっ!?」
寝惚けていたプルートだが、目の前にいるモチとアズキが色と目つき以外は瓜二つなことに気付き、目をパチクリとさせて見比べた。
「……君達、双子か何かなの?」
「違います」
「ちげぇよ」
「じゃあ、なんでそっくりなの? 不正でもしてアバターをコピーでもした?」
「してねぇよ。そんなことしてオーディションに出たら、一発でバレるだろ」
「そうですよ!」
面と向かって不正を疑われれば、流石のモチも少し怒った。人として表情にしっかりと出ているが、尻尾が上がって毛が膨らみ、ゆっくりとだが振られていた。
だが、プルートはその程度で怯えたりびびったりはしない。運営の人間として毅然と振舞う必要もあるが、それ以上に、ゲーム内での自分の強さに絶対的な自信があるからだ。
威圧してやろうかとも思ったが、これからアイドルとして協力するかもしれない相手に悪い印象は与えられないと寸でのところで考えに至り、柔和な態度を取ることに決めた。
「……まぁ、そうだよね。ようこそアイドルオーディションへ。早速だけど、オーディション参加の確認をするね」
プルートはメニューを開き、運営専用の項目から今回参加するプレイヤーの個人情報一覧を開いた。勿論、これらはプレイヤーには見えない仕様になっている。
それから、モチとアズキを指さして指定し、一覧の中にある人物と一致するかどうか照会した。
すると、一覧から二人の個人情報が一致した。
書類上では、二人は完全に赤の他人だった。
「ふむ……確かに参加者だね。失礼を承知で聞くけど、本当に双子じゃない?」
「はい」
「ああ」
同時に返事をする二人を見定めるように観察するプルートは質問を続けた。
「生き別れの双子って可能性は?」
「無いと思います。自分で言うのもなんですが、裕福な家庭で育ちましたから」
「あたしも似たようなもんだな」
「……じゃあ、今回のアイドルオーディションに二人一緒に来たのも偶然?」
「はい」
「ああ」
「……ログインした時間が全く一緒なのも?」
二人の顔が少し気まずそうにした。運営の人間に少し揉めたことを言うべきか迷い、お互いにどう答えるかチラリと見合って、意思が通じ合って頷いた。
「……はい」
「……ああ」
同時に答え、二人の様子を観察していたプルートはある結論に至った。
これはもう運命だね!!
プルートは運命というモノを認識し、信じている人間である。二人が一緒になり、こうしてこの場に来たことそのものが導かれたものであると判断した。
あとは、直感からこの二人が気に入ったというのもある。
「うん……それじゃあ、案内するね。私について来て」
笑顔になったプルートは受付の仕事を放棄して二人を中に招き入れ、壁に貼り付けてある案内を無視して移動する。
「あの、あっちでは?」
「どこに連れてく気だ?」
当然、二人から疑問として声が上がる。
「まぁまぁ、黙ってついて来て」
二人は顔を見合わせ、そのままついて行くことにした。何となくではあるが悪い感じはしなかったからだ。
エレベーターに乗り込み、押したボタンは最上階付近。
到着して降りれば荘厳な雰囲気漂う通路があった。会社でいう代表取締役や重役がいそうなフロアだ。
そのうちの一つの扉の前でプルートは止まった。
「はい、ここで待っててね」
そう言ってノックをし、返事を待たずに開けて入るように促し、二人は中へ入った。部屋の中は赤い絨毯が敷き詰められた広い書斎のような場所で、奥には高級感漂う大きな木のデスクと皮の椅子があり、背後の壁が一面窓ガラスになっていた。
ただ、この部屋には似つかわしくない物が幾つか設置されていた。ビリヤード台、全自動麻雀卓、チェス盤のあるテーブル、将棋盤のあるテーブル、カジノテーブル……その他色々、相手がいれば暇を潰せそうなものが並んでいた。
そのうちの一つ、奥の四畳半の畳で将棋盤を挟んで二人の女性プレイヤーが座布団に座っていた。
片方の女性は和風ファンタジーでよくある改造した和服を身に纏っていた。白拍子が着ていた紅白の水干を元に、和風な学生服にしか見えないコスチュームになっている。その構造は白いシャツと紅いプリーツスカートの上から、紅白の水干の上部分だけを上着にしたような服装だ。足には白い足袋と漆塗りの下駄を履いている。
その女性は額から緩やかなカーブを描く白い角を二本生やした種族オーガの少女で、体型はミグニコ並みに幼い。艶のある黒く腰まである真っ直ぐな長髪は白いリボンによってローポニーテールで纏められている。どこか色気のある童顔をしており、赤い瞳に縦長の瞳孔の目は、垂れていて幼さと優しさが感じられる。だが、一番の特徴は眉が太いことだろう。
もう片方の女性は星条旗柄のビキニの上から青いベストを羽織り、青いパンツに青い革靴を履き、頭には星条旗柄の小さな帽子が斜めに付いている。
白く透き通った肌を持つその女性は、ウェーブの掛かった長い金髪にサファイアのような綺麗な青眼をしており、頭の上には種族ケモミミであることを示す大きな白いウサギの耳が、お尻の上あたりには丸いウサギの尻尾が生えていた。朗らかさを感じさせる顔つきをしており、体はボンキュッボンという表現が的確な体型だ。身長も175㎝と高く、正にハリウッド女優のようだ。
二人は勝負の最中だったようで、オーガの少女がパチン、と駒を置いた。
「王手じゃ」
「ノオォォォ!」
幼さを感じられる声で宣言したオーガの少女はしてやったりと笑みを浮かべ、ウサギのケモミミの女性は手詰まりになったことで叫びながら頭を抱えた。
「ふっふっふ、これでお主の連続十連敗じゃのう」
「ムムム……オセロと将棋は負けを認めマス。でも次はそうはいきません! チェスで勝負デース!」
「ふっ、よいぞ。わしはチェスも嗜んでおる」
二人が立ち上がって移動を始めようとしたところで、入り口で呆然としていたモチとアズキに気付いた。
「ん? なんじゃお主ら……双子?」
「違います」
「ちげぇよ」
モチとアズキが同時に否定し、オーガの少女は一瞬、双子なのかそうでないのかと判断に迷った。
「……まぁよいわ」
「随分可愛らしいデスネー。もしかして、オーディションに来て受付の人に案内されたのデスカ?」
「はい、そうです」
「そういうあんたらもか?」
「その通りじゃ。そっちの麻雀卓で話そう」
四人が麻雀卓に座ると、オーガの少女から口を開いた。
「まずは自己紹介からじゃな。わしは種族オーガのスズカというものじゃ。こっちのアメリカンな女はウサメリカじゃ」
「ハァーイ♪ 種族ケモミミ、ウサギとアメリカ、合わせてウサメリカ! よろしくデース!」
「初めまして、ケモミミのモチです」
「アズキだ」
二人の名前を聞いたウサメリカの脳内で安易な連想が自然と生まれた。
「モチとアズキ……おしるこデスネ!」
「やっぱり、そう連想しますよね」
モチはうんうんと頷き、アズキはもう隙に呼ばせることに決め、スズカの反応はどうかと目をやった。
「おしるこ……このゲームの中ではまだ食べてないのう」
呑気にそんなことを呟き、アズキは小さく溜息を吐いた。
その溜息を、スズカは目敏く察知した。
「む、アズキよ。どうしたのじゃ?」
「なんでもねぇよ。あたしだけ場違いな気がしただけだ」
ジッと観察したスズカは、アズキが何を思っているのかを察した。
「……そうとも限らんぞ。少なくともわしは、お主と同じタイプの人間だと思っておる」
「……そうかよ。で、あたしらはなんで他の場所に案内されたんだ?」
「そうじゃったそうじゃった。話を戻そうかの」
スズカの言葉に、場の雰囲気が少し張り詰める。
「わしら四人は、他の参加者たちと分けられたとみるべきじゃろう」
「それはわかってる。その理由が気になる」
「そうじゃな。わしなりに考えて三通り浮かんだ。一つ目は、採用する気が無い論外じゃから最初から除外することにした。これはまぁ、流石に失礼過ぎるから可能性は低いじゃろう。二つ目は、他の参加者と問題を起こすと思われて、先手を打って分けられた。わしとウサメリカは……まぁ今日出会ったのじゃが、妙に馬が合うての。見た目は全然違えど、二人組で参加すれば印象に残りやすいのは確かじゃ。他の参加者から疎ましく思われて、余計ないざこざが起こるかもしれん。だから分けた。お主ら二人も瓜二つの外見じゃ。他の参加者からすれば異様に映るじゃろう」
「妥当な考えだな。最低でも変な目で見られるのは確実だ」
「三つ目じゃが……自惚れに聞こえるかもしれんが、採用を前提にオーディションする為に別の場所で待機させた。という考えもある」
「よくある手法だな」
「そうじゃの」
「デモ、もし採用を前提に分けられたのならサイコーデスネ!」
「そうですね。アズキと一緒にコンビを組めるなら、素敵だよ」
明るく純粋な二人は希望的観測でしかない三つ目の考えだけを信じ、スズカはアズキに向かってやれやれと肩を竦めて見せた。
お互い相方の保護者的な立ち位置であることがわかったアズキはフッと小さく笑い、全自動麻雀卓に手を触れて起動した。
「話も終わったことだし、このまま麻雀やろうぜ」
「それはよいな。ウサメリカ、モチ、お主らやったことはあるかの?」
「ノー。未経験デース」
「私も未経験です。二人はやったことあるの?」
「別のゲームで息抜きにな」
「わしも似たようなものじゃ。心配せずとも、わしらが手取り足取り教えよう」
「……スズカ、今の言い方、なんか妙に色っぽくなかったか?」
「気のせいじゃ」
スズカとアズキが二人の麻雀のことを教えた。アイドルオーディションに参加しようするだけありその記憶力は非常によく、すぐにルールを覚えて勝負が始まった。
始めは負け続けた二人だが、ある程度の経験を得ると要領を覚え、勝負の行方はわからなくなった。
結果として、勝率は全員が分け合う形になった。
スズカは四人の中で最も老獪であり、鎌を掛けたり平然と嘘を吐いたりなど盤外戦術を駆使した。勝てないとみるや即座に勝負から降りてのらりくらりとやり過ごした。
アズキは手持ちと捨て牌から理詰めで進めるが、勝負勘もしっかり持っており、勝ったり負けたりしていた。
ウサメリカはとにかくノリと勢いでやり通した。四人の中で最も勘が鋭く、ここぞという場面では的確に勝負を仕掛けたり降りたりした。
モチは三人の中で最も弱かった。が、それを補えてしまうほどの強運の持ち主であることが何度もやっているうちに判明し、たまに始まってすぐにとんでもない役を出してスズカとアズキを驚かせた。
勝負続きで全員が飽き始め、アズキがインベントリからハーブシガーの箱を取り出そうとしたところで、部屋の扉がノックされてすぐに開かれてプルートが姿を見せた。
「みんなお待たせ。これからオーディションを始めるからついて来てね」
「ようやくデスネ!」
「長かったのう」
「行こう、アズキ」
「チッ、吸いそびれた」
四人はプルートの案内でエレベーターに乗り、最上階に到着した。最上階の通路からは屋上への道と、広々とした多目的室の扉があるだけだ。
多目的室には何の案内も無く、プルートがノックしてすぐ開けて中に入った。
奥には簡素なテーブルと椅子があり、そこにゲームプロデューサーのアースと、広報担当のネプチューンが座っていた。テーブルにはそれぞれの役職と名前が書かれた紙が貼られていた。
「連れて来ましたよ」
「わかりました。時間もありませんのですぐに始めましょう」
アースの言葉にプルートは頷き、二人と同じように座った。
中に入った四人はテーブルから僅かにしか離れていない、面接にしてはやけに距離の近い場所にある四つの椅子の横に立って待機した。
緊張した空気が流れる中、今回の面接の進行を務めるネプチューンが口を開いた。
「そう緊張せずに、みんな座っていいよ」
手でも座るように促し、四人は「失礼します」と言って椅子に座った。ウサメリカもスズカもキャラ作りをしない、真面目な顔をしていた。
「さて、君たちは他のオーディション参加者とは別の場所に待機させられたというのは……理由も何となく察してそうだねー。アースさん、もうぶっちゃけてもいいんじゃないですか?」
砕けた口調でネプチューンが上司のアースに言うと、アースは眼鏡を中指でくいッと持ち上げてみせた。
「……そうですね。アレコレ説明しても仕方がないでしょう。では今ここであなた方四人のオーディション結果を発表致します」
敢えて一呼吸置き、アースは言った。
「――採用です。おめでとうございます」
やっぱりか、という思いはあれど、その言葉を聞けて嬉しくないわけがなく、アズキとスズカは目配せして互いに小さく喜びを共有した。
「やりましター!」
「やった!」
一方、ウサメリカは立ち上がってその場で両手を拳にして高らかに掲げ、モチも小さくガッツポーズを取って喜びを表現した。
微笑ましい光景をプルートとネプチューンは暖かく見つめ、アースは表情を全く変えずに咳払いをした。
ウサメリカとモチはすぐに気持ちを静め、元の姿勢に戻った。
「この後すぐにオルオンアイドルとしての契約となりますが、その前に採用した理由について説明しましょう。まず、前提知識としてですが、あなた方は『超人』という概念をご存じですか?」
言葉自体はわかるが、四人は黙って知らないことを肯定する。
アースが指す超人とは、哲学者ニーチェの超人思想とは異なる、フルダイブ技術によって能力を開花した人間のことを指している。フルダイブ技術が普及してから論文が発表され、調査の末にその存在が証明されたばかりだ。人間そのものを研究する学者や余程の物好き、フルダイブ技術に関わる業界人でもなければ耳目にも入らないものだ。
「ではそちらから説明しましょう。超人とは、フルダイブ技術が普及し現実ではできない様々なことを体験した人間が、その環境に適応して能力を開花させた者たちの総称です。ゲームの中で一般的に天才と称される方が超人に分類されます。この超人ですが、基本的な特徴として通常の人間よりも異常に感性が鋭く、勘が働きます。あとは個人差がありますが、異常な運動能力や反射神経、気配察知と隠蔽する能力、空間認識力、計算能力や五感からの情報処理能力、完璧なマルチタスクなどの能力を、異常なレベルでどれか一つ、或いは複数持つ者がいます。他にも超集中状態――ゾーンに意識して入ることが出来たりもし、常人では真似できない特殊能力を持つ者もいます。そうした特徴の中で、感性が鋭いという部分が今回の採用に関わっています」
アースは説明を一旦止めて一息吐いた。四人が話について来れているかの確認でもある。
スズカとアズキは興味深く真剣に聞いていたが、ウサメリカとモチは表情からよくわかっていない様子であった。
「理解が追いついていない方がいますが、もう少し辛抱を。感性が鋭いという部分が今回の採用に関わったということですが、超人同士が接触した場合、本人の持つ気質を互いに瞬間的に把握することとなります。つまり、出会ってすぐに気が合うかどうかがわかります。気が合う――相性の良い人物の場合、シンパシーを感じる、運命を感じると言えば、おわかりになるかと思います」
その言葉に流石の四人は顔を見合わせた。モチはアズキと見つめ合って互いに驚いていた。最初の出会いこそ揉めたが、思い返してみると嫌悪感など全く無かったことに気付いたのだ。
ウサメリカは満面の笑みを浮かべてスズカを見つめ、スズカも声を殺してくつくつと笑った。
「逆に相性が悪い場合は生理的な嫌悪感だったり、何となく近づきたくない、一緒にいたくないという思いを持つことになります。また、超人同士では相手からのプレッシャーや好意を感じやすい傾向にあります。プルートさん、試しにやってみせてください」
「わかりました。ちょっと怖いけど、泣かないでね?」
プルートが笑顔のまま心を敵意に染め、凄みとして軽めに放つと、四人はプルートからえも言われぬ刺々しいプレッシャーを感じた。
モチは大抵の視線などは気にも留めないが、強い負の感情を直にぶつけられることに慣れておらず怖くなり、心拍数が上がって目を逸らした。
ウサメリカもその強い威圧感に長い耳が萎びてしまっている。
スズカもさっきの笑いはどこへやら、敵意に対抗してプルートを静かに睨んでいた。
殺伐としたゲームをやっていたアズキにとって、この程度の敵意はよく感じていた。平然としていられるが、他三人の様子はどうかと横を見れば、目を逸らしたモチと目が合い、苦しそうな彼女を見てプルートに向かって言った。
「それ、止めろよ」
元から試すだけだったプルートはすぐに止めた。それはそうと、敵意を感じて尚も平静を保っているアズキにはより好感を持った。
他の三人はプレッシャーが無くなったことで安堵し、事が終わったことを確認したアースは説明を続けた。
「ここからが採用理由の本題になります。超人は互いに惹かれ合う傾向にあり、同時に運命や宿命の下にあると言われています。その運命や宿命がどういったものかははっきりしていませんが、超人の方は大事な場面においてまるで導かれたように、その時、その場所で必要な行動を取ると言われています。つまり、偶然が重なるような状況や何となくで流れに身を任せる状況が、本人にとっての最適解となっているのです。我々が超人のプルートさんを受付に置いたのも、超人、あるいは超人に覚醒しかけの方を見つけ出す目的があったからです。結果として、偶然にもあなた方四人がそれぞれ運命的な出会いをして二人組となり、プルートさんと接触して気が合い、こうして採用する流れになりました」
アースはここで一区切りし、意味もなくインベントリからペットボトルのお茶を取り出して飲んだ。スズカとアズキは話についていけているようだが、相変わらずウサメリカとモチはよくわかっていない様子だ。
「さて、アイドルの適性は確認しないのかということですが、はっきり申し上げますと必要ありません。超人に分類される人間が目的を持って行動する場合、それらの適性はかなり高い傾向があることが判明しています。それに、昨今のヴァーチャルアイドルというものはアイドルとしての技能よりも人間性を重視しております。これについても、超人の方を採用する理由となっています。感性が鋭く勘が働く人間は、他者の感情や社会の機微に敏感であり、そうしたものを感じてきた結果として基本的に善性となることがわかっています。もし悪い方であっても、プルートさんが受付で篩に掛けるようにしていますので、その心配はしておりません。以上があなた方を採用した理由となります。長話にお付き合いくださり、ありがとうございました」
アースが説明を終えて頭を下げた。
「――では、これからネプチューンさん主導で契約の話に移りますが、最後に一言申し上げておきます。先ほど話した超人のことですが、あまり人前で話さないようにしてください。こういった話を嫌う団体とかありますので。もし話す場合は天才と呼ぶといいですよ。ネプチューンさん、プルートさん、後はお任せします」
「はーい」
「お疲れ様です」
多忙なアースはその場から転移して大型アップデートの最終調整に戻った。
「じゃあ、これから契約の話をするね」
軽い調子でネプチューンからアイドル契約の話が始まった――
――大型アップデート当日のアイドルお披露目ライブにて、二組の公認アイドルユニットが発表された。
片方は正反対の性格をした双子の犬娘コンビ『おしるこ』である。
もう片方は日本国とアメリカ合衆国の今尚続く友好関係に準えたコンビ『おにうさ同盟』である。
また、ライブ当日にファン投票によるライブオーディションも開かれ、新たな公認アイドルが誕生した……。
『超人』
別の作品で例えるなら、某ロボットアニメのニュー〇〇〇みたいなものです。
フルダイブ技術によって本来体験できない数多の環境に身を置くことで、人間の潜在的な鋭い感性や野性的な勘が開花したってことです。
そんな超人の主人公たちだから、一般人とは隔絶した強さを持っています。
あと、主人公たちが基本仲良しなのは感覚的に気が合うからです。




