「ぬいぐるみたちの内緒☆のクリスマスパーティ」
❅「冬の童話祭2023」参加作品です。
今日は子どもたちや大人が待ちに待ったクリスマス!
賑やかな街には明かりが灯り、通りゆく人々はみんな笑顔です。
ほら、この通りのお家でもみんなでクリスマスパーティをしていますよ。
みんな何て楽しそうなんでしょう!
そんなクリスマスパーティも無事に楽しく終わり、クリスマスの日もあと数時間で終わります。
人間たちが寝静まった頃。
今度は何かもそもそと動く影が。
ぬいぐるみたちです。
ぬいぐるみたちはもそもそと動き、こっそりと窓を開けてお家を飛び出します。
あちこちの家からぬいぐるみたちがトコトコと走って向かうのは街の広場の大きなクリスマスツリーでした。
「ミミちゃん家の~、うさぎさん来ていますか~?」
「はい、居ます!」
「えーっと、ゆうくん家の恐竜さん居たらお返事ください」
「がおー!」
羊皮紙のチェックリストを見ながら確認しているのは大きな大きなティディベアのくまさんです。
各家のぬいぐるみたちがちゃんと参加しているのか、毎年リストをこっそりと夜中に書いていたのです。
次々とぬいぐるみたちが呼ばれ、お返事をしています。
あ、ようこちゃん家のイルカのぬいぐるみさんは跳ねてはしゃぎながら「きゅい~!」ってお返事していますよ。
「ではでは……。これから花びら街のぬいぐるみたちのクリスマスパーティを始めます!」
「「「わーい‼」」」
ぬいぐるみたちはジャンプしたり跳ねたりして喜びながら歓声をあげました。
ぬいぐるみたちがどんなパーティをするかというと。
ダンスしたり、お喋りしたりして、冬のお空を眺めたりするんです。
あひるさんのぬいぐるみとひよこさんのぬいぐるみの息の合ったダンスにみんなが手拍子をしました。
その横ではぞうさんのぬいぐるみとふくろうさんのぬいぐるみがそれぞれのお家の世間話をしています。
なになに、
「我が家のコウくんは最近泣き虫で」
「我が家のみかちゃんなんかおませさんが始まりましたな」
ですって。
ぬいぐるみたちの世間話って面白そうなんです。
さて。
街の広場の時計がクリスマスの日の11時50分を指しますと、そろそろある素敵なゲストがやってきます。
みんながわくわく、うずうずしていると。
シャンシャンシャン。
どこからか鈴の音が聞こえました。
「ほっほい~。みんな元気だったかな」
現れたのは……。
「サンタさん!」
「今年もお疲れ様!」
何とあのサンタクロースがぬいぐるみたちの真ん中に立っています。
ぬいぐるみたちは喜んでサンタクロースを迎えました。
知っていましたか?
サンタクロースは毎年クリスマスのプレゼントを配るお仕事が終わると、ぬいぐるみたちのクリスマスパーティに参加していたんです。
「いやはや。今年も無事に世界中の子どもたちにプレゼントを渡せたよ」
「サンタさん、肩揉もうか?」
ぽすぽすと、ぬいぐるみたちがかわりばんこでサンタさんをマッサージしてあげます。
「ありがとう。みんな」
サンタさんは疲れが取れた様です。
「さあ。良い子にしていたぬいぐるみのみんなにもプレゼントだ」
「なあに? 今年はなあに?」
みんな興味津々でサンタさんを見つめます。
「今年はみんなお揃いのリボンじゃ」
「そおれ!」とサンタさんが右手を振ると。
きらきらとモミの木のクリスマスツリーが光って、蛍のような光がぬいぐるみたちそれぞれに舞い降りてきます。
そして光が弾けると。
ぬいぐるみたちに首や耳には素敵な模様のリボンが。
嬉しそうにはしゃぐぬいぐるみたちを見てサンタさんも笑顔です。
リーンゴーン。
0時の鐘が鳴りました。
気付くとサンタさんはもう居ません。
「ほっほーい。また来年なー」
空から声がしました。
遠くへとソリとトナカイの影が去っていきます。
これでもうパーティはおしまいです。
ぬいぐるみたちはそれぞれお別れのあいさつをしながら家に帰るのでした。
みんな来年を楽しみにして。
また会いましょう、と。
きっと、来年も楽しいクリスマスパーティが開かれるでしょうね。
〖おわり〗
お読みくださり、本当にありがとうございました!