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それは偏に恋

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。短編詐欺に思われたら申し訳ございません。


注意事項2

恋愛です。R15です。若干ヤンデレ入ってます。

苦手な方はご注意下さい。

布団一組。その上でうら若き姿をした男女が対になっていた。二人は上体を起こし、男の方が女の方に思い切り凭れかかっている。薄い寝巻きのようなものを一枚だけ羽織り、露出した肌から覗く、赤い小さな花々。それは前夜の行いを暗示していた。

女の方は長い髪。日本人形のような端正な顔をしていた。黒い髪と瞳。人工的な顏からは想像出来ないような慈愛に満ちたもの。

対して男のほうは対象的な断髪。毛量の多いふっさりとした白髪を、女同様の端正な顔を包んでいる。無機質な双眸は今は閉ざされ、長いまつ毛に覆われている。

私はそれを見て、眉間に皺を寄せた。間が悪いのならば、追い返してくれればいい物を。

「ん、君ね。嫌ならちゃんと言葉になさいよ」

「嫌では……無いんですよね……」

彼女ははにかんだように笑って。自分の胸を枕にする男の髪を撫でた。自分の子供をあやす様な優しい手つき。表情。それを見て、尚のこと頭を抱える。

彼女が愛した神は、暴君で、身勝手で、彼女はただ振り回されるだけの存在。その気になれば何時でも壊せる脆い存在。それなのに、彼女は恐れる事無く彼を抱きしめる。

「子供のような方なんです。私より遥かに年上で、位も高い方なのに。どうしようもなく脆い。そこが堪らなく愛おしい」

長いまつ毛を閉じしたまま、彼は首周りを擦り寄る。腕を動かして、離れないように自らの方に引き止めると、また安らかな寝息を立て始めた。

「私を傍に置く時、はぐれた子供のような顔をして、此方を見据えるのです。離れるのを不安がるように、体の一片を密着させて。そうされると堪らなくなって、際限なく受け止めてあげたくなる」

「君自身が耐えられなくなって、壊れるとしても?」

常人ならばこの時点で灰になっている。ただ意識が朦朧とした中、彼から与えられる神気に酔い、物言わぬ人形と成り果てている。

運が良いと思う。(ひとえ)に相性が良かったから、彼女は彼女のまま、この神を愛せている。与える愛も、受け取る愛も、全くもって次元が違うものなのに。彼女は平然としている。

「そうしたらこの方は、涙さえ流すことなく失意に立たされるでしょう。そうならない為に私は出来うる限り受け止めますよ」

にっこりと笑った。つかの間の瞬間だった。瞼が持ち上がり、赤に近い橙の双眸に火が灯った。顎が外れる程の大口に象牙の犬歯。それは首周りを無慈悲に抉った。一箇所だけ、色の変わったそれを擦り落とすように舐める。

「あっ..............」

彼は色に反した氷のような視線を私に流す。彼女に巻き付いてない方の腕を此方に差し向けると、ぞんざい仕草で手を振った。

突如、破裂音とと共に襖が開け放たれた。私は足一つ動かして居ない。足を崩したまま。しかし彼女達から遠ざかっていく。弾き飛ばされる。

気がついた時には既に別室。屏風には『帰れ』の文字。

「おや。怒りを買ってしまったらしい」


「全てを差し出す代わりに、全て得なければ気が済まないんだよ。私は」

「ええ、存じております」

「嫉妬深いんだ」

「ええ」

「何処にも行くなよ」

そう言って、愛しの君は再度私を押し倒しました。首周りに顔を埋めたまま。起きようとは致しません。

可愛い人。全てを焼き払うような愛を持った人。貴方がただ寄り添うだけで満足するには、幾年の月日が必要でしょうか? でも、何時までもお供致しますよ。

人外さんの良いところって、人と思考が違うところにあると思うんですよ。

だから根本的に受け入れる事が難しいというか。

それでも底なし沼のような懐で際限なく受け止められたら、何かしら変わって欲しいと思います。


※願望ですし、そういう話が大好き。

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