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六話、世界樹

ギルド


アーリアとダリアはギルドで朝食を食べている。


ギルドには飲食コーナーがあり冒険者達はここで食べて力を付けてから仕事に行く者が多い。


二人も他の冒険者達に右に倣えして前日は宿で食べたが今日はここで食べている。


「・・・」


「どうしたの?」


食べているとダリアが周囲を見渡す。


その仕草が気になったアーリアはどうしたのかを聞いた。


「いや、なんか視線を感じてさ」


「・・・、私達以外は誰もいない・・・」


いないけど?と言いかけたアーリアは気付く、窓からこちらを覗いている少女の姿に。


ダリアが前日気付いた視線は彼女のものだったようだ。


「ダリアちゃん、ダリアちゃん、あれだよ、あの子の視線だよ、何故かすっごいこっち見てるあの子」


アーリアはヒソヒソと話しダリアにこちらを見ている少女がいると教える。


ダリアは目の前にある窓ガラスを使い後方を見る事で少女の姿を捉えた。


「マジだ、いるな、なんで私達を見てんだ?」


「さぁ?、見た感じ私達と同い歳くらいに見えるけど」


少女は黒髪に魔女っ子帽子に杖と言った典型的な魔法少女な見た目をしている。


魔女っ子少女は何やらアーリアとダリアを見てモジモジしている、もしかしたらアーリアとダリアと話したいのかもしれない。


「ねっ、話聞いてみようよ」


「だな、放置しとくとこの町にいる間、ずっとアイツの視線を受ける事になる、それは流石に嫌だ」


アーリアとダリアは席から立つとギルドの外に出る。


それを見た魔女っ子少女ははぁ・・・と溜息を吐いた。


「また話せませんでした・・・、私ったらなんでこんなに人見知りなのでしょう・・・」


「やっ、人見知りさん」


落ち込む人見知り魔女っ子にアーリアがフレンドリーに手を上げながら話しかける。


アーリアとダリアは二人で仕事に行ってしまったのだと思っていた魔女っ子少女は驚いたようで飛び上がる。


「な!、な!!、な!!!、お二人はお仕事に行くためにギルドを出たのではなかったのですか!?」


「違うぞ、お前と話す為に出たんだよ、私達になんか用があるみたいだからな」


「昨日から私達のこと見てたんでしょ?」


「み、見てましたけど・・・」


見ていたのがバレたのならば否定する理由はない魔女っ子は見ていたことを認める。


「じゃあなんで見てたの?」


「そ、その、私も新人でして・・・、でも私、見ての通り後衛で前衛を担当してくれる剣士さん達がいてくれないと怖くて戦えないんです・・・」


「だからギルドの人達に新人の剣士が二人いると聞いて、出来れば私も仲間に入れてください!」


「良いよー」


ダリアの時と同じ返答である。


「そうですか・・・、後日出直し・・・、へっ?」


こちらもダリアと同じ反応である。


ダメだと思ってする頼み事があっさり通ると人は戸惑うものだ。


「ほ、本当にいいんですか!?」


「良いよー、私達二人とも剣士で、私はスピード、ダリアちゃんはパワー、って違いはあるけども前衛担当である事は変わらないんだよね」


アーリアは敵の攻撃を躱し続けながら敵に迫り攻撃を当てるスタイル。


ダリアは敵の攻撃を大剣で防ぎつつ自分にとっていい距離にまで距離を詰めてから大剣を振り下ろしパワーで打ち勝つスタイル。


このようにスタイルの違いはあるが二人とも距離を詰めて接近戦を挑む前衛である事は変わらず、背中を守ってくれる後衛は必要なのだ。


「つまりアンタが来てくれりゃ、うちらは弱点が少なくなるって訳だ、つまりアンタの存在は私達にとっては願ったり叶ったりって訳さ」


「それなら・・・、これからよろしくお願いします!」


「うん!よろしく!、そう言えばあなた名前は?」


魔女っ子を仲間にしたアーリアは彼女の名を聞く。


「リアリンと言います!」


魔女っ子リアリンは恥ずかしそうに自分の名を名乗る。


「よろしく!」


アーリアは元気良くよろしくと彼女に伝えると手を差し出す。


リアリンはその手を取ると握手した。




「魔神の巫女、ですか」


「うん、何か知らないかな?」


アーリアは魔神の巫女について知ろうとしていた。


その理由は自分のことである巫女について調べずにもしも何か起こって被害が出たらアーリアは自分が自分で許せなくなる。


だからこそ占いが出来る者が多い為事情通が多いとされる魔女であるリアリンに何か知らないか?と聞く。


ちなみにアーリアが魔女は事情通が多いと聞いたのは母である。


「私は特には・・・」


「そっかぁ・・・」


魔女でも魔神の巫女については知らないと聞いたアーリアはどうやって自分について調べようか?と思う。


「私は知りませんが、図書館なら分かるかもしれませんよ!」


「図書館、そうだ図書館だ、外の世界にはそんな便利な施設があるんだったね!」


「図書館に行った事ないんですか?」


リアリンは口振りから図書館に行った事がないのだろうと理解し意外そうに聞き返す。


「まぁね」


「こいつちょっと家が特殊なんだよ、図書館に行くまでの間に説明してもらえ」


「そうします」


今日も仕事をする予定だったが予定変更し、魔神の巫女について調べる為にアーリア達は図書館に向かう。




図書館


「わぁー!、本が本当に沢山あるんだね!」


アーリアは本がたくさん並べられている図書館の様子を見て興味津々な声を上げる。


彼女の事情を知ったリアリンはその様子を見て本当にアーリアは図書館に来た事がないのだと思った。


「それじゃ魔神か魔神の巫女について記した本があるか聞いてみましょう、本棚を回って本を探すよりもよっぽど早いです」


本の虫であったリアリンは魔導書をタダで読む為に図書館によく来ていた。


そのため図書館の効率的な利用方法を知っているのだ。


「すみません」


早速リアリンは職員に話しかける。


「はい、なんでしょう?」


「魔神か、魔神の巫女について記した本はありますか?」


そして目的の本がここにあるかどうかを聞いた。


「ありますよ、お席にお座りになって少々お待ちを」


「お願いします」


アーリア達は職員が本を探しに行く前にペコリと会釈をし、それから三人で囲める席に座った。




「お待たせ致しました」


暫く待つと、職員は魔神の巫女についての本を持って来た。


彼女は汚さない破らないなどの簡単な説明をした後

後で回収するので読み終わったら本は机の上に置いておいて欲しいと伝え仕事に戻って言った。


アーリア達は三人並んで仲良く魔神の巫女の本を読む。


「・・・あんまり分かんねぇなこれ、あんたの先代達が隠された結果、厄災が起こったとかそんな事ばかり書かれてるわ」


暫くしてダリアは欠伸をしながらこの本を読んでもあまり分からないと言う。


「そうですね・・・、本と言うよりは記録集と言った感じです」


「ううーん、ちょっと期待したんだけどなぁ・・・」


アーリアは魔神の巫女について何か分かるかも!と期待したが結果は何も分からなかったことに少々落ち込む。


ここでは何も分からないだろうと思った三人は諦め最後のページを開く、すると最後のページにはこう書かれていた。


魔神の巫女と世界樹には決して断ち切れない因縁がある。


と。


世界樹とはこの世界の中心地に創世記からあると言われている巨大樹であり、誰が施したのか過剰としか言えない防御機構が備え付けられている無人の要塞だ。


「・・・私、別に世界樹に恨みはないけど、そもそも行ったこともないし」


本当に恨みはないアーリアはちょっと困った顔を見せた。


「そりゃそうだ、行ったことない場所とどうやって因縁を持つんだって話だし」


「・・・最初の魔神の巫女についての事かもしれません」


「・・・」


アーリアは顎に手を当てつつその逆の可能性もあるだろうと思い話す。


「逆に全員が世界樹と因縁があるのかもしれないよ」


「確かにな」


「ですね」


二つの過程、それはどちらも納得出来る過程であった。


「とりあえずは因縁だと言われるのならば行ってみるしかないね」


世界樹に行けば自分と世界樹の因縁があるのかないのかとりあえず分かるだろう。


因縁がある場合もどんな因縁があるのかも分かるはずだ。


「あぁ世界樹にな、私達で行ってアルカの謎を探ってやらうぜ!」


「はい!」


「私達の第一目的だね、目指せ世界樹だ!!」


こうしてアーリア達は世界樹を目指す事になった。

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