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五話

宿


「おはよー!、アーリア!」


早朝、アーリアが起きる時間よりも更に早い早朝、前日から一緒の部屋に泊まるダリアがアーリアを起こす。


「は、早いね・・・、ダリアちゃん・・・」


いつもより更に早いためアーリアは身を起こした後フラフラする。


決まった時間通りにアーリアは寝たり起きたりするタイプであり少しでもバランスが崩れると暫くの間フラフラになるのだ。


先日の三回も寝て起きた日もフラフラであった。


「アンタも早起きなんだろ?、ミラ姉がアンタがやたら早く起きてゴソゴソとナニかしてたって言ってたぞ!」


「ナニってどう言う意味だろ・・・」


ナニに引っ掛かりを覚えたアーリアはなんだろ?と思う。


「知らね、ミラ姉って大人だから私達が知らねぇナニかをよく知ってんだ、ちなみにあの歳でもう四人彼氏作って自分から全員振ってるぞ!」


「プレイボーイならぬプレイガール!?」



中庭


「ねぇダリアちゃん」


「んだ?」


「その剣ちょっとだけ持ってみて良い?」


アーリアはダリアが軽々と振っている大剣を自分もどれだけ軽々と振れるかで自分の筋トレの成果が分かる気がするためダリアに剣ちょっとだけ貸してする。


「良いぜ、でも重いぞー?、アンタの剣みたいに軽くないから注意なー」


ダリアはにこやかにアーリアに自分の剣を渡す。


受け取った瞬間アーリアはズシリと重さを感じよろめいた。


「ええ・・・、こんなの振ってたの・・・、なんで振れるの・・・」


正直言うと舐めていた想像するよりずっと重かった、アーリアはズッシリする大剣をふぬぬぬぬ!と持ち上げ振り下ろす。


「おおー!、やるじゃん!、私らみたいな女で大剣使いの奴以外でいきなり大剣を振り上げて振り下ろせた奴初めて見たよ!」


すげーすげー、とダリアはアーリアを褒める。しかし大剣を振り下ろしただけで肩に深刻なダメージが来たアーリアはそれどころではなかった。


(痛い死ぬ痛い死ぬ痛い死ぬ!)


アーリアは心に決める、二度と大剣など振るものかと。




アーリアの肩が復活した後、アーリアはフォンと闇の魔力をその身から放っていた。


「なぁアーリア」


「なんでしょう?」


「アンタ魔神の巫女なんだよな?」


「そうですね」


「・・・そんな奴がそんな感じで魔力を放って大丈夫なのか?、そもそも闇属性の魔力って撒き散らしちゃって良いのか!?」


闇属性は闇の者が扱う属性である。


アーリアが町中で放っちゃダメじゃね?と思うのは当然の属性である。


「大丈夫大丈夫、私の魔力はなんか大丈夫!、畑で放ったらなんかやたらと育ったりした!」


大丈夫、と、なんか、が多い。


「それお前の魔力でなんか変質してるんじゃないか!?、なんか!」


ダリアにも移った。


「んー?、父様と母様に畑で育てた野菜のスープとか出してたけど次の月に来た時聞いてみてもお腹壊したとかは言ってないよ?、だから大丈夫!」


「ならアンタの闇の魔力は安全だって信じるぞ?」


「ばっちこい!、私が育てた野菜を食べても大丈夫だった父様と母様の胃を信じよう!」


「・・・」


ダリアは話していて思う、こいつやっぱ結構馬鹿だなと。




一通りのトレーニングを終えた二人は食堂で朝食を食べている。


アーリアはバターを塗ったパン(好物ランキング二位)にコーヒー、ダリアはとある転生者がこの世界に広めた食材である米に味噌汁に卵焼きと言うメニューに緑茶だ。


「アンタって美味しそうに飯食うから見てて楽しいわ」


「美味しいもの食べると嬉しくならない?、私はなるよ!」


「なるけどさぁ、アンタの場合は小動物みたいで可愛いんだよ」


「・・・私これでも小動物だって自覚はないんですけど、今は背がちっさいとか言うならこれからあなたみたいに大きくなる予定なんですけど!」


ちなみにダリアは十四歳で少女であるのに既に169センチある。


身長146センチであるアーリアから見ると巨人であるデカイのである。


「今はちっこいって思ってんじゃーん、なら小動物でいいだろー」


「ちっこい言うなー!」


ちっこいと言われたアーリアはキーキー言いながら怒る。


「あらあらもう仲が良いのね、紹介して正解だったわ、性格的に相性良いだろうって思ってたの」


「だなー、私がグイグイいってアーリアが後ろからバランスを取る!、最高の組み合わせだと思うぜ!」


「・・・」


(今はいいけど今後仲間がもし増えた時に合わなかったらどうしよう、とか思ってるのは言わないでおこう)


「でさーミラ姉」


「ほうほう」


「・・・」


アーリアは楽しそうに話す姉妹の姿を見て思う事がある。


自分の肩に魔神の紋章がなければ自分も兄妹と仲良く出来たのだろうか?と。


「多分出来たんだろうな」


「ん?、どうした?」


「なんでもないよ、ほらっご飯食べちゃって今日のお仕事をしよう?」


来なかった未来を想像しても仕方がない。


アーリアは独り言に対しどうした?と聞いて来るダリアに何でもないと伝えると。


朝食を食べ切り三人で冒険者ギルドに向かう。




ギルド


「お仕事、おっ仕事ー!」


「ノリノリだな」


「まぁねー」


ウッキウキなアーリアを見て微笑んだダリアはこれいいんじゃね?と依頼書を指差す。


「洞窟に入ってカイニー鉱石をとって来る依頼かー」


カイニー鉱石は魔力を大量に保有している鉱石で加工すると魔力をたっぷりと含んだ斬れ味や強度の高い武器となり防具にも勿論使用可能だ。


今回の依頼主は自分の武器と防具を作る為にギルドに採取依頼を出したようだ。


「洞窟の中に入っての鉱石探しって冒険者っぽいだろ!、いこーぜ!」


「うん行こう、受けて来るね」


依頼書を手に取ったアーリアはカウンターに向かう。


「?」


その時何か視線を感じたダリアは周囲を見渡すが誰に見られたのかは分からなかった。





イート平原南の洞窟


このイート平原南の洞窟にカイニー鉱石があるとミランダが教えてくれた。


二人の少女はのんびりとイート平原を通り抜けこの洞窟にやってきた。


「入り口にある時もあれば、奥まで行かないといけない時もあるってミラさん言ってたね」


「緑色の鉱石だっけか、見た感じここにはねぇなー」


アーリアとダリアは鉱石を探しつつ洞窟の奥に向けて進む。


何人もの新人冒険者達が訪れているのであろうこの洞窟はすっかりと地面が踏み固められておりふわふわな外の草原よりも寧ろ歩きやすい。


草原の場合、草に隠れて見えない窪みなどがあったりする為たまに引っかかってしまい歩きやすいとは言い難いのだ。


「暗くなって来たね、ランタン買って来てて正解だよ」


「蝋燭さえ尽きなきゃ、暗い場所でも明るく照らしてくれる優れ物だぜ」


蝋燭の光のおかげで歩きやすい洞窟の中を進む二人は鉱石っぽい石を見つけるとランタンで照らし持って来た鉱石図鑑の絵と照らし合わせカイニー鉱石かどうかを調べると言う作業を繰り返しながら洞窟を進む。


「あったー!」


三十分ほど捜索を続けてようやく緑色の鉱石が見つかった。


二人は見つかった事に手を取り合って喜び鉱石を取り出すと鞄の中に大切に保管し持って帰る。




「お帰り、今日も成功ね」


ギルドに戻るとミランダが待っており無事に帰った事を褒められた。


褒められた事が恥ずかしい二人は頬を染めながら頷き報酬を貰うとこの場を離れた。

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