二十二話、大規模依頼1
アーリアの事務所
今日も定位置となったイリシアの膝の上に座っているアーリアはパソコンを弄っている。
「今日はどんな依頼を受けるんですか?、お姉ちゃん」
イリシアは姉の背後から覗き込みどの依頼を聞くのか聞く、それと同時に甘いシャンプーの匂いがした。
「初めて大規模依頼を受けようと思う」
「沢山の冒険者と共に受ける依頼ですか?」
「そうだよ」
イリシアの言葉に頷くアーリア、上級冒険者となった時点でアーリアのパソコンには募集が来るようになっており、今日受ける事にしたのだ。
「いよいよって感じです!」
「・・・この依頼で戦う魔物に殺されてしまう冒険者は多いって聞く、心してか掛かろう」
「はい!」
アーリアは妹の返事を聞いてから画面をスクロールさせつつ依頼を探す。
「これにしようかな」
「オメガライオン、100メートル級の巨体を持つライオンの魔物ですか・・・」
「驚くほどに大きいよね・・・、うちの世界にはこんなのいないよ・・・」
アーリア達の世界には100メートル級の魔物はいない、これほどの巨体を持つ魔物がいる時点でアーリアとイリシアがいた世界の魔物より余程強い事が分かる。
「でもこんな強い魔物がいる時点で良い修行になりますよね!」
「うん、今回受けたのも、私やリーゼやメリアが限界を越えれる可能性があるかもしれないって思ったからだ、オーバードライブに目覚めないと二ヶ月後マリアに殺される、そうならないためにも絶対にオーバードライブを使えるようにならないといけないんだ」
マリアの力はアーリアの力を明らかに上回っている今、自分の力の伸びに限界を感じているアーリアはオーバードライブに目覚めないと二ヶ月後本気になったマリアと戦った時に殺されるだけだ、そうならないためにもオーバードライブの力は必須なのである。
「沢山修行をするよ、イリシア、私の世界に帰るためにもね」
「はい!」
姉妹は頷き合うとイリシアが先にアーリアを持ち上げながら椅子から降り、アーリアを地面に下ろした。
「子犬かなんかか私は」
「小さいからですね、軽々と持ち上げれるのでこう言うことが出来ます」
「・・・」
「ほ、ほら仕事に行きますよ、お姉ちゃん」
むーと頬を膨らませる姉を見て苦笑いを見せたイリシアは、皆に仕事に行くますよと言いながら家を出る、むーとしていたアーリアはため息を吐くと鏡の前に立ち自分の姿を見る、
「小さいよね、私、・・・メリアに自信を待てって言ったのになぁ私、そりゃあ説得力がないって言われちゃうよ、私自身も私に自信がないんだもん」
小さくても良いとエレムスに言われた事がある、それでも背の高い女性に憧れているアーリアは自分の背の低さを気にしてしまうのだ、しかもリーゼレッタやクーネリアやイリシアと言うスタイルの良い女性がすぐそばにいるため余計にである。
「私も私に自信を持てるようになれれば良いな」
もう一度ため息を吐いたアーリアは来ないのか?と言うメリアの声に行くっと答えると、ソウルソードを持って部屋を出た。
カニッタ平原
周りには沢山の冒険者がいる、遠くには巨大な魔物オメガライオンの姿が見える。
「あっ!、セイレ!」
アーリアはセイレの姿を見つけ駆け寄る、近くには彼女の仲間もいた。
「試験以来ですね、ライバルさん?」
セイレはアーリアの姿を見ると少し挑発的な目線を送ってくる、その顔を見たアーリアは何か挑戦して来そうだなと思った。
「私の顔を見て理解したようですね?、今回の戦いで活躍がより活躍出来た方が勝ちと言う事にしませんか?」
「良いよぉ?、受けて立とうじゃないか」
ライバルに挑戦されたのならばアーリアは逃げるつもりはない、だからこそ受けて立ったのだ。
「よく言ってくれました、今日は負けませんよ!」
「私こそもう一回あなたに勝ってやるもん!」
勝負をすると決めた二人は顔を見つめ合いニヤリと笑い合うと離れた。
「何か面倒ごとを引き受けてきたみたいね?」
「セイレに勝負を申し込まれたから引き受けて来た!」
「ライバルに負けたくないと言う気持ちはよーく理解出来る、やってやるか!」
「うん!」
アーリアが仲間達と頷き合うのと同時に、大規模依頼が始まった、冒険者達がオメガライオンに向けて動いて行く。
「行って来る!、みんなは周りの人達と合わせてね!」
「はいはい、頑張って来なさいな」
「無茶しないでくださいね!」
「怪我もですよ!」
メリア達は怪我をするなとアーリアに言う、アーリアは手を振って仲間に答え空に飛び立つとセイレがいた。
「待っててくれたんだ?」
「勝負はフェアにですよ」
「確かに公平な勝負でこそやる意味があるよね!、と言う事でここから勝負開始!!、行くよ!セイレ!」
「はい!、アーリア!」
アーリアとセイレは勝負を始め、オメガライオンに迫って行く。
「見ると良い、あんなに上級冒険者がいるよ?、許せるかい?」
茂みにフードの男と巨大化し化け物と化した男がいた。
「ユルセナイ・・・」
「ならどうするんだい?」
「コロス!アイツラハ!ゼンイン!!」
フードの男の質問に男は冒険者達を全員殺すと答えた。
「ククク、なら好きにすると良い、君がしたいことをするんだ」
「アア!!」
男の力により化け物と化した彼は地面を蹴り飛ばすとオメガライオンと冒険者達が戦う戦場に向かって行く。




