三話
宿
泊まった宿にてアーリアが目を覚ました。
「お腹すいた・・・」
この少女いつも腹ペコである。
「ご飯ー・・・」
ベッドから降りて部屋から出たアーリアはいい匂いがする一階フロアに行く。
そこには食堂がありいい匂いは食堂からしていたようだ、アーリアはトコトコと食堂の中に入るとそーと料理を作る人物を覗く。
「昼頃に来た嬢ちゃんか、どうしたんだい?」
料理人はアーリアの視線に反応して振り返ると話しかけて来た。
「ええっと・・・お腹すいたの、何か食べれるかな?」
アーリアはバレるとは思わずピクリと身を震わせると何が食べれるか聞いた。
「いつでも作れるぜ!、何がいい?」
店主はアーリアにメニュー表を渡す。
そこには沢山のメニューが書かれており見ているだけでアーリアのお腹は鳴った。
「ははは!、腹減ってんだな!、オススメはハンバーグだぞ!」
「じゃ、じゃあそれで・・・」
お腹が鳴って恥ずかしいアーリアは静々と椅子に座りハンバーグが来るのを待つ。
ちなみにお値段は七百ゴールド、安い。
「見た感じ新人冒険者って感じだが、今日冒険者になったばかりだったりするのかい?」
「うん!今日冒険者になって依頼を二つ成功させたよ!」
「ほほう!、一日目で依頼を二つも成功させたのかい!やるじゃねーか!」
「いやーそれほどでもー」
おだてると素直に喜ぶ、それがアーリアである。
見事なドヤ顔を見せている。
「そぉれ出来たぞ、パンとライスどっちが良い?」
「パンで」
小麦を買って来て自分で作るくらいにアーリアはパンが好きである、その為パンを頼む。
料理人はハンバーグを乗せた皿の横にある空き皿にパンを二個乗せてやりアーリアにお盆を手渡した。
「頂きまーす!」
嬉しそうな声を上げてアーリアはハンバーグを食べ始める。
噛むと肉汁が溢れて来てソースの味もあっさり目で美味しいハンバーグ、アーリアは思わず頬に手を当てた。
「うまいか?」
「うん!凄く美味しい!」
アーリアは満面の笑みで美味しいか?と問われ美味しい!と返答した。
店主はその顔を見て言葉を聞き豪快に笑うのであった。
アーリアが鼻歌を歌いながら風呂に入っている。
「やっぱり暖かいお湯って良い物だねぇ・・・」
はぁーと気持ち良さそうに息を吐くアーリア、国から追い出される前も近くの町の温泉へ頻繁に行くくらいのお風呂好きであり、温泉に入れて本当に嬉しいのだ。
「あら、アーリア、ここの宿に泊まっていたのね」
鼻歌を歌っているとミランダが入って来た、鼻歌を歌っている者を探し見つけたミランダは早速少女に話しかけた。
「あっ、ミランダさんだー、ギルドではありがとっ!」
アーリアはギルドで世話になったミランダにここで礼を言う。
今日言わなくても翌日言うつもりであった。
「ふふっ、これから頑張りなさい、あれだけ早くゴブリンを倒して帰ってこれるあなたなら絶対にビックになれるわ!」
「そうかな!、だと良いな!」
ミランダはアーリアの言葉に頷きビックになれると言ってから少女の横に座る。
(で、デカイ・・・)
十四歳にしてはそこそこ大きな物を持つアーリアは見ていて圧倒される程に大きなミランダの物を見て身を引く。
「どこを見てるの?」
「な、何にも?、体を洗わなきゃ!」
アーリアは何を見ていたのか聞いてくるミランダから慌てて離れると蛇口からお湯を出し体を洗う。
何を見られていたのか理解しているミランダは少女の様子を見てクスクスと笑うとお湯の暖かさを堪能した。
「・・・あの目、本当になんなんだよ、初対面の私に対してさ」
兄の蔑んだ目を思い出したアーリアは改めて兄が自分に対して蔑んだ目が出来ないほどの存在になり見返してやると誓う。
「絶対に見返してやるんだから!、私を追い出した事後悔しないでよね!」
自分を国から追い出した兄を見返してやるそれがアーリアの行動原理、蔑んだ目が出来ないほどに大きな存在にへと絶対になってみせるのだ。
「その為には明日からもどんどんお仕事!お仕事!、やるぞー!」
やるぞー!とアーリアは腕を振り上げる、その目は闘志に燃えており、確かな覚悟を感じさせた。
???
暗い室内に二人の男がいた。
「あのお方が聖域から出たようです」
「ようやくか」
「どう致しますか?」
男のうちの一人が彼らがあの方と呼ぶ少女をどうするのかを聞く。
「いずれ迎えに行く、そして・・・」
何かを言いかけた男はニヤリと笑う。
彼等の目の前には一枚の絵があるそこにはアーリアの顔が描かれていた。




