十二話
遊園地
四人は一つ目ジェットコースターの乗り場にやって来た、入り口の係員を見つけた四人は近付き、アーリアがナールを持ち上げ質問する。
「あのー、この子って乗れますか?」
「はい、乗れますよ、他の小型種族の方々も乗れるように座席が作られておりますので」
どうやらナールも問題なくジェットコースターに乗れるようだ、アーリアはやったね!とナールの頭を撫でた。
「うン!」
ナールは嬉しそうに尻尾を揺らす、アーリアは彼を地面に降ろしてやると既に長蛇の列となっているジェットコースターの列に並んだ。
「やっぱりジェットコースターが一番人気があるのだな」
「遊園地と言えばジェットコースターですもの、これに乗らないと何をしに来たの?って感じだわ」
「そうなんだ」
ジェットコースターに初めて乗るアーリアはクーネリアの言葉を聞きへーと言う、ナールも同じくなるほどと呟いた。
「そういえばあなた、今回が初めての遊園地なのね」
クーネリアはそう言えばと思い、アーリアに質問する。
「うん、遊園地って一人で来るところじゃないからね」
クーネリアとメリアと一緒に行動するようになった最近とは違い、その前の二年間はぼっちであったアーリアは遊園地になど行こうと言う気にはなれなかった、理由は本人が言っているように遊園地は皆で来て皆で楽しむ場所だからだ。
「だから今すっごくワクワクしてるよ!、初ジェットコースターにね!」
尻尾をブンブン振るアーリア、ワクワクを隠せていない、そうしている内にアーリア達の番が来たようで、四人は先頭の車両の前後の席にアーリアとメリア、クーネリアとナールと言う組み合わせで乗り込む。
「うぉー!、楽しみ!」
「うむ!!」
二人の少女はキター!と騒ぐ、小型民族用のアタッチメントで体を固定して貰ったナールはそれでも不安なようでソワソワしている、クーネリアは大丈夫よと彼の頭を撫でてあげた。
「来る!」
ジェットコースターが動き始めた、レールの上を走り頂上に向かって登って行く、グングンと高くなって行く標高、四人のワクワクはもう止まらない。
「来るぞー!」
メリアがいつもより高い声で声を上げたのと同時に頂上に達したジェットコースターは頂上から地面に向けて一気な駆け下りる、その瞬間に感じる浮遊感、アーリアはその初めての感覚に手摺りにしがみ付きつつそれでも前はしっかり見る。
「すごーい!!」
下まで降りたジェットコースターはまた坂を駆け登る、一度目で坂を駆け降りる感覚に慣れたアーリアは楽しそうな顔で手摺りから手を離しイェーイ!と腕を振り上げて浮遊感を楽しむ。
「どうだ!ナール!、楽しいか!?」
「最高だヨ!」
ナールも楽しんでいるようだ、初めての感覚を体験しているため尻尾の毛が逆立っているが、アーリアの尻尾もパーン!!となっているため、尻尾を持つ者がジェットコースターに乗った場合はこうなってしまうようだ。
「凄かったね!」
「あぁ!、次も楽しみだ!」
二人の少女はきゃっきゃっと騒ぎつつ、次のジェットコースターを楽しみにする。
「ふふっ、楽しかったかしらナール?」
「当たり前サ!、この園にある物、全部乗りたいよ!」
ナールとクーネリアも楽しんだようだ、四人は笑顔のまま入り口まで戻って来るとジェットコースターから降り出口に向かう。
「なんか足がふわふわする」
「ジェットコースターに乗った後特有の感覚ね、私も今ふわふわしているわ」
「面白いネ」
初めてのふわふわ感をアーリアとナールは楽しむ。
「それでは次に行こう!」
メリアは次いこー!と腕を振り上げる、アーリア達はそれにおー!と腕を振り上げて答え、四人は次のジェットコースターに乗りに向かった。
休憩所
連続でこの園の全てのジェットコースターに乗り込んだ四人はクーラーが効いた休憩所で休んでいる。
「ふぅー、楽しかったぁ」
アーリアは尻尾をフリフリと振りつつ缶コーヒーを飲む、揺れる尻尾は楽しかった証拠、自分でも良い体験が出来たとアーリアは思う。
「次は急流滑りに乗るんだったネ?」
「うむ、濡れるが大丈夫か?、ナールよ」
「普通の猫は濡れるのを嫌がるが、僕たちポネット族は長い歴史の間に水に慣れたのサ、だから濡れても気にしないヨ」
文明を築く上で水は必須である、その水を触らないとならば死活問題となるためナールの祖先達は必死に水に慣れて適応したのだ。
「そこも普通の猫とは違うって事だね」
休憩が済んだ四人はまた立ち上がり急流滑りの乗り場に向かう。
「どうせなら思いっきり濡れたいよね、一番前に座ろうよ」
「良いわね、そうしましょう」
「ウェルカムサ!」
最前列に乗ろうと言う事で一致した四人はこれまた長蛇の列である急流滑りの列に並ぶ。
「流石にお昼前だし人が増えて来たわね」
「さっきまでも多かったけど、更にって感じだ」
後ろを振り返り通りを見ると沢山の人々が歩いている、遊園地は大賑わいだ。
「ナール疲れたらいつでも言ってね?、頭の上に乗せてあげるから」
「ありがとウ、でも今は大丈夫だヨ」
アーリアの気遣いに感謝したナールはしかし今はまだまだ余裕であるため断る、アーリアは優しく微笑み大丈夫なら良いんだよと彼の頭を撫で四人で話しながら自分達の番が来るのを待つ。




