九話、サーキットへゴー!
アーリア達が止まる部屋
「・・・」
前日気にしないと決めたが目覚めて一番最初に見るのが巨峰であったナールは紳士として離れなければと思うが、ガッシリと抱きしめているアーリアからは逃げれそうにないので諦めた。
「なんだか悟りを開きそうだヨ・・・」
「何のかしら?」
背後からの声に耳をピン!とさせたナールは顔だけを後ろに向けるとクーネリアが起きていた。
「脱出する方法知らないかイ?」
「転移すれば良いじゃない」
「その手があったカ!」
転移魔法の事をすっかりと忘れていたナールは転移をしてアーリアの腕から逃れる、アーリアはナールが腕の中からいなくなってしまった事にうーんと呻くが、またムニャムニャと深い眠りに落ちる。
「ふふ、脱出出来て良かったじゃない」
「うン」
ナールはホッとしつつクーネリアの隣に座る、大人の女性であるクーネリアの隣に座るとナールのちっこさが分かる。
「早く起きた者同士、今日の準備をしましょうか、私達今日はサーキットに行くのよ」
この時クーネリアは意味深に笑った、ナールはその笑みに不穏なものを感じる。
「なんで笑ったんだい?」
「ふっふっふ、サーキットに着いたら分かるわ!」
「何を企んでるのやラ・・・」
クーネリアの企みが分かるのを後の楽しみにする事にしたナールはベッドの上から飛び降りるとクーネリアの方に振り返る。
「それデ?、何をするんだイ?」
「鞄の中に私が鞄の中に着替えを詰めるから、あなたはクーラーボックスに氷を入れてくれないかしら、この天候だとちゃんと飲み物を持って行かないと熱中症になっちゃうわ」
そう言ったクーネリアは外を見る、するとサンサンと太陽が輝いているのが見えた、今日も暑そうだ。
「なるほド、飲み物は絶対に必要そうだネ」
「でしょう?」
クーネリアの言葉に同意したナールは冷蔵庫を開ける、するとクーネリアが準備していた大量の氷が見え、ナールはせっせとクーラーボックスの中に詰めて行く。
「おはよー」
暫くするとアーリアが目を覚ました、まだお眠な彼女は眠そうに目を擦っている。
「眠いなら顔を洗って来なさい」
「あーい・・・」
尻尾をズルズルと引きずりながらアーリアは洗面所に使って行く、その後ろ姿を見送ったクーネリアはナールの方に近付いて来た。
「どう?終わった?」
「終わったヨ」
「やるじゃない」
「これくらい朝飯前サ」
フフンとナールは胸を張り朝飯前だと言う。
「ナール!、おはよー!」
顔を洗い目が覚めたアーリアは洗面所から駆け出して来るとナールを抱きしめる。
「・・・一つ注文なんだけド、一緒に寝るのはやめよウ・・・、君って強く抱きしめて来るから苦しいんダ」
「あらら・・・それは悪い事しちゃったね、なら一緒に寝るのはやめよう」
小さな彼を寝ている時の無意識でギューとしてしまうと大変な事になりそうだと思ったアーリアは一緒に寝るのは諦めた。
「おはよう」
続いてメリアが目を覚ます、目覚めた時からしっかりとしている彼女はベッドから降りると扉の横に置いてある朝食を取りに行く。
「今日はパンケーキだ!」
「美味しそうだネ!」
猫一匹と女子三人はいただきまーす!するとパンケーキを食べ進める。
駐車場
アーリアは肩になるナールと共に駐車場に来ていた。
「これが君の愛車かイ?」
「うん、私の相棒さ」
「ふむ・・・」
機械弄りが趣味の一つであるナールはアーリアのバイクを見て回る。
「良く整理されていル、完璧と言えるだろウ」
「えへへ、ありがとう」
ナールに褒めてもらえて嬉しいアーリアは頬を赤く染めながらありがとうと言った、そしてバイクのエンジンをかけると跨る。
「落ちないでねナール、みんな先に行って貰ってるから、追いつくよー!」
「分かっタ!、出てくレ!」
「おう!」
アーリアは爆音を鳴らしながら駐車場から出る。
道路
爆音を鳴らしながらアーリアは道路を快走している、夏の暑い日差しがこれからサーキットを走られるのだとワクワクする少女の心を熱くする。
「良い音だネ!」
「分かるんだ!?」
「バイトでバイクの整備をした事があるからネ!」
「そう言う事か!」
バイクの音に負けないようにアーリアは大きな声でナールと話す。
「みんなの車はまだ見えないネ!」
「あはは・・・、この子がカッコいいのが悪いんだよ」
アーリアは直線を飛ばしつつバイクを撫でる、クーネリア達よりアーリアとナールの距離が出来てしまったのはアーリアが自分のバイクに見惚れていたからであり、ナールはトランス状態に入った少女を現実に戻すまで十五分かかった。
「気持ちは分かるけど、見惚れすぎだヨ」
「以後気を付けます・・・」
十五分もクーネリア達より遅れてしまうのは自分でもないわーと思うアーリアは今後は見惚れるのは五分くらいにしようと思う、自分のバイクに見惚れる事が前提の決定である。
「まぁ、サーキットの場所は分かるんだろう?、君、スマホ持ってるだろうシ」
「それに一日目にサーキットがある場所見てるからね」
「なラ、心配ないネ!」
「うん」
アーリアはたまに止まってスマホを確認しサーキットの場所を把握しつつ走り、サーキットの駐車場に辿り着く、そこにはライダースーツを着たクーネリアが待っていた。
「あれ・・・、叔母様も走るの?」
「ええ、そのために最新のうちのバイクを取り寄せたわ」
「私も走るぞ!」
続けてメリアも現れた、彼女もライダースーツを着ている。
「ふぅん、私と勝負するんだ、良いよ!受けて立つ!」
「なら本気の服を着なさい!」
「うん!」
アーリアは本気の服と言われ魔族服を着る。
「あなたの場合本気の服と言うとそうなるのは分かってたわ・・・」
「現状のお前の最強の姿だものな・・・、お前の分のライダースーツもあるのだぞ?、ナールの分もな」
「なんで僕モ!?」
「・・・気分?」
「・・・」
なら着なくても良いんじゃ?と思うナールだが着ることにし、アーリアと共に更衣室に向かう。
「着てきた!」
暫くするとアーリアが服を着て戻って来た、黒と紫色のライダースーツはアーリアのボディラインが良く出ており魅力的だ。
「似合うわね」
「流石だ」
「僕も着て来たヨ」
「可愛いわね」
「うん!」
「流石だ」
ライダースーツを身に纏った四人はサーキットの中に入る。




