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十一話

過去、世界樹


アーリアが生きる時代の数千年前、勇者と魔神が最終決戦を繰り広げていた。


「くっ・・・、バカな・・・」


勇者に心臓を刺し貫かれた魔神は自身の敗北に対して信じられないといった顔をしながら地面に手を着く。


「君の負けだ」


勇者は魔神の首に剣を突き付ける。


「クッククク、そうさなぁ、首に剣を突き付けられた時点で我の負けだ、しかし・・・」


女はニヤリと笑みを見せる。


「我には子がいる、その子供が確実に後世で我の跡を継ぐ、覚悟しておけよ勇者!人間共!!」


「・・・」


魔神の死際の言葉を聞いた勇者は剣を振るい魔神の首を落とした。


「・・・僕には子供は殺せない」


心優しい少女はその優しさ故に未来で再び戦いが起こるかもしれないのに魔神の子を探しはしなかった。


魔神の子は子を産み血を繋ぐ、いつしか母の力を継ぐ者が魔が支配する世界を作るという母の宿願を果たすと信じて。





ターベの森


穏やかな木漏れ日が差し込む森の中をアーリア達が進んでいた。


「見て見て!あそこ!、リスがいるよ!」


リスが木の近くにいるのを見つけたアーリアは近寄るとおいでーする。


アーリアにおいでーされたリスは急に人間に話しかけられた事もあり逃げて行ってしまった。


「むぅ・・・」


あわよくばリスを触りたかったアーリアは逃げられて頬を膨らませる。


「野生の動物なんてあんなもんだ、それよりもちょっと暗くなってきたし、野宿の準備をしようぜ」


穏やかな森とはいえ暗くなってから進むのは危険である。


そのためダリアは野宿の準備をしようと二人に言った。


「はーい、私はテントを張るね!」


「私は木を集めてきます!」


行動が早い二人、テキパキとテントを建てるアーリア、テキパキと木を集めるリアリン、ダリアは料理を作る為の鍋と食材を取り出した。


「シチュー作るぞー!」


「「おー!」」


シチューを作ると言うダリアの言葉を聞いたアーリアとリアリンはおー!と腕を振り上げ、野菜を切ったり鍋に入れた湯を温めたりとメインで料理するダリアのサポートをする。


「それにしても意外だよね、ダリアがお料理上手なんて」


「はい、性格的に料理とは縁が遠そうに見えます」


「たまに私に対して失礼だよなお前ら・・・、このくらい出来るよ」


意外そうな二人からそっぽを向いたダリアは料理を作り進めて行きシチューを完成させた。


「食ってみろよ」


「うん」


「頂きます」


少し不安気な二人はシチューを一口食べる、口に入れたその瞬間に目を見開きパクパクと食べ始める。


「ほーらうまいだろ?」


ガツガツと食べる二人を見てダリアはふふんと胸を張る。


二人はダリアに対し大きく頷きあっという間にシチューを食べ終わった。


「はぁー美味しかったぁ!、私が作るシチューより美味しかったよ!」


アーリアは笑顔でダリアに美味しかったと伝える。


面と向かって美味しいと言われたダリアは照れた様子でまたそっぽを向いた。


「・・・」


(そう言えばアーリアも一人暮らしをしていたから料理を作れるんでした・・・、意外と女子力高いですね・・・この二人、私は料理なんて出来ないのに・・・、練習しよう・・・)


この三人の中で唯一料理が出来ないリアリンは料理が出来る二人に師匠なって貰おうと思い口を開く。


「あのー、私、料理が出来ないのでこれから二人に料理を教えてもらいたいです」


「いいぜ、教えてやるよ」


「絶対に料理が出来るようにしてあげるね!」


アーリアとダリアはリアリンの頼みを快く引き受ける。


「ありがとうございます!」


二人が教えてくれる!と喜ぶリアリンは嬉しそうに顔を輝かせた。




テントの中で三人は空間拡張された鞄の中に入れていた毛布を取り出し被り寝転がりながら話している。


「次の町ってなんて言う町だっけ?」


「ホーネスタの町だ、ホーワの町のギルドより大きなギルドがあるから、恐らくあっちにいるよりは稼げるぜ」


「ほほう・・・」


お金持ち計画は絶賛継続中だ、アーリアはもっと稼げると聞くとほほうと目を細める。


「それにですね!、ホーネスタにはですね!!、有名なレストランがあるのです!!!、絶対に行きましょう!!!!」


「テントの中で叫ぶな・・・耳に響くから、行きたいなら一緒に行ってやるから・・・」


「なら決定ですね!」


一緒に行ってやるとダリアに言われたリアリンはレストラン行きが確定したと思いやったぜと腕を振り上げる。


「本当に食べるのが好きなんだねリアリンは、私も好きだけどそれ以上だ」


「美味しいものは幸せの塊ですから!」


「まぁな、うまいもんを食って悪い気持ちになったりはしねぇもんな、確かに食べる事は幸せに繋がるわ」


食べるのが好きだからこそ自分で美味しいものを作るためにリアリンは二人から料理を教わろうとしているのである。


「寝るか、明日も早いしな」


「おやすみー」


「また明日、です」


三人は警戒用の魔道具(不審な者や魔物が接近すると音とランプで警告してくれる機械)を起動させてからな眠りについた。

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