六話
ミネルヴァ王国の飛空艇
アーリアはサリアと共に小型飛空艇に乗り込んでいた。
「サリア!、これどうやって起動させるの!?」
「目の前に水晶が取り付けられているでしょう?それで触れて下さい!」
「これか!分かった!!」
アーリアは目の前の水晶に触れる、すると魔道エンジンが起動したフォォンと言う音が鳴り響く。
『アーリア様、起動の確認こちらでも出来ました、ドッキングを解除致します』
「うん!」
目の前のハンドルと足元のペダルで操作をするのだと理解をしたアーリアはドッキングの解除に迷わず許可した、数秒後にドッキングが解除される振動が機体に走り自由落下し始める機体、アーリアはペダルを踏み込むと機体を加速させる。
「は、速!?、この機体こんなにスピードはでませんのよ!?」
「魔導エンジンに干渉して魔力を送って強化してるの!!」
超加速する小型飛空艇、余りのスピードにサリアはヒィイと手すりにしがみ付く。
「あ、アーリア様が操作する飛空艇が通常の三倍のスピードで離れて行きます・・・」
「流石は魔神だな・・・、我が国を頼みます」
乗組員達は通常の三倍のスピードで離れて行くアーリアが操作する飛空艇のスピードに驚きつつ、彼女が自分の国を救ってくれる事を祈る。
ミネルヴァ王都、近海
「三十分で着いちゃうのは流石に引きますわ!」
「頑張った!」
あの後三倍以上のスピードを出しミネルヴァ王都まで飛んで来たアーリア、三十分と言う速さでここまで駆け付けたアーリアは王都の上空からでも見える巨大なクラーケンの姿を目にする。
「ええー・・・でかー・・・」
アーリアはその巨体を見て面倒臭そうだと言った顔を見せる。
「はい・・・恐るべきサイズですわ・・・」
「だね、ねっ、もうこの国の軍は進軍してるの?」
「はい、先程入った魔導通信によるとクラーケン迎撃の為に出動しているようです」
「よし、なら合流しよう」
アーリアはサリアの案内に従い飛空艇を操作し海軍と合流する。
「サリア姫!?もうお戻りに!?、そしてそちらの方は・・・」
戦艦のすぐそばに着水した船を見た艦長がハッチを開けて出て来た二人の少女を見て駆け寄って来る、そして隣にいる金髪の少女に対して言及した。
「ラーメイヤ王国第二王女アーリア・ラーメイヤです、以後お見知り置きを」
アーリアは手慣れた様子でシャララランと挨拶する。
「アーリア様でしたか!、よくぞ来てくれました!、どうぞこちらへ!」
「うん」
アーリアは飛空艇から船に飛び乗る。
「さて早速だけど、作戦を伝えるね、この戦い、私はあなた達にも死んで欲しくない、だからあなた達にはあいつの左右から魔導砲を使って援護射撃をして貰う、サリア、あなたもここに残ってね」
「わ、分かりました、しかしあなただけで勝てるのですか?」
「勝つつもりしかないよ、王様になるのにこんな所で死んでられるか」
「分かりました、それでは中央はあなたにお任せします」
艦長はアーリアの作戦に了承し自分達の命にも気を使ってくれるアーリアに感謝しペコリと頭を下げた。
「それじゃ始めようか!、変身!!」
アーリアは久し振りに魔族服に変身をする、その瞬間、船員達にえっ?と言う間が走った。
「お、おひいさま?、その格好は・・・?」
「・・・私サキュバスなの、肌露出した方が強いの、だから恥ずかしくても着るの!!」
「あー・・・戦闘服ですか、大胆ですわね・・・」
「い、行ってくりゅ!!」
戦闘前に着ておいた方が良いため魔族服を先に着たが、大勢に見られることになり恥ずかしい思いをしたアーリアは、顔を真っ赤にさせながら魔力で作った足場で海の上を駆けてクラーケンと相対する。
「それでは艦長、私も行って来ますわ、おひいさまには止められましたが、彼女をここに呼んだのは私、ならこんな所で待っている事は私には出来ませんの」
「分かりました、ご武運を・・・」
「ええ!」
サリアもアーリアのように海の上を走りクラーケンに向かう。




