何もなかったように
きっとなんにも無くなって
いつか誰かに忘れさられて
その時僕は
いなくなったことになるだろう
揃えられた足音は常に聞こえて
近づいてはちらとこちらを伺って
その時僕は
歪んだ笑顔でその場を凌ぐだろう
抱え続けた思いは薄まって
それでもいいやと自分を茶化して
違うと言えずそうだと頷いて
その時僕は
嘘みたいに別の人間になっているだろう
悲しさに途方にくれて
寂しさに暖かさを求めて
似たような人間は似たような人間を集め
空気に酔い大切なことを忘れ
みんなはこうだと
誰に教えられた訳でない
不安定な常識に従う
その時僕は
過去の自分に別れを告げるだろう
何もなかったように
何もなかったように