踊らされた者達の末路
※リーテ・エルドルテ
(どう言うことなの?やっと、やっと夢が叶ったのに)
東侯爵令嬢リーテ・エルドルテは、ギリギリと歯を噛み絞める。
大嫌いだった第一王子が自爆して、相手の女と国外追放になってから数年。
長年好きだった第二王子ルイス・エンゲーベルトと婚約を結び、祝福のなか結婚したのが去年のこと。
リーテは早く子供が欲しく、ルイスはまだ早い、ゆっくり歩んでいこうと意見が食い違い、言い合いに発展した。
そんな中、起きた政権争い。
今まで争いなどなかったと言うのに。
リーテは思いもしない。政権争いが起きないよう均衡を保っていたのが、かつての婚約者であったことを。
そして、ある日知り合いの貴族から驚くべき情報を聞く。
『ルイス様はまた重い病にかかったようだ。この万能薬を飲ませば、たちまちに……』
リーテはそれを鵜呑みにして、その薬を病など掛かってないと言うルイスに無理矢理飲ませ……死に至らしめた。
かつて王太子殿下の婚約者に相応しい聡明さと美貌を誇っていたリーテ・エルドルテはただのまやかしであり、その最後は部屋に閉じ込められ、餓死したと言う。
※ルイス・エンゲーベルト
兄である第一王子が失脚し、今まで目も向けられなかった第二王子ルイスは今や時の人となっていた。
ずっと好きだった東侯爵令嬢リーテと晴れて婚姻を結び、王太子としての仕事を励み、民から応援され、順風満帆の日々を送っていた。
切っ掛けは些細なことだった。
とある孤児院のお金の動きがおかしいことに気づき、議会で言及した。
すると、今まで笑顔だった議員が凍り付き、その話は流された。
あとから聞いた話では、その孤児院のことは狡猾な貴族が運営しており、慎重に断罪する機会を伺っていたというらしい。
その孤児院は、子供も院長ももろとも”不幸な”火事で全焼し、全員死亡が確認され、情報が得られないまま、終わった。
それからと言うもの、ルイスの発言一つ一つに制止をいれたり、通りすがりに嫌みを言われたりし、貴族達による派閥が出来はじめた。
ルイスは、貴族の駆け引きや関係を知らなかった。
王太子になるまで離宮出すごし、汚いところを知らないまま立太子したのだから、当然のことだった。
でも、王宮では”知らない”が通用しない。
夫婦関係でもヒビが入り、修復しようと努力を重ねるも不満が募るばかりで意味をなさず。
悪化する政権争いの中で、嘘の情報を聞かされた妻リーテに万能薬と言う名の毒薬を飲まされ死亡した。
最後に思い浮かんだのは、兄の意味ありげな笑顔だった。
本編はこれで最後です。
次のページには、内容を簡単(?)に纏めたキャラクター達の設定を挙げてます。
ここまで、読んでいただきありがとうございます。