-猩々の血と絳き零星-
今日は。もう十二話です。干支で言うと一週目、時で言えば一廻り。十二って、何だか特別な数字だなぁと思います。
さて、そんなこんなで此の話はタイトルの通り、出て来るのは猩々です。はい、何の捻りもありません。御酒の好きな真絳な猿、オラウータンの事ですね。
只此を書くとあれなんですけど、実は筆者は余猿類は好まないのです・・・御免ね。妖怪とかは多いけど、斯う話が浮かばないんですよね、可愛くないし・・・。
だから今回はこんな話になっちゃうのかな、とも思ったのですが、其処は御了承頂いて御読み頂けたらと思います。まぁ何時も通りのエンドなのでね、はい。
ではどうぞ、御手を出して。貴方も彼等の宴会に加わりませんか?屹度真絳で素敵に愉快な催し物が見られますよ。
紅鏡と呼ばれる零星に、沢山の猩々がいました
毎日酒を飲み、騒いで、過ごしていました
でも飽きがやって来ます
長寿の猩々、酒呑みにも飽きて来ます
気晴らしにちゃんばらごっこをしてみました
疎らに猩々達が手を打ちます
其の時、勢い余って一匹の猩々が怪我をしました
絳い、其は猩々の毛よりも絳い血が流れました
名に零星を冠する者、彼等は零星を愛し、又其の絳を誇りに思っていました
そして自らも最も誇り高き者と思っていました
だから彼等は色めきました
鳴り止まない位手を叩きました
飛び上がりました
踊り出しました
自らの真なる絳に
最大限の敬畏を
彼等はちゃんばらごっこを止めて、殺し合いました
初めて争いました、襲いました、殺しました
其は本当のちゃんばらでした
長寿の彼等に仲間意識はありません
殺しすら余興でした
何時しか最も仲間を殺した者が称えられる様になりました
時が経ち、随分と減った紅鏡の猩々
誰もが皆、比類無き程絳かった
久方振りに酒でも呑もうかと思った所に、小さな彗星が紅鏡へ落ちて来ました
其は地に焔を残し、其を見た猩々は更に色めき立ちました
何と美しき物かと
彼等は初めて焔を見たのでした
ある者は焔へ飛び込みました
ある者は燃え易い物を投げ込みました
焔は止まる所を知りません
何時しか焔は紅鏡を包み込みました
他の零星の者は言う
今宵はやけに絳いと
美しく照っていると
猩々が酒盛りをしているに違いないと
其は血か焔か紅鏡か
絳き獣は何処にも見えず
紅鏡が只煌いていた
-Fin-
はい、どうも。毎度こんな感じですね。早くもマンネリ化を感じる筆者です。(其でも書き続けるけれど)
気付かれた方もいらっしゃると思いますけれど、此の話は前回の皓狼ともリンクしています。元々そんなつもりはなかったし、別に皓狼の次に書いた話ではなかったのですけれど、偶々繋がっていたと言うか・・・。
だから別に此の二話が特別な話と言う訳ではありません。其に今更ですけれど、全ての物語は何時か何処かの世界で語られた物、と言うのが前提です。其の為全て世界と言う物で繋がっているとも言えるし、全て単独だとも言えます。要は余深い意味はないと言う事です。適当に流しましょう。(何だ其のオチ・・・)
今回のは其こそ余興みたいな御話だったので、次のカワイ子ちゃんの事を既に考えている筆者です。予定としてはもうゲームや小説でベターな、割かし良いポジションを取ってると密かに思いを寄せているあの子です。御楽しみに。(当然バッドエンドだけれどもね!)
では、良い物語を。