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4話 覚醒

俺達は目の前の現実が信じらず、硬直してしまっていた。

『げぎゃ、げぎゃぎゃがが』

目の前にいる緑色で、160cmほどの鋭い牙をもった化け物がよっくりと、にやにやしながら動き始めた。

やばい、やばい!このままじゃせっかく転生したのにもうゲームオーバーになる。

俺と他3人は今の状況が信じられず震えていたが、化け物が動き始めたら

「サラ様、セイ様をお願いします。私がゴブリンを抑えますので、お逃げください。アラン様はお二人をお守りください。出来ますね?」

「でも、でもミアをおいてくなんて・・・」

「わ、分かったわ。セイちゃんを守る」サラは泣きそうになりながらも、俺をミアから受け取る。

「でも、でもミアが死んじゃうよ。」

「いいですか!?ゴブリンの一体ぐらいならば私でもどうにかなりますが、誰かを守りながら戦うのは無理です。なので早く逃げなさい。」

くそ、こんな時俺に力があれば・・また、何も俺は出来ないのか?

(・・っ)ん?なんだ?

自分の無力さに嫌気がさしている時、頭にささやきが聞こえた気がした。

「わかった。二人は必ず守って見せる。」

兄は腰に差してある剣に手を乗せながら、決意を秘めた顔をしていた。

「頼みましたよ。では!」

ミアは向かってくるゴブリンに懐から取り出したナイフを片手に駆けだした。

(必ずこの子達は守って見せる)「キンっ!ギャリ」

「カン、ギャリリリ」

ゴブリンの短剣と、ミアのナイフのぶつかる音が建物の中に響きわたる。

「カカン、ザシュ!!」

「くっ、」

ゴブリンの短剣、ミアのナイフとがぶつかりあい数秒毎に両者に薄い切り傷が出来始める。

「今です!お逃げください。」

ミアがつばぜり合いに持ち込み、その隙に俺達3人は扉へ駆けだした。

「ミア必ず生き残れよ。二人は必ず俺が守るから。」

「ミア死なないでね。」

恐怖の中、二人は泣きながらも命を賭けて戦うミアの為に必ず生き延びると力強い意志を持っていた。

そして、三人は外に飛び出したが、外はさらに酷い状況だった。

なんだこれは・・・酷すぎる。あんまりだ。

外は白い雪が降っていた。そして、靴が少し埋もれる程積もった雪景色の中に、木材、肉の焼ける匂いに混じって鉄のような生臭い匂いが充満し、村は悲鳴と共に薄紅色の光に覆われていた。そこ彼処に動かなくなり、赤い水溜りに倒れこむ人の姿が見られる。

「いやーーーーーー!!!」

その中の一際体の小さい子供の様な亡骸に姉は駆け寄る。

「そんな、そんな、カレン起きて!起きてよ!!」

姉さんの友達かな・・・うっ、初めて間近で人の死を見たが、嫌なものだな。このままじゃ俺たちも危ない。どうにかしないと。

実際は動けず、喋れない今の自分に、今の状況にどうすれば切り抜けられるか分からなくなっていた。

兄はそんな姉を見て、最初こそ動揺していたが今は、「サラ今は悲しんでる場合じゃない、泣くのは後に今は逃げる事だけを考えろ」

しかし、姉は泣き止む事はなく、俺を抱いたまま亡骸の横に蹲る。

「パーン!!」

「いい加減にしろサラ!!このままじゃ俺達だけじゃなくセイも危ないんだぞ。お前もお姉さんだろ、しっかりしろ。」

「・・・ヒック、グス。うん。」

数秒後弱弱しくも、姉は涙を流しながらも立ち上がった。

「父さん達は心配だけど、とりあえず隣町に逃げるぞ。」

町の反対に三人で向かい始めた時・・・

「クガ、ゲギャクギャア」

「ゲギャギャ」

「クソ、まだこんなにいたのか・・・」

やばい、やばい、さっきの化け物がこんなにいる。

村の家の中、間からゴブリンが6匹俺達の周りに集まってきた。

それぞれ、手持つこん棒、短剣、ナイフが赤く染まり、牙の生えた口からは赤い液体が滴り落ちていた。

「い・・いや、お兄ちゃん・・」

「大丈夫だ。二人は必ず守るから俺の後ろにいろ。」

「わかった。お兄ちゃんは死なないでよ。」

「任せろ。これでも毎日父さんと訓練してるんだからな。」

姉が後ろに下がると同時に、ゴブリン達はじりじりと距離を詰めてきた。

先に動いたのは、兄からだった。

「はっ!やっ!!」

上段から斜めに切りつけ、そのまま切り返し一刀。『ザシュシュ!!』

強い、一瞬で一匹倒した。兄さんはこんな強かったのか。(あ、危ない!!)

一匹倒したまではよかったが、そこで2匹が突っ込んできた。

「グアーーーー」『バキっ』と音と共に兄が吹き飛ぶ。

そのまま横の家の壁に当たり動かなくなった。ゴブリンのこん棒が腕に当たったのか腕はありえない方向に曲がっていが、胸が動いていつので死んではいないようだ。

そして、俺と姉の二人はゴブリン5匹に囲まれてしまった。姉は青い顔でへたり込んでしまい、何処か諦めた顔をしている。周りには助けてくれる兄や、大人たちはいない。

どうしてこうなった。また俺は何にも出来ずに、大切な人達を守れないのか・・・

この世界なら俺は強く、誰よりも強く慣れると思ったのに・・強くなりたい。誰も失わない様な、守れるような強い力がほしい。

セイは前世の時と同じ死を間近に感じる感覚の中、同じ様に強く強く思っていた。


『 条件を満たしました。スキルを解放します。』

『【 固有スキル】【 氷雪の支配者 】が解放されました。』

『【 固有スキル 】【 氷雪の支配者 】の解放により、【 魔法 】【氷結魔法】、【 スキル 】【 魔力感知・魔力操作・魔力増幅(極)・魔力回復(極)・無詠唱・状態異常耐性 】が解放され、【 鑑定 】が【 看破 】に上書きされました。』


セイの頭の中に声が響いた。

次の瞬間、ニヤニヤとこちらに近づいて来ていたゴブリンの歩みが止まり、降っていた雪、降り積もった雪が、セイ達を中心にぐるぐると円を描く様に周り始め、キラキラと雪が光を帯びて舞っていた。


お前達なんかに俺の大切な人たちは奪わせたりはしない!!

何故か体から力が抜けていく様な感覚に襲われながら、薄れゆく意識の中でセイは雪に包まれゆくゴブリン達を睨みつけていた。


そして、雪の舞いが収まった後には意識を失った赤ん坊と、呆然と座り込んだまま動かない少女と、雪のオブジェとかしたゴブリン達が残されていた・・・






・・・・・

投稿遅くなりました(汗)

仕事が忙しくて更新出来ない事も思いますが、ちゃんと更新していくんで読んでもらえたら嬉しいです。

感想、意見お待ちしてます。よろしくお願いします。

・・・・・

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