得手不得手[イメージ]
コツコツ行きます
平原の向こうに太陽が沈もうとしている。
頭に疑問符を浮かべたユートとミチオは、ここでようやく互いの端末を見せ合うことになった。
最初にみた時はステータススキルと、フィジカルスキルの五感スキルに○呼吸と○超感覚があるだけで二人とも同じスキル構成だった。
それが半日行動しただけでこんなにも変化するのかと驚く2人。
「なるほどな」
互いのスキル確認が済み、ユートとミチオはひとつの結論をつけた。
「つまりそれぞれの認識によって、同名でもスキルのあり方が違うと」
「僕は魔力を精神的な超常の力だと認識しているし、ユートは空気のような、世界を構成する物質的要素だと認識している。
だからスキルカテゴリが違うんだ」
「しかもこの認識の差異は、魔法スキルの習得の可否や威力にすらあらわれるらしいと」
そう、ユートはミチオの魔法を一部再現できなかった。
いくつか試してみた結果、ユートのマジカルスキルに現れたのは
○マジックバレット 空を切った
○ウォーターバレット 空を切った
この2つだ。
対してミチオのマジカルスキルは
○マジックバレット 空を切った
○ウォーターバレット 空を切った
○クリエイトウォーター 水たまりを作った
○ウォーターヒール 日焼けを癒やした
○ウォーターボール 仲間を水浸しにした
5つも習得していた。
「魔法は魔力を使って撃つモノって印象があるんだよなぁ」
「逆に僕は魔力でモノを生み出すってイメージだから撃ち出す方は苦手っぽいね」
二人で夢中で魔法の検証をしていたため、気づけばあたりはほぼ真っ暗闇だ。
明かりは二人の手元の端末にしかない。
「遅いしもう寝るか」
「野宿だね。あー、そういや暑いから忘れてたけど、ユートずっと裸だったね」
「ああ、サボテンのやつしこたま殴ったから穴だらけだしなー」
「夜寒くなったりしないかな。僕のシャツ着る?」
「そしたらミチオはどうするんだよ」
ユートはミチオの気遣いに苦笑する。
「この木の葉っぱでも1枚落ちてれば羽織って寝れそうなんだけどな」
と、呟いたのが聞こえたのか偶然か、捻れた幹の上からひときわ大きな葉がユートの頭に落ちる。
「うはっ!ありがとよ!!」
この夜はよく寝れそうだと、ユートは思うのだった。
そして、怪物[モンスター]たちの夜が始まった
よろしくおねがいします