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プロローグと言う名の戯言。 1

改訂しました。大幅に追加補足しました。

少し設定を変えました。矛盾点を修正しました。

段落の修正を今さらしています。(笑)

誤字脱字修正チェックしています。


HDのサルベージが完了し、書いていた物が復活しました。

文章を追加し、自分の思っている完全な形となりました。

精進しますのでよろしくお願いします。


2017年09月17日改訂

 気がついたら、何もない空間(・・・・・・)に居た。


 暫く呆けていたが、何時迄もそんなことをしていても何も始まらない。

 取り敢えず、現状確認を試みる。


 周囲をぐるりと見渡すと、なんだか薄ら明るいが視界は悪い。

 例えるなら、霧か、煙の中にいるようで、モヤモヤとしている。


 目が霞んでいるのかと思ったが違うらしい。

 極端に目が悪くなったかと思ったが、それも違うみたいだ。


 座っているかと思ったら、違うみたいだ。

 寝ているかと思ったが、これも違うらしい。


 地面も天井も壁もない。上もなければ下もない。

 宙に浮かんでいるかも知れない。

 もしかして、ひっくり返っているかも知れない。


 驚いたことに、この空間には音がないのだ。完全な無音だ。

 不思議なことだが物音一つないのだ。

 キーン……と耳鳴りのほうが大きく聞こえるぐらいだ。


 視界が悪く、音がない。身体の感覚も何かおかしい。


 ここまでを纏めると……

 気が付いたら、何もない空間(・・・・・・)に俺は居た。


 視界が悪く、まるで霧の中にいるようで完全な無音だ。

 そして、なによりも不思議なことだが、身体がまったく動かない。


 現実感がまるでない光景。いつか見た、訳の分からない夢のようだ。

 しかし、夢にしてはやけに現実(リアル)だ。

 これがもし夢だったら、なかなかの悪夢だと思う。


 かなりの時間をこうしているが、まったく同じ状況だ。

 悪夢から目覚める気配はなく、時間だけが過ぎてゆく。



 *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *



 相変わらず、ピクリとも動けない俺。

 体感時間としては、かなりの時間が経過していると思う。


 更に時間が経過する。状況が変わる気配がない。

 更に時間が過ぎて行く。当たり前のように何も変わらない。


 いよいよ気が付く。とんでもない悪夢かと思ったら違うようだ。


 よし。ここは不思議な世界で、俺は何者かに捕らわれているみたいだ。

 これは現実(リアル)だ。理解した。間違いなく現実(リアル)なんだ。


 視界が悪く音もない。そんな中で、研ぎ澄まされた感覚だけが頼りだ。

 更に時が過ぎる。感覚はますます研ぎ澄まされる。


 そして何かが引っかかる。些細な気配だが、どうしても感じるのだ。


 何者かに見られている。


 最初は気の所為かと思ったが、時間の経過とともに確信した。

 何者かが俺を見ている。それだけは漠然と分かった。

 今のところ害はない。害はないのだが、視線の持ち主に不快を感じた。


 視線の主は話しかけるでもなく、監視又は観察しているだけのようだ。

 じっくりと、ねっとりと見られているように感じた。


 物凄く気味が悪い。見られている俺は不快でしかない。

 視線の持ち主はいったい何者なんだろうか?

 考えられるとしたら俺をこんなところに閉じ込めた奴なのか?

 目的はなんだ?いったいなんのつもりなんだ?


 胸糞悪いが今はどうすることもできない。

 どういうわけだか分からないが、まったく動けないのだから。


 気が付いたら、訳の分からない空間に俺は居た。

 まったく身動きができず、時間だけが無駄に過ぎて行く。

 そしてこれは重要な事だが、意識だけはハッキリしている。


 健全な神経の持ち主なら確実に混乱し狼狽えることだろう。

 もしくは、完全に発狂してしまうのは間違いないと思う。


 けれど、俺は狼狽えることもなく冷静だった。

 狼狽えたところで特に状況が変わるわけじゃない。

 こうなれば開き直りだ。成り行きに任せることにした。

 特にすることがないから、情報の整理をして暇と時間を潰す。


 まず大前提として、ここ(・・)が、何処(・・)だか分からない。


 俺の僅かな人生経験の中で、こんな場所は知らない。

 ついでに言えば、見たことがないし聞いたこともない。

 つまり、まったく何も分からない。

 問題の解決には程遠い。情報が欲しいものだ。



 ……ああ、また振り出しに戻ってしまった。


 実はこんな思考の纏まらない事を何回も飽きもせず繰り返している。

 とにかく暇だから、俺のやれる事といえば考えることしかできない。

 飽きもせず繰り返しを続けているが、暇潰しにはなる。

 だから冷静でいられただけの話だ。


 虚勢を張っても仕方がないから白状する。


 もちろん最初は大混乱になったよ!

 それも盛大に、恥ずかしいぐらいにな!


 最初に気付いた時は、発狂するぐらいに狼狽えたものだ。

 このまま狂ってしまうかも知れない。正に発狂一歩手前だった。


 何度も挫折し、何度も絶望した。

 激しく泣き喚いたこともあったっけ。

 自暴自棄となり、ネガティブな感情に囚われ自殺も考えた。

 しかし、身動き一つできないから、どうしようもない。


 だから考えることにした。ただ、ひたすら考えに考え抜く。

 途方もなく贅沢に時間を使って克服できたわけだ。


 目が覚めてから随分と長い時間が経過したかと思う。

 時間の感覚なんかとっくに麻痺しているから贅沢に時間を消費している。


 不思議なことだが生理的欲求が俺にはない。

 食うことも、眠ることも、出す(・・)ことさえ必要がなかった。


 そもそも身動きできないし、身体の感覚がまったくない。

 意識だけハッキリしてて、その他は感覚すらないのだ。


 まるで意識だけの存在になってしまったかのようだ。

 非常識極まりないが、そうでしか説明しようがない。


 しかし何時までもアホみたいに混乱してもなにも進展しない。

 だから頭が冷えて冷静になり、堂々巡りをしているわけだな。これが。


 どんなつまらないことでも、なにかをしてさえいれば暇つぶしにはなる。

 例えそれが無駄でくだらないことであっても、取り敢えず身体を動かせさえすれば事足りるものだ。

 普通はそうだ。だが、それができない。思考以外なに一つできないのだ。


 いったい俺がなにをしたっていうんだ?

 これはいったいどんな罰ゲームなんだ?


 自分の身の上に起こった災難に嘆くだけしかできないのがもどかしい。

 することがないのは拷問だ。目的もなにもない。正に拷問だ。

 必死で時間を潰して、状況の変化を期待しているがなにも変わらない。


 相変わらず訳の分からない場所で身動き一つできやしない。

 こんな状況では、嫌でも適応能力が身に付くものだ。

 だから今では強靭な意思と胆力が身についてしまったようだ、


 思考の堂々巡りも飽きてきた。

 もう、88568回もしている。88568回もだ。

 律儀に数えているが、数えると決めた以前の数字も膨大だった。


 今更だが変化を求めるべきだ。

 今回は少し変わったことをしてみたい。

 できることは限られているが、やれることはやってみるべきだ。


 再び自分の状態を確認する。


 真っ暗じゃないから、自分の手足ぐらい確認できるはずだ。

 しかし、これが実に奇妙な現象に驚きを隠せない。

 手足の感触があるのに、その手足が見えないのだ。


 両手を合わせて合掌をしてみる。空振りする。


 両手で顔を触ってみる。虚しく空振りだ。


 両手で身体を(まさぐ)ってみた。やはり空振りだ。


 走り出してみようと試みる。この場から一歩も進めない。


 大声で喚いてみる。自分でも驚くほど声が大きいのが分かった。


 大声で歌を歌ってみた。音痴は健在だった。


 大声が聞こえるということは、耳は聞こえているらしい。

 耳が聞こえていると、勘違いしているだけかも知れないが。


 腹は減ってはいない。喉の渇きもないし食欲という物を一切感じない。

 精神の欲求としては、何か腹に入れたいという気持ちはある。

 しかし、特に必要があるかといえば、必要がないかも知れない。


 これらの結果を踏まえた結論。

 五感の感覚はあるようだが、正常に働いていないらしい。


 これは俺の自己判断だが、頭が狂ったわけではないと信じたい。

 状況確認ができるぐらいだから、思考能力は健在だと思いたい。


 自信がないけど俺は正気だ。多分そうに違いない。

 ちっぽけな願望だが俺は正気だ。正気なんだ。

 正気、正気、正気……おっと、落ち着け。俺様。


 考えられることは、ここは夢の世界なのか?

 現実と空想の間で、盛大なアホをやっているのか?

 俺の深層意識の中でこんな拷問を楽しむ嗜好があるとでもいうのか?


 再び冷静になって考えてみる。

 それはないと思っていたが、ある結論に達する。

 とんでもない悪夢か、やっぱり、アレ(・・)かな?


 最初からそう考えればよかったんだ。それなら矛盾もない。

 そう、それは単純(シンプル)な答えだ。

 それにもう限界だ。まともでいられる自信がなくなってきた。

 絶対に容認できないが、これしか答えが見つからなかった。


 まず、完全に自覚した。これは夢では断じてない。

 これは現実(リアル)であり、俺は何者かに拉致されて拘束されている。

 意識と感覚だけがあり、その他は完全に皆無である。

 そして現実(リアル)ではあり得ない空間。


 それらを踏まえた結果、導き出された答えははこれしかない。


「……俺って、死んだかも知れないな」


 昔から人は死んだら、あの世(・・・)に逝くと伝えられている。

 誰が言い出したか知らないし興味もないが、確かにそう言われてきた。


 その理屈だと、今の俺の状態は、魂とか霊魂の類になるのか?


 認めたくはないが、分析の結果、事実は事実だ。

 認識するしかない。納得いかないが、現状を受け入れるしかない。


 俺は物事に執着しない。あるがままに受け入れる。

 我ながら楽でいい加減な性格に呆れてしまう。


 結論に達した割りには、あい変わらず現状に変化はない。

 何者かが突然現れて、正解とほざいて状況の変化が起きると期待した。

 けれど、清々しいくらい何もない。静寂だけが続くだけだ。


 こうなればやることは一つだけだ。

 引き続き深遠なる思考の海の中に自分を浮かべるだけだ。

 そうやって時間を淡々と潰している。

 何故なら、動けない俺にできることはそれしかないから。


 今日も自己分析にテーマを絞る。


 この状況について、幾ら考えても答えなんか出ない。

 確証に至る情報がないから、俺が必死に考えたものは憶測に過ぎない。

 客観的に見れば、これは強制的な放置プレイだ。

 何者かの仕業だとすれば、そいつは随分と酷な奴だと思う。


 なにしろ問答無用の放置プレイだ。説明もクソもない。

 勿論、俺にはこんな高度な趣味はない。

 放置されるぐらいなら、なにかをさせて欲しいものだ。


 俺が洒落にならない悪さしてこうなってしまったのか?もしかして、何者かの怒りを買うような真似をしたのか?


 例のごとく、突拍子のない仮説を思いつく。


 ま、まさか……ここ(・・)は地獄じゃないだろうな?

 地獄と言えば、閻魔様とやらが裁きをすると物の本に書いてあった。


 生前、なにか悪さして死んだら、地獄に行くと伝えられている。

 閻魔大王には嘘が一切通用せず、その罪に応じた裁きを言い渡されるそうだ。


 地獄には、その罪に応じた小地獄に強制的に送り込まれ、獄卒の鬼が文字通り、鬼のような責め苦を負わすそうだ。


 そして、これは重要な事だが、刑期がとても永い。

 もう本当に、あり得ない程に永いのだ。


 最も軽い小地獄は、等活地獄である。

 この衆人の刑期は500年だ。

 しかし、この500年は人間世界の500年ではなく等活地獄の500年であり、刑期は人間世界の50年間が等活地獄の1日1夜だ。


 つまり1日であり、これが500年続くのだ。

 これは、人間世界の時間に換算すると驚くなかれ。

 約1兆6653億年であったりする。


 こんな雑学でも覚えておいて正解だった。

 とんでもなくアホみたいな数字だ。

 でも、そんな裁きなんかして貰った覚えはないな。

 更に言えば、鬼なんて出でこなかったが?


 もしかして絶対の無で、ひたすら孤独に苦しむ地獄なのか?

 もしそうなら、とんでもなく酷い地獄だ。究極の放置プレイだな。

 しかも、まったく動けず考えることしかできない生殺し状態が果てしなく続くとか?


 …………アホらしい。


 また、暇潰しにもならない、つまらん妄想に捕らわれてしまった。


 ふんっ……だから、それがどうしたと言うんだ?

 これがそうだとしても、なにも変わらないだろうよ。

 地獄なら地獄でもいいから、なにか変化をくれっ!


 いかん。これじゃ被害妄想が肥大化するな。

 やれやれだぜ。バカ野郎……泣けてくるぜ……。


 大声で怒鳴っても、気分はぜんぜんスッキリしない。

 ただ、静寂だけの虚しい空間があるだけだ。

 いったい何時まで続くんだ?この耐え難い放置プレイは?


 嘆いていても仕方がないから、ひたすら時間を潰すしかない。

 さて、どうやって時間を潰すかな……。


 ……また堂々巡りの始まりか。

 これで88569回目だ。本当にやれやれだ。



*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *



 思考のループをする度に、なにか新しい発見を得ることができる。

 単に選択が増えただけだが、なにもしないより遥かにマシだ。

 堂々巡りはまだまだ続きそうで、ウンザリする。先は長そうだな。


 しかし、99999回目に到達する頃から数えるのは止めた。

 なんだか無性に虚しくなったし無駄に思えたから。


 数えるのに意味があったのか?




*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *




 あれから何日たったのか分からない。

 もしかしたら、何十年も経過しているかも知れない。

 時間も日付も数えるのを止めたから、すっかり忘れてしまった。

 得意の開き直りで、妙な生活(・・)にもすっかり慣れてしまった。


 今日の暇潰しのテーマは自己分析だ。


 毎日そうだから特に気にしない。淡々と確実に時間を潰して行く。

 そんな毎日の中で唯一つホッとしていることがある。


 よかった。俺はまだ(・・)、気が狂っていない。

 俺はまだ(・・)、ぜんぜん正気らしい。

 しかし、それでも何時まで自我を保てるか分からない。

 限界の時も近い……そう思った。


 さて、今度はなにを考えようかな……と。




*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  




 やあ、俺だ、俺。えっと……なんだっけか?

 ああ、そうそう、今度はなにを考えようかなだっけか?

 自我を保つための独り言もすっかり様になってしまったな。


 それから何日たったのか何年になのか、数えるのもアホらしい時を過ごした。

 意識だけが鮮明で、身動き一つできない日常にも慣れてしまった。

 これが普通と思っても構わない。特になにも変わらないのだから。



 *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *



 もう駄目だ。もう限界だ。意識を手放しても構うものか。


 正気を保つのが難しいと判断し、自我を手放そうかと思った。

 だが、何故かそれができない。

 俺の意識の中で、とても頑固な奴がいるらしい。


 この仕返しをするまで、俺は正気でいるべきだ。

 事の顛末を確かめるまであきらめてなるものか。


 とても頑固な俺が、そう叫んだような気がした。


 ふむ。そうか。それならよろしい。行くとこまで行くとするかね。


 さて、正気を保つために瞑想でしておくか。

 もうずーっとしてるがね。構うものか。やることをやるまでだ。

誤字脱字を修正しています。

矛盾の無いように心がけていますがよろしくお願いします。

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