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★王様と執事と医者・1★

「あー、なんかもうダメっぽいー。ワシ死ぬかもーちょー気持ち悪いしー?」



毛足の長い高級絨毯がひかれただだっぴろい部屋の中央に

天蓋の付いたキングサイズのベッドが据えてある。

ふかふか羽毛布団(通販で買ったとかそういうんじゃなくとっても高級なやつ)

に埋もれているハゲ親父…

いや、毛髪が少々お無くなりあそばしている中年の男性はこの国の王様。


王様は顔色が紫色。

目もいっちゃってるカンジ。


「あ゛う゛ぅ…お星様見える~吐きそうー…」


死にそうなわりに結構喋ってる王様の横には、

ひどく痩せた70代位の執事(主成分の90%は恐らく骨と皮)が一人と

城付きの医者だと思われる白衣を着た小太りの男(主成分80%は贅肉)が一人。



「王様!しっかりなさってください!!お妃様も早くに亡くなりお世継ぎもおらず今あなた様まで儚くなってしまったらこの国はお終いです!!」



執事が王様の手を握って叫ぶ。

彼は優秀な執事だ。

ちゃんと物語の流れを汲み取って現状の説明をしてくれる。


「そうですよ王様!もう少しすれば薬も効いて楽になりますから!ほら ひっひっふー ひっひっふー!!」


医者が肥えた身体をゆすって懸命に励ます。

しかしラマーズ法を出してくるあたり彼がヤブである可能性は高い。




「うーん…、でもワシももう50に手が届くし…そろそろ養子とか考えた方がいいかもー

ん   ん、あ…そういえば」


ふと王様が言葉を切る。


「へ?どうなさいましたか王様」


「あー、なんか今ちょっと吐き気とともに思い出したんだけどぉ…ワシ子供いるかもー」


布団の中でもじもじと王様が両手の指を合わせたり動かしたりしている。

吐き気とともに思い出す子供とかいやだ。


「な、どういうことですか王様!だって三年前に亡くなられたお妃様との間には…」


口角から唾をびょんびょん飛ばしながら執事が問いただす。

頭まで布団を被っていた王様はちょっとだけ顔を出してパチパチと小さな瞳でまばたきをしてからウ゛―とかいってまた布団にもぐる。

かわいい女の子がやったらかわいい仕草だがおっさんがやると気色悪いことこの上ない。

てか、たとえドジョウ掬いだろうがヒゲダンスだろうがかわいい女の子がやればなんだってかわいいし。(どうでもいい)




「えーっとぉ…そのぉ 愛人?みたいなぁ~」


「うわっ!王様フケツ!!しかも子供がいる事今まで忘れてたんですか?!」


執事と医者が信じらんなぁーいとか言って手を取り合う。


「だ、だってだってワシも若かったしー、その子供も生まれてすぐ愛人がちらっと見せにきたきり一度も会ってないしー」


「で、ででで!そのお子は今どこにいらっしゃるんですか?王子ですか?姫ですか?」


すぐに城に迎えましょう!!と執事が王様の胸倉を掴んで揺さぶる。


「うぐぐ…や やめ し死ぬ死ぬ!ワシ病人だってば!!

えーだからー本当に赤ん坊の時ちらっと見ただけなんだってばー

それにその子の母親である愛人は行方不明で生死も不明でー風の噂では死んじゃったとかあ…」


「なななななんああっ!じゃあお子はどうなってるんですかぁ?!

どうして引き取らなかったんですか!!この薄情者めっ!!」


執事が壊れだし王様に暴言は吐きまくるが王様は怯えてしまって怒ることもできない。


「わ ワシわかぁんなぁーい!だってだって愛人が死んじゃったって聞いたときまだ王妃生きてから!

子供引き取ったら浮気バレちゃうから!」


布団を抱しめて瞳をウルウルさせている。


「だったら今から探しましょう!!草の根わけても探しましょう!!!

ほら子供の年齢!特徴!髪の色瞳の色ホクロの位置!

思い出してください、そのハゲ頭をフルに使って記憶を手繰りよせるんですっ!!

誰か!誰か!緊急会議の用意を!!」



病人の枕元であるにもかかわらず執事が怒鳴る。

廊下や隣の部屋で控えていた召使達が慌ててバタバタと走り出す。








それから数日後

その国には大量のビラが配られ、また同じ内容の紙がいたるところに貼りまくられた。


――――――――――――――――

緊急号外!

王様のご落胤はどこだ?!


数年前から臥せがちな王様はお妃様を亡くされお子もいらっしゃらない。

しかし実は愛人との間にお子様がいたらしい。

お子は現在14歳~15歳。

赤ん坊の時は金髪っぽかった。

男女どちらだかは不明。

王様の話によると王様に似て可愛い感じだった。

(また王様が思い出ししだい特徴を発表する)


…もしそれっぽい人間がいたらお城まで!

――――――――――――――――


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