じじい・リターンズ
一番最初のとこに人物紹介(イラスト付)をわりこみさせてみました。
「薔薇をチューリップとか言いやがったあんたに聞くだけ無駄だとは思うけど、『薔薇の女王』の話を知ってる?」
チラシをあらためて眺めながら、シエラがたずねる。
「めっちゃタイムリーっすね!つい数分前に聞きかじりましたよその話!ご都合主義に!」
ヒップホップでも歌いそうに軽くエヴァが答える。
軽そうなイメージだったからヒップホップって書いてみたけどそういえばヒップホップでどんなのか知らない。ホップステップとかそんな感じなのだろうか。
へらへらと笑うエヴァを数秒眺めチラシを見つめ、シエラは重くため息を吐いた。
「この国中にばら撒かれている王様の子供探しのビラはあんたも見たことあるわよね?」
そう言うと先ほどのチラシとは別の、どこからかひっぺがしてきたと思われる少し色褪せたチラシをヒラヒラと見せる。
「ええ、もう嫌ってほど見てますよ。今朝もこれのせいで転びましたし」
エヴァは顔をしかめながらチラシを眺める。
――――――――――――――――
緊急号外!
王様のご落胤はどこだ?!
数年前から臥せがちな王様はお妃様を亡くされお子もいらっしゃらない。
しかし実は愛人との間にお子様がいたらしい。
お子は現在14歳~15歳。
赤ん坊の時は金髪っぽかった。
男女どちらだかは不明。
王様の話によると王様に似て可愛い感じだった。
(また王様が思い出ししだい特徴を発表する)
…もしそれっぽい人間がいたらお城まで!
――――――――――――――――
「これがどうしたんですか?」
「で、これがさっき届いたやつよ」
シエラは手に持っていたチラシを掲げる。
そこには朱文字でこう付けたされていた。
『女の子だった場合、名前はエヴァンジェリンである確立が高い』
沈黙。
「なんすかこの嘘みたいなつけたしっぷり」
「知らないわよ、そもそもこの国の王様はうつけなんだか優秀なんだかわからないって諸外国から気味悪がられてるくらいわけわかんない人物だし」
驚くよりも白けたような表情でエヴァが吐き捨てる。
同じような表情のシエラも、だが少し躊躇しつつ言葉を続ける。
「でも、私もふと思い出したことがあるの」
「さっきも聞いたけど、『幻の薔薇の伝説』っていうのは薔薇愛好家の間では割と有名な話でね。家の周りを見ればわかったと思うけど、うちは母が薔薇好きだったのよ。…まああんたには花の種類とか見分けられなかったかもしれないけれど、うちのまわりのはチューリップではなくて薔薇だったのよ」
「はあ」
だからどうした。といったまったく興味なさそうなエヴァの反応をみつつ、シエラは丁寧に説明をしていく。
「あんたも話の内容はだいたい知っているみたいだけど一応簡単に説明するわ。まあ言ってしまえばすごい綺麗な女王が統べる国があった、女王は代々1人だけ女の子を産みその子が国を受け継いでいた。けどある代で、他国の王子と駆け落ちして国は滅んでしまった。みたいな御伽噺」
「その女王はね、薔薇色の髪をしていたらしいの。そしてその女王の名前が…」
「「エヴァンジェリン」」
唐突にシエラの言葉にしわがれた声が重ねてきた。
「?!」
「あ さっきの妖怪じじいじゃないですか!」
生垣からまたもや庭師の老人が顔を出している。
「そうじゃ思い出した!薔薇姫の名は『エヴァンジェリン』じゃったな!代々受け継がれる福音を告げる名じゃ。歌舞伎とかハメハメハ大王みたいに世襲制なんじゃ」
よっこらしょとかいいながら生垣から抜け出し、世界観を崩す発言をのたまう。




