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じじいの生首

「あーやばいっスねーここどこでしょー…つかこの屋敷むちゃくちゃ広いしー」



どこかで時間をつぶそうと屋敷を歩き回っていたら途中で迷ってこじんまりとした中庭にでてしまった。

木製の椅子が数脚すえられていたのでとりあえず腰をおろす。

しかし慌てて立ち上がりおそるおそるドレスをたしかめる。


「よ よかった、『実はペンキ塗りたて』とかベタなボケはなかったみたいですね。

 そうじゃなくても借り物のドレスで庭の椅子に座るのもアレかなぁ」


慣れないものは着るもんじゃないですねーとかボヤく。

しかしボーと突っ立っているのもつまらないのでドレスの裾を軽く持ち上げながら小さな中庭を歩く。

小さいといっても街中の公園と同じ位の大きさはある。

花の種類に疎いエヴァだが、中庭に咲き乱れている赤い花は素直に綺麗だなぁと思った。


「えーっと、なんつったっけこの花。シエラさん家にも沢山咲いてたやつと一緒だから…

 ………チューリップ?」


「っちゃうわボケ!薔薇じゃろがどう見ても!!」


突然しゃがれた声でツッコミがはいった。


「へ?」


人の気配なんて全然なかったのにとか思いながら無意識にファイティングポーズをとり辺りを見回す。


屋敷にそっておかれた木製の椅子。散歩するのに丁度いいよう腰辺りまでの樹木が刈り込まれた庭。

その頭上を所々細いアーチが被さりそれにそって赤い花が絡みついている。


「もっと下をみんしゃいっ!!」


先刻の声。

しゃがれてはいるが威勢がよくはりもある。


「うおっ」


エヴァはびびってあとじさる。

声の主は意外と近くにいたのだ。

よく手入れされ腰辺りまでで刈り込まれた生垣の横から老人の首がにょっきり突き出ていた。


「じじィの生首っ!!」


「誰がじじィじゃっ!何が生首じゃああああぁっつ!!」





ファイティングポーズの少女が叫び

生垣から生えたじじィが吼える


…薫り高き薔薇咲き乱れる庭園。

…麗らかな昼下がり。




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