★王様と召使★
ごろりん ごろりん…
気分の悪さから寝付けない王様は先刻から寝返りを繰り返している。
そのうち「寝返りだけじゃ気晴らしにもならん!」とか一人ごちて
バカでかいベットの上で飛び込み開脚前転などをやってみたが
気管に唾液が入ったとか胃酸が逆流してメチャ吐き気がするとかで
「グホグハゲヘっ し死ぬっっ」などと五分間位うめき、のたうったりしていた。
「王様!王様!!王様!!!」
お城の長い廊下をばたばた走ってくる音と叫び声。
『廊下は走らない!』という貼り紙が数メートルおきにあるにもかかわらず
どうしてか若い召使い達は廊下を疾走してくる。
走ると長い廊下にデレーンと敷かれている赤い絨毯に皺がよってしまうので直すのが大変なのに。
そんな事を考えながら紫な顔色の王様は気だるげに身体を起こす。
「なんじゃぁ?ワシは今ちょー病人じゃからちょっとやそっとのことだったら
国一周全力で欽ちゃん走りの刑に処するぞ?」
その刑罰は結構重そうだ。
けれど召使いの叫び声と足音が止まないところをみるとどうやら重要な知らせらしい。
「王様!王様!王様!た 大変です!いいいいい 今っ表門にいぃ~」
つんのめるようにし王様の部屋に入ってきた若い召使いは乱れた息を整えるのももどかしく
ゼェゼェいいながらとぎれとぎれに報告をはじめた。