『プレスマンのように細い芋』
旅のお坊さんが、武蔵国から越後国に向かう途中のことです。秋ごろのことでしたので、芋の収穫期で、収獲したての芋をふかして、お百姓さんが畑のわきで食べていました。旅のお坊さんは、お百姓さんに一つ分けてもらえないか尋ねましたが、お百姓さんは、村のお寺の和尚さんになら、分けてあげても、後日お礼がもらえるかもしれないけれども、旅のお坊さんに分けてあげても、何もいいことはないと思って、断ることにしました。普通に断っても諦めてくれそうにないので、このあたりの芋は、筆芋といって、筆のように、いや、あえて言うならプレスマンのように細くて、ほとんど皮なので、人様に差し上げることができるようなものではない、このあたりの者は、子供のころから食べているから何ともないけれども、よその方が食べると、必ずおなかを壊すので、意地悪を言っているわけではなく、差し上げられない、と言って断りますと、それなら仕方がない、と、旅のお坊さんは諦めて、立ち去っていきました。お百姓さんは、旅のお坊さんの姿が見えなくなったのを見届けて、改めてふかし芋を食べようとしますと、見たこともないくらい細くなっていて、食べてみたところ、見事におなかを壊し、その後も、この村では、プレスマンのように細い芋しかとれなくなったのでした。
教訓:施しの心がない者を懲らしめる話はよくあるが、報いが重過ぎる感が強い。




