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虫籠

作者: 泰然自若

 無想が三日も続けば周囲の無個性はざわめき立つ。 

 異臭が漂う一室の中で少年は夢を見る。

 擦り切れていく心の是非を問いかけて。

 帰れない、もうあの日々に。

 その夢は何を描く。

 それでも。それでも。

 散々と散らばる汚物の間を縫う様に。

 ドアを叩く音が響く。

 煩いと思いながらも冷蔵庫から飲み物を。

 流し込まれる琥珀色。

 どうして普通で居られたのだろうか。

 もう終わらない。始まりもしない。胸には君だけを秘めて。

 開け放たれる扉に男の喧騒。椅子に座り、天井を眺めては怒声に反応せず。

 ただただ、時が流れるのを感じ取るだけ。それが全てで思いは伝わる。

 拘束されて手枷を嵌められて。

 その歩む先にはまた日常が。

 平気で過ごした日々に何の価値も見出せない。だから、変化を。

 自分の想いをぶつけた。だから、だから、だから。

 心臓は一突きで。苦しまずに。これは失敗だった。少年は過去を振り返る。

 今度は絞殺。時間を掛けてじっくりと。汚物が問題だった。

 汚物が汚物を撒き散らす。何の事はない。糞袋だっただけ。

 とっくの昔に心は壊れていた。

 金に溺れた汚物に穢されたのは最愛の人。

 壊れた日常。普通の日常。消えていった日常。始まる日常。

 何故。どうして。こんな事。口は開けない。開かない。

 死んだ。殺した。死んだ。殺した。

 犯人は誰だ。犯人は少年で。犯人は別で。犯人は家族で。

 もう、終わりにしよう。呟いた。だから、終わらせた。

 何を。全て。時間を終わらせる。

 どうしようか。迷ってしまった。それでも成し遂げて

 会いたかった。嗚呼、会いたかった。

 会いたかったよ。もう一度。もう一度。

 愛した人。愛された人。穢れた人。穢された人。

 虫籠の世界へようこそ。

 嗚呼。外は良い天気だ。

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