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震火  作者: 天彗
2/5

再来

事件から半年


 ナークシティ冲に1隻のボートが停泊していた。そのボートには2人の男性と2人の女性が乗っていた。


「カンパーイ!」


 1人の女性がビール瓶を掲げ、皆はそれにならった。


「いやー、今日は絶好の航海日和だな」


「宴会にもちょうどいい。しかも海の上って、最高かよ!」


 2人の男はビールを飲みながらそんなことを言う。


「ねぇー!写真とろー!」


 1人の女がカメラを取り出した。


「よし、皆並んでー!撮るよ!はい、チーズ!」


 カシャッという音が鳴った。


「おー、いい感じじゃん!これ後で共有して!」


「おけー!」


「ねぇー、もう1杯飲もうよー!」

「賛成!」



 4人は缶ビールを開け、もう一度乾杯をした。


「あ、ゴミどうしよ」


 1人の女が周りを見る。


「ゴミなんかその辺に捨てときゃいいだろ」


 1人の男が海にビールの缶を放り投げた。


「あ、確かに。海なんて天然のゴミ箱みたいなもんよね」


 女もそれにならった。


「ハハッ、ウケる~」


 もう1人の女も缶を投げた。そのとき、突然海中から長い岩のような物が飛び出し、缶を船に跳ね返した。


「……は?」


「なんだこれ?」


 4人はその岩のような物をぽかんと見つめた。その岩のような物は、ボートに向かって倒れてきた。


その日の夜のニュース

『本日午後2時20分頃、ナークシティ沖で漂流する1隻のボートが見つかりました。ボートは原型を留めておらず、警察は事故と事件の両面から捜査しています』


ナークシティ海岸

 海岸に軍隊が集まっていた。


「なんかに叩き潰されたみたいだね」


 海岸に打ち上げられたボートを見て、1人の男の隊員が言った。彼の名は、リカルド。ナーク軍の隊員だ。


「やっぱクジラとかじゃねぇの?軍隊が出るほどのことじゃないと思うんだが?」


 別の男の隊員が言った。彼はアベル。彼も隊員の1人だ。


「目撃者がいる。何か、岩のような物が海中から付きだし、ボートを潰したと」


 また別の男の隊員が言った。彼は、マット。彼も隊員の1人だ。


「あと、近くにいた漁船のソナーに、巨大な黒い物体が映ったらしいし」


 リカルドが言った。


「でもな、海にいて船を沈められる巨大生物って、クジラ以外にいるか?」


 アベルの問いに2人は黙った。


「思い付かないだろ?やっぱクジラなんだよ。デカイし、岩みたいにゴツゴツしてるし」


「しかし、証言を聞いた限りだと、クジラにしてもデカい。何かもっと証拠は無いのか?」


 マットが問いただした。


「見間違いかなんか……」


「そこ!静かに!」


 1人の男の隊員がアベルを指差して言った。


「またお前かアベル。いつになったら分かるんだ?」


「なんで俺だけ⁉」


「まったく、仕事中は私語を慎め」


 その隊員は、腕を組みアベルを睨んで言った。


「お疲れ様です。隊長」


 リカルドは、その隊員に敬礼した。隊長の名はアッル。彼はナーク軍の中で1番若いが実力はトップクラスであると評判だ。


「隊長、船を潰したのはクジラなのか?」


 マットがアッルに聞いた。アッルはそれに答える。


「現時点では何も言えない。私もクジラではないかと疑ってはいるが、証拠が無い。船を調査したが、生態組織のようなものはどこにも無かった」


「では、いったい何が?」


 マットが訊いた。


「分からん。しかし、何かがいるのは確かだ」


 アッルは言った。


「え?ええ⁉」


 突然アベルが海を見て言った。


「アベル!私語!」


「いや、隊長さん!戦艦なんか使うんか⁉」


 アベルは海岸に向かってくる3隻の戦艦を見て言った。


「ああ、あれか。本部が寄越したんだ。何に使うか知らんがな」


 アッルがアベルの言った方向を見ながら答えた。


「戦艦を寄越すとは……ナークシティは戦争でも始めるつもりか?」


 マットが顎に手を当てながら言った。


「ちょっとマットさん、物騒なこと言わないでよ!」


 リカルドが言った。


「おっと、失礼した」


「しかし……戦艦……本部は何か知っているのか?」


 アッルは呟いた。


「戦艦が出てくるほどなんだ。かなり手強い相手なのでは?」


「クジラが?」


 マットの意見にアベルは疑問を浮かべる。


「別にクジラだと決まった訳では無い。さあ、調査を始め……」


 マットがそう言ったとき、冲の方に、長く黒い物体が姿を現した。

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