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マッシュドゴーレム2

 リビングバレー。そこは人の形をした生きている岩が闊歩しているエリアです。

 地形がデスバレーに似ていることもあって、そんな名前がつけられたそうですが、私はデスバレーに行ったことがないので似ているかどうかはよく分かりません。

 それと砂漠に近い光景が広がっていますが特に暑いわけではありませんね。照らす光はあくまで魔力光で太陽光ではありませんので。


「へー。ねえゼンジューロー。深化の森と違って、ここは草生えてないのね」

「そうですね。この場所、元は水晶窟と同じように魔力の河が地中にあったらしいのですよ。その影響かこの辺りには植物が生えないようですし、わずかではありますがエーテル結晶も採れるそうです」

「へー。なるほどねー。まあ今回の狙いはエーテル結晶じゃないけど」

「そうですね。私たちの目標はもっと大物です」


 そんなところに何故私が来たのかといえば、ここには先ほどお話しした人の形をした生きている岩、すなわちロックゴーレムが出没するからなのです。

 このロックゴーレムというのは魔法鉱物である精霊銀が混じった岩石の中を魔力が流れ続けた結果として魔石が生成され、それがコア化した魔獣らしいです。つまりロックゴーレムの中にはわずかではありますが精霊銀が含有しており、今回の私たちの狙いは精霊銀となります。


「ロックゴーレムねえ。3メートルはある巨体なのに精霊銀の含有量は600グラム程度だったっけ」

「そうですね。動きは遅いのですが何しろ岩でできていますのでそれなりに硬いですし、相性が良くないと中堅どころの探索者でも簡単には倒せません。その上に採れる精霊銀の量は600グラム。特殊な処理ができる製錬所が必要なので、外までは岩のままで運ぶ必要があります」

「その上に深化の森を抜けないといけないんだから不人気なわけよね」


 ティーナさんのいう通りですね。人力では厳しいですし、シールド処理した大型輸送車を使うにしても森の中には舗装された道路などありませんからその整備も必要です。

 かなりランクの高い収納スキル持ちの探索者が輸送するのであれば可能でしょうが、だったら鉱山エリアで採掘した方がよほど儲かるという話でした。

 時折精霊銀の塊は出るそうなので一攫千金狙いもありですが、ロックゴーレムというのは硬くて倒し辛いので誰も相手にしません。つまるところ、このリビングバレーは美味しくないエリアなのですよね。『私以外』にとっては。


「ゼンジューロー、前方の岩陰からゴーレム二体が来たよー」

「承知いたしました。それではお仕事の時間です」


 3メートルほどの人の形をした岩の塊が近づいてきます。同じ材質の石砲弾では弾の方が砕けるかもしれませんので今回は別のものを用意しました。つまりは……


「直径8センチメートルの鉄球弾です!」


 ガッシャーン


 2キロはある鉄の塊が射出され、ロックゴーレムがものの見事に破壊されました。そして鉄球は勢いよく上空へと飛んでいき、そのままお星様となったのです。


「あーあ、いっちゃったー。あれは回収できないわねえ」

「そうですね。そこまで考えてませんでした。これは別の方法を考えますか」


 金額自体は大したことはないのですが鉄球一個でも2キログラムと重いですし、それに複数持っていてはかさばります。今回フォーハンズに鉄球を詰めた袋を持たせているのでまだ余裕はありますが、この方法で仕留めるのは少し考えた方が良いかもしれませんね。

【次回予告】

 そこにあるのは破壊だった。

 破壊。破壊。ただ破壊。

 砕き、潰し、圧殺する。

 そして繰り返される破壊を前に男は静かにほくそ笑む。

 己が得たものの価値すら知らず、男はただただ破壊を繰り返す。

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― 新着の感想 ―
直径8cmまでの金属だったら、飲料の空き缶でも砲弾になりそうですね。
[一言] 破壊!破壊!はっかいか~ん! プレレス三四郎最終巻より
[一言] ちょっと待って? まさか、マッシュドって、そういう意味なの? 蹂躙開始かぁ、そっかぁ。
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