表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/155

コボルトミンチ6

 それなりに長く生きていると、昔は気づけなかったことに気付けたりすることもあります。今回はそんな気付きを得られました。それは大人とは子供の頃より案外怒られることが多いということです。

 先日は大家さんにもガッツリ叱られましたし、今回もそうです。しかも100パーセント悪いのは私ですので反論の余地がありません。

 ハァ……ため息が出てきました。

 ともあれ、気を取り直していきましょう。

 探索協会の職員さんの言う通り、アレで洞窟が崩落して誰かが埋まって死んだり、自分が埋まって死んだりしては大変ですし、お叱りを受けた程度で済んで良かったと思いましょう。ということで石砲弾(私命名)での乱獲は諦めることにしました。

 でもね。私思うんですよ。アイディア自体は悪くなかったのではないかと。つまりもう少し工夫すれば……ということですね。

 先ほどの問題は威力が大き過ぎたということです。あの場がダンジョンの入り口ということを踏まえずとも、崩落するような攻撃はNGでしょう。ましてや私のステータスは最弱。埋まったら死んでしまいます。

 だからひと手間加えることを思いつきました。

 要するに崩落するくらいの威力なのが不味いのですから、威力を抑えれば良いというわけです。

 では、どうすれば良いのか。その答えは先ほどのように収納ゲートへと入るギリギリのサイズではなく、もっと小さな小石を入れることです。

 そこらに転がってるつまめるぐらいの小石をポイポイっと収納空間に入れて、それを射出すると……


 ジャガガガガガガッ


 おお、上手くいきました。

 飛び出た無数の石飛礫がまるで散弾銃の弾のように散らばって天井の結晶をバラバラと落としていきます。エーテル結晶もちゃんと落ちてますね。うんうん。良い感じです。

 ここは入り口からそこそこ距離が離れていますし、人もいないので迷惑にもなりません。崩落についても見た感じは大丈夫そうです。まあ距離も多少とっていますし、少し崩れても問題はないでしょう。

 ふふふ、これは私の時代が来たかもしれませんね。予備の石飛礫も袋に詰めて持ってますし、では収納空間にジャラジャラジャラと……


「グギャァアアアア」

「へっ? うわぁあああああああ」


 グチャッ


 あ、弾込めてる途中で近づいてきた何かを撃ってしまいました。

 え? ええ? 今のって人の形してませんでしたか? もしかして人を撃ってしまいましたか? これは大変です。そしてもう手遅れです。目の前には血と肉片まみれのミンチのグチョグチョなものが、ああ、これは……


 オエーーーーーーーー!


 ………………

 …………

 ……


 はい。気持ちが落ち着くのに時間がかかりましたが私は大丈夫です。

 そして近づいてきた人影は人型の魔獣でした。人間じゃありませんでした。良かったです。

 頭部の一部が残っておりまして、どう見てもそれは人間よりも犬っぽい形をしておりまして、多分これはコボルトという魔獣です。二本足で移動して、個体によっては道具を使って襲ってくる犬に似た魔獣の一種です。

 ということでセーフですね。危ないところでした。

 コボルトは完全にミンチになっておりまして、とてもとてもグロいです。まともに見ることは困難なほどにグロテスクです。

 一応探索者の免許を取る時にビデオ講習で人間と魔獣の酷い状態の映像も見せられたのですけれども、実物はやはり違いますね。

 ただ魔獣を倒してお金を得るには解体もこなす必要がありますし、いずれは慣れなくてはいけないのでしょうが、今の私にとってはともかくキツいですね。見た目だけではなく、やっぱり臭いの問題も大きいのですよ。

 

 ピロリン


 あ、レベルが上がりました。

 魔獣を倒すと経験値が入ってレベルが上がるのが探索者というものですが、なるほど。こういう風に教えてくれるのですね。

【次回予告】

 地獄を見た男は新たなる牙を得て、さらなる地獄を生み出していく。

 そして彼は知るのだ。ここは人の律の及ばぬ遠き世界。命はただ軽く、善十郎は自身の力に恐怖し、更なる嘆きをこの地に吐き出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
収納おじさん【修羅】の書籍版1巻はアース・スターノベル様から発売中です。
WEB版ともどもよろしくお願いします。

収納おじさん書影

【収納おじさん特集ページはこちら】
キャラクター紹介や試し読みが見れます。
― 新着の感想 ―
うん……グロ耐性が無いまま、いきなり出来立てミンチを見たら、口からキラキラの危険(極大)ですよね…… そういえば私、市バスの車内から、腕から折れた骨が飛び出してる被害者が搬送される事故現場を見ちゃっ…
[良い点] 散弾もいけるんちゃうかなーと思っていたらホントにイケたwww
[一言] 散弾もいけるのか 思った以上に使い勝手いいなあ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ