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【書籍1巻発売中】収納おじさん【修羅】 〜再就職で夢の探索者生活。ペットボトルサイズの収納スキルでダンジョンを爆速で攻略する〜  作者: 紫炎
第三章 危機管理編

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ハーディダーティ5

「銃・撃・戦!?」


 おはようございます。探索協会一般職員の沢木です。

 本日は以前に潰れてしまった有休の振替休日でした。

 そんなわけでウェーブフリークスで柔術開戦二期の続きを視聴し最終話の途中まで進んだところで職場に呼び出され、事務所に着いてすぐに大貫氏が銃撃戦の末に海外の違法魔獣ブローカーお抱えの探索者パーティを撃退した……などというおかしな報告を上司の吉田課長から知らされたことで呆然としているのが今の私です。

 私が上司に「お前は何を言っているんだ?」と素で返してしまったのも仕方のないことだと思います。

 そもそもですね。銃撃戦ってなんですか? 海外の違法魔獣ブローカー? そのお抱えの探索者を撃退? ここはハリウッドではないんですよ! 何なんですかこの状況は!?


「というわけなんだ。幸いにも大貫氏は従魔もいるから問題が起きていた時の証拠保持のため、ダンジョンの外でも常にシーカーデバイスの録画をオンにしていてね。ドライブレコーダーと合わせて彼の側に非がないのは確認が取れて……いる。その、一応」


 吉田課長が言い淀んだのも無理からぬことでしょう。

 今、話を聞きながら報告書を読んでいますが大貫氏は襲撃者からの銃撃を跳ね返して返り討ちにしたそうです。だから大貫氏は一発も撃っていないのに銃撃戦というわけですね。当たったのが自分たちの放った弾丸なら大貫氏に非がないのは当然でしょう。反射って何? とは思いましたが。あの人のスキル、収納だけですよね? 別の生えてきました?

 さらに襲撃者たちの乗っていた車両は前面が恐ろしく硬い鈍器で叩き潰されたかの如くグシャグシャになっていて、また大貫氏曰く当身っぽい感じで気絶させた……という説明のあった攻撃を受けた襲撃者たちは肋骨が完全に砕かれて、内臓器官も一部が破裂しているそうです。上級ポーションがなければ襲撃者の何人かは死んでいた可能性が高かったとのことでした。

 相手が相手でしたので過剰防衛には当たらないと判断されたそうですが……いや、大貫氏ヤバいなぁ。あの人、何を目指してるんでしょうか。

 それと彼の従魔たちが防衛に徹していたことも幸いでした。探索者以上に従魔のダンジョン外での活動には制限がかかります。テイマーの義務としてシーカーデバイスの録画が必須となっていたことも大貫氏のプラスに働きました。ラキくんもティーナさんも問題にならなくて本当に良かったです。良かったんですが……


「吉田課長。これ、もう一般職員が関与できる問題じゃないと思うんですけど」

「ハハハハ」

「いや、笑い事じゃなくて。マジで」


 巻き込まれ方次第では普通に私たちの命が危ないと思うんですよ。死ぬと思うんですよ。私、そういうの嫌で探索者引退したんですけど。


「まあ、大貫氏は現状では一般探索者でしかないわけだからね。あくまで窓口は我々となるんだ」

「そりゃ、理屈の上ではそうですけど」

「それにアンダーグラウンドだかダーティワークだか海外勢力だかの問題はそっち専門の部署にお任せするからね。ひとまず我々のやることは大貫氏関連の情報を纏めて、それを関係各所へと送り、後は問い合わせについても対処するって感じだよ。お偉いさんの対応は僕がするから沢木さんもしっかりお願いね」

「うう、胃が痛い」


 ハァ。大貫さん。これを機に落ち着いてくれるといいんですけどねぇ。無理かなぁ。無理だろうなぁ。

【次回予告】

 狂犬は檻に入れられ、日常に平穏が戻った。

 けれどもそれは仮初。狂犬は牙を磨き続ける。

 そして妖精は偶像への道を歩み出した。

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収納おじさん【修羅】の書籍版1巻はアース・スターノベル様から発売中です。
WEB版ともどもよろしくお願いします。

収納おじさん書影

【収納おじさん特集ページはこちら】
キャラクター紹介や試し読みが見れます。
― 新着の感想 ―
[気になる点] >……などというおかしな報告を上司の吉田課長から知らされたことで呆然としているのが今の私です。  ◇ ◇ ◇  目上には『報告』で、目下には『通達』で、双方向に使えるのが『連絡』っ…
[一言] 頂点を目指してるだけだけどなんか血生臭くて狂犬扱いのオジサンか。槍で強くなろうとしたら異世界の暗黒街最大勢力を作るアイドルに憧れる普通の血塗れ狼少女さんとも少し重なるな。
[一言] 物腰柔らかで人当たりも悪くない穏やかなおじさん……だったはずなんだが探索者になってから日常がバイオレンスになってきたよなあ
感想一覧
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