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フェアリーブルーム1

 川越メイズホテル初日はあの烈さんとの模擬戦後、部屋に戻って夕食を食べて就寝し、その翌日にはホテル内を見て回って何人かの探索者の方とも挨拶を交わしました。ラキくん効果ですね。ラキくんが人気過ぎます。

 そしてユーリさんと烈さんとの出会いの際の反省から今回私は名刺を作成しておりました。

 名刺。それはビジネスを行う上では必須のアイテムです。まだルーキーの身の上なので後回しにしていた名刺の作成ですがおふたりとの出会いを機に、オンライン注文で頼んでみました。

 夜に注文して翌昼には届くのですから大したものです。ワンポイントのラキくん似のレッサーパンダイラストの背景を選べたのも私的にはポイントが高いです。ラキくんを背負っている私が渡すことでお相手様の心をグッと掴むわけですね。伊達に社会人をやっていたわけではない……ということです。

 そしてホテルに泊まり始めて三日目、私は再び吉川ゲートに向かいました。

 前回はエーテル結晶稼ぎでしたが今回はまだ未探索のもうひとつのパイプの先を調べようと思っています。いよいよ探索者っぽくなってきました。年甲斐もなくウキウキしております。それではいざ、ダンジョンへ!




―――――――――――




 そんなわけでダンジョン内です。

 まず私たちは遺跡に向かったのですが、ここでひとつご報告があります。大型化したラキくんが私を乗せて連れて行ってくれました。ありがたい。感覚が繋がっているためか、まったく酔うこともありませんでした。ラキくんは本当に素晴らしいパートナーですね。

 そうして以前は一時間かかった道のりを十分で踏破した私たちは今は遺跡の中にあるパイプのあった広間にいます。


「じゃあ、ラキくんは一旦小さくなってください」

「キュルッ」


 元々は召喚解除して登り終わった後に再召喚……という流れを考えていたのですが、ラキくんが小さくなることで召喚解除の必要はなくなりました。この状態だと私にしがみついているラキくんは重さをほとんど感じないのですよね。召喚獣だからですかね?

 そして登る先はラキくんやマナタラントたちと遭遇したパイプの穴とは反対の壁にあるパイプの穴です。ラキくんたちがいた方は外に繋がっていたのですから、こちらは中に繋がっているのではないでしょうか。

 この遺跡は現代でも新エネルギーとして扱われ始めているエーテルを製造することを目的としたエーテル製造所と呼ばれる施設のようで、現代で言う石油採掘場に近い役割を持っていたようです。

 そして調査隊がもういないということはすでに価値のあるものは回収されたということで、だから今では遺跡に近寄る人もほとんどいないのですね。

 ただこのパイプの穴の先はまだ誰にも見つかっていない場所に通じている可能性があるわけで、年甲斐もなくドキドキしてしまいます。

 そんなわけではやる気持ちを抑えながら収納ゲートを足場にして登り、反対側のパイプ穴へと無事到着いたしました。

 穴の中はラキくんもサーチドローンも反応はなし。一応私自身も周囲を見渡しましたが、蜘蛛の子一匹おりません。

 蜘蛛の子と言えばマナタラントとは今回遭遇していませんね。まあこの遺跡に魔力結晶は生えていませんし、餌がないならここにいる理由もありません。一応警戒はしておきますが彼らも元の住処に戻ったのでしょう。

 そして私はシーカーデバイスのライトをつけ、暗い穴の中を照らして視界を確保し、何が起きてもすぐに時間遅延を発動できるように収納空間も待機させながら、ゆっくりと中へと足を踏み入れました。

 いざ未知へ。冒険の始まりです。

【次回予告】

 立ち塞がる扉はイチジクの葉の一枚。

 その奥に広がる闇に残るは希望という名の悪逆の残骸。

 そして眠りし命はただ男の到来を待ち受ける。

 そう、彼の者の足音はもうすぐそこまで迫っていた。

 

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収納おじさん【修羅】の書籍版1巻はアース・スターノベル様から発売中です。
WEB版ともどもよろしくお願いします。

収納おじさん書影

【収納おじさん特集ページはこちら】
キャラクター紹介や試し読みが見れます。
― 新着の感想 ―
遂に、もふもふライドオン! ラキくんの長い尻尾で凪ぎ払えば、移動中に背後から敵が来ても安心です♪
[一言] しまっちゃうおじさんの封印が今解かれる!!(適当)
[一言] 次回予告すき
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