バンブーパンダ11
ラキくんはフォーさんに助けられると心がお辛くなるのですが、善十郎に補助してもらえると心が暖かくなるのですね。複雑なレッサーパンダ心です。
最初は毛皮と肉が硬くて厄介だと思ったハーフムーンブルーベアですが、鉄砲弾で骨まで砕けると分かりましたので対処は容易になりました。
両足を鉄砲弾で砕けば機動力を削げますし、倒れたところに胸と背中、二箇所に収納ゲートを出してガッチリホールドしてしまえば逃げられることもありません。
ソーラービーム・リユースなら一撃ですが、使い続ければ出力が落ちていきますし、素材が燃え尽きてしまいます。なので、ラキくんのエサにするのなら、このやり方が適していますね。
それと黄色い熊も後から来たのですが、こちらが攻撃を仕掛ける前に、黄熊は血を噴いて倒れて死んでしまいました。恐らくはここに来る前にも戦闘があって、すでに死にかけだったのではないでしょうか。
烈さん曰く、フルムーンイエローベアというハーフムーンブルーベアの上位種で次元爪という技を使う強敵だそうです。熊林渓谷では現在二種類の熊の群れが争っていて、戦闘能力ではハーフムーンブルーベアよりもモノクロバッドベアの方が高いのですが、上位種はこのフルムーンイエローベアの方がモノクロバッドベアの上位種よりも強いため、勢力的なバランスがとられているのだとか。
「そのふたつの勢力が以前よりも活性化してるって報告があって、その調査を俺は依頼されてるんだよ。ゴールドクラブからも付き添いの話をもらってたから一緒にやっちまおうって感じだな」
「なるほど。それが烈さんの調査だったのですね」
「そういうことだ。それでラキの方はどうなんだ大貫さん?」
「まだ進化の兆しはありませんが、他に当てがあるわけでもないのでこのままやっていこうと思います……が、あの黄色いのの次元爪でしたか? 厳選して彼らをラキくんに与えれば、進化の際に覚えたりはするのですかね?」
「うーん。経験値を得るってのは、魔獣の因子を取り込む行為らしいから可能性はあるんじゃないか? ただ上位種は数が少ない上に次元爪は防御を無視してダメージを与えてくる危険な技だからな。相手にするのは大変だぞ」
「そうですか」
烈さんの言葉には私も頷いたものの、勝手に死なれてしまったのでフルムーンイエローベアがどれほどの強さがあるのか分かりません。次に遭遇した時によく観察しておきましょう。まあ、アダマンタイトが収穫できるようでしたらここには何度も通い詰めることになると思いますし、じっくりやっていけば良いのではないでしょうか。
ともあれ、戦闘も終わりましたので、私たちは当初の予定通りにアダマンバンブーの群生地に向かって進んでいきます。
ですが、やはり道中にまた別の熊の存在を解析解除しました。
「……!?」
「どうした大貫さん?」
そして私の様子に気づいた烈さんが声をかけてきました。
「あちらに……気配があります」
「田崎、分かるか?」
田崎くんはランクは低いものの、気配察知スキルを持っているそうです。盾持ちで前に出ながら気配察知ができる。なかなか良いスキルの組み合わせです。やはりゴールドクラブはエリートパーティなのでしょう。
「あー。んー? 少しだけ? 結構距離ありません? 大貫さん、これを分かるんですか?」
「はい。気の力です」
私は表向きは気功師ということにしていますので、気の力でそういうこともできる……ということにしてあります。気の力は万能ですね。ちなみに竹藪に隠れて見えませんが、距離は100メートルの圏内ギリギリの場所にいるようです。
「どうしますか烈さん?」
「どうするってのは?」
「恐らくですが、相当に強いです」
「どれくらいだよ?」
「感覚的にですが、烈さんよりも……ですかね?」
私の言葉に、烈さんの目が見開かれました。
【次回予告】
集うは白と黒の筋肉獣。
集うは時空操る魔導獣。
激突はもう間も無く。
鮮血舞う鉄火場と化すはもう間も無く。
そんな闘争の場に彼らは立ち入った。
男はその先にいる強者を感じた。
その邂逅は何を意味し、
善十郎に何をもたらすのか。
そして白き獣は静かに動き出した。





