表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/161

クモクモバンバン7

 パイプの中は真っ暗で、シーカーデバイスのライトに照らされている先もずっと暗闇で奥が見えません。

 恐らくではありますが、このパイプはあの遺跡で造られたエーテルを送るためのものだったのでしょう。

 実はダンジョン内では発見された遺跡の多くは魔力をエーテル化して各地に送っていた施設……という説が有力なのだそうです。エーテルは液体ですし、発電所というよりかは油田プラントに近い感じでしょうか。この辺りは魔力結晶が多く生えていますし、魔力が溢れている場所なのでしょう。

 まあ、だったらこのパイプの先にまで行ってみれば、異世界人が住んでいる……或いは住んでいた都市に辿り着けそうなものですが、残念ながらそれは不可能です。

 どうも地球の存在はダンジョンゲートから一定以上の距離、存在境界線と呼ばれているラインより先へは進めないようなのです。そのため、未だ人類はダンジョンの外に出られず、本当にこの場が地下なのか、実はまったく未知の場所なのかもよく分かっていない……というのが現状です。

 そんな遺跡内の大型パイプの中をシーカーデバイスのライトの灯りだけで進む私。魔獣とも遭遇しませんし、一本道なので特に迷うこともありませんが、一時間を経過したところでシーカーデバイスが存在境界線を感知して警告音を発してきました。

 存在境界線は視認できませんが、越えてしまうと世界から異物と認識されてゲートの外に排出されてしまうそうです。その際には、死にはしないものの酷いダメージを受けて、しばらくはダンジョンに入れなくなるのだとか。

 そんなわけでこの先には行けません。私の冒険はここまでのようです。

 けれども引き返す前にちょっと試してみたいことがありまして……実はパイプの一部がひび割れていて外が見えていたんです。となるとそこから出られるのでは? という好奇心が私の中で溢れ出てきました。なので、ちょっと崩せるか試してみますね。


 ガシャンッ ガシャンッ ガシャンッ


 至近距離で空気弾を三回ぶつけてようやく崩れました。恐らくはヒビ割れた箇所から経年劣化が進んでいたのでしょう。崩れていない箇所を破壊する場合には結構手間がかかりそうです。

 それにしても手のひらから放った空気弾はどことなく漫画や映画で見る気功の発勁のようにも見えて格好良い気がします。まあ一般人のスペックしかない私が接近戦なんて怖くてできませんのでネタ芸ですけどね。

 それで開いた穴の先はやっぱり魔力結晶の生えている洞窟でしたが、恐らく人の手の届いていない場所なのでしょう。エーテルの貯蔵量が多そうな太いエーテル結晶がいくつも生えてます。

 しかもそのエーテル結晶内に何かが浮いているのもありますね。なんでしょう、これ。

 ええと、シーカーデバイスのカメラに映して検索……と。なるほど。マナジュエルというのですね。エーテル結晶が使い捨て電池だとすれば、こちらは充電式電池のように使えるそうです。しかも大気中の魔力を吸収して溜め込むので自動充電です。

 見たところ全部で五つありますね。ひとつ……売ると五十万円? 買うと百二十万ですか。うーん、二個は売ってサーチドローンを買って、他は取っておきましょうか。回収。回収。他にもありませんかねー……ん?

 奥から何か……ガサガサガサと近づいてきます。

 アレは……蜘蛛? でかい?? しかも多い???

【次回予告】

 絶叫が響き渡り、男は絶望した。

 立ち塞がりし魔は蜘蛛なり。無数の仔を従えし巨躯の蜘蛛なり。

 絶体絶命の窮地の中、善十郎は時間の理に手を伸ばす。

 それは最初の一歩。それは覚醒の刻。

 そして闘争が始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
収納おじさん【修羅】の書籍版1巻はアース・スターノベル様から発売中です。
WEB版ともどもよろしくお願いします。

収納おじさん書影

【収納おじさん特集ページはこちら】
キャラクター紹介や試し読みが見れます。
― 新着の感想 ―
[一言] 予想を遥かに超えた おもしろい
[一言] あらくのふぉびあー!(アシダカグモは益虫だしハエトリグモってつぶらな瞳が可愛いよね!)
[一言] マナジュエルなんてお宝見つけてラッキーかと思ったらここで蜘蛛かあ コボルトみたいにミンチに出来るのならいいんですが
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ