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アヴィスパレス03

「ぉおおぉ!?」


 おお、恐ろしいですねぇ。

 バーンと私の体が跳ね飛ばされて、ボーンと壁に激突してしまいました。まあ、アースシールドのおかげで無傷ではありますが、いきなりの不意打ちです。


「ちょっとゼンジュ……キャアッ」


 ティーナさんとサーチドローンも攻撃されましたが、逆に跳ね飛ばしましたね。

 アースシールドは生存特化で今の攻撃でも結構削られたのですが、キャッスルシールドの方は昨日試した時には石砲弾も弾いてましたし、あのくらいの攻撃ではものともしません。

 とはいえ、私もティーナさんもシールドがなかったらいきなりピンチでしたね。これは一体どういう状況でしょうか?


「倒れていた遺跡のフォーハンズが次々と動き出した……ということのようですが」

「どういうこと? 動力は付いてなかったはずなのに……あれ? ウチのフォーハンズとは微妙に違う?」

「確かに、よく見れば我が家のフォーハンズとは形状が違いますね。ですが」


 ガシャガシャと遺跡フォーハンズが立ち上がってきます。


「これでどうでしょう?」


 空気弾を撃ちました。おお、普通に吹っ飛びます。


「フー、ガッ」


 ラキくんと我が家のフォーハンズも起き上がった遺跡フォーハンズを倒しています。どうやら遺跡フォーハンズはウチのフォーハンズよりも出力は低いようです。これなら苦戦はしなさそうですが……


「普通に勝てますが、何故動けるのでしょう?」

「分かんないけど……アレ? ゼンジューロー、倒したフォーハンズが起き上がってるわよ」

「本当ですね。しかも外れた腕を繋ぎ直しています。はめ込み式の球体関節? であれば、関節ごと壊してみますか」


 腕の関節部に向けて空気弾を左右から押しつぶすように当ててみます。バコンッと派手な音を立てて腕が吹き飛びました……が、球体関節は砕けもしませんし、見たところ歪みもありません。


「これは、ロックメイルだけではなく全身に固定化がかかっていますね」

「ええ? 固定化は複雑な形状だと付与できないはずなんだけど……もしかして構造を簡易化させてる?」


 ふーむ。ティーナさんと出会った施設でのフォーハンズは、普通にロックメイル以外の箇所は破壊できたのですが、遺跡フォーハンズはそうもいかないようです。


「それとゼンジューロー。こいつら、多分遺跡から魔力の供給を受けてるわ」

「遺跡から? ワイヤレス給電のようなものでしょうか?」

「多分そんな感じ。魔力の流れがおかしいもの。ただ、その分出力は低いからウチのフォーハンズよりも力はないみたい」

「つまり、そこまで強くはないけれども壊れないし、エネルギーも途切れないから、倒してもずっと復活してくると。空気弾で崩せますし、ラキくんとフォーハンズでも倒せるようですが、これは面倒ですね」


 倒すのではなく、拘束するような対処法を持っていれば別なのでしょうけれども、今の我々にそのような手段はありません。


「ゼンジューロー、次々と立ち上がってきてるし、キリがないわ。どうするの?」

「そうですね」


 固定化付与は、非常に高い硬度を持っています。今の私の手札では耐久限界までダメージを蓄積させるのは容易ではありませんし、あの数の遺跡フォーハンズすべてに……というのも現実的ではありません。となれば別の方法で……たとえば、エネルギー供給を断つというのはどうでしょうか?


「ティーナさん、遺跡フォーハンズに転移は効きそうですか?」

「抵抗はそこまでなさそうだし、遺跡の外までならいけると思う」

「であれば、まとめますのでお願いします。時間遅延解除(スロー)!」


 時間遅延収納を解除したことで、この空間内の私以外の時がゆっくりと流れ始めます。

 それでは空気弾で遺跡フォーハンズを攻撃いたしましょう。今度は外に向かってではなく、一箇所に集めるように内側に向けて……1、2、3、4、5……6、7、8体ですかね。ここで動いているのは。


「この空間内なら、加速がついて威力も上がっていますからね。遺跡フォーハンズでは対処はできないでしょう。それっ」


 空気弾を次々と撃ち出して、すべての遺跡フォーハンズを一箇所にまとめていきます。

 さらにその場で上から下へと叩きつけるように空気弾を連続で撃ち、体をバラバラにして復活もさせないようにしながら……おっと、時間が戻りました。


「ティーナさん、まとめました。地上まで彼らを飛ばしてください」

「了解ッ、転移!」


 そしてティーナさんの転移によって一箇所に集められた遺跡フォーハンズが、一瞬でその場から消えました。


「上手くいきましたか?」

「うん。境界の森に飛んでるはず。ここに通じてる最初の遺跡は倒壊してるから戻ってこれないし、そもそも第二遺跡からエネルギーを供給されているなら、上に出た段階で動けなくなってるはずよ」

「そうですか。通用して良かった」


 ゾンビのように延々と復活しながら、数で攻めてくる。私たちとは相性の悪い、非常に面倒な相手でした。


「それでは他に敵もいないようですし、先へと進みましょうか」

「了解」

「キュルッ」


 それでは、いよいよ第二遺跡の探索です。

 まずはあの地獄の門のようなところをくぐります。

 確か地獄の門に書かれているのは『この門をくぐる者は一切の望みを捨てよ』でしたか。

 一体ここから先に何が待ち受けているのか、とてもワクワクいたしますね。

【次回予告】

 踏み入れた先は煌びやかな空間。

 栄華を物語る黄金の世界。

 されど、影に潜む絡繰りは雲霞の如く。

 ただ絵の内の主人(あるじ)の意のままに、

 塵芥の処理へと動き出す。

 彼らは四腕の守護兵。

 喪われし守護の神を模した絡繰りなり。

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― 新着の感想 ―
完全品質のお土産を確保できたのかな 8体無事に動けたら家事とか色々任せられそう
何かどこかの異世界のどこかの浮島のどこかの遺跡にいたのみたいですね。だとすると大量に出てくるのか?
こちらに転移という手札があったから良かったですが厄介な防衛機構ですねー
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