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ネイキッドソーリー04

 ユーリさん属性盛り……改めヒロイン回。

 どのタイミングで、どういう理由で善十郎への好感度がマックスになったのかはユーリさんメイン章まで持ち越しかな?

「いやさ、ユーリ。マジで良いの?」


 話に一区切りがついて、大貫さんとティーナちゃんは奥の部屋に入っていった。

 何でもティーナちゃんがサーチドローンの外装をスマホアプリのCADソフトで作成していて、大貫さんもそのアドバイスをするんだとか。ほー、スマホって何でもできんなーとか、妖精って何でもできんだなーとか、思うこた色々あるが、今は目の前の女だ。


「このままだと大貫さんが危ないんじゃないか?」


 ユーリは大丈夫と言っていたが、こいつの家はダンジョンが出現する前から文字通りの魑魅魍魎との戦いを繰り広げてきた退魔の一族、風間流業拳術の本家の次女だ。

 風間家ってのは、千年続いている陰陽師と僧兵の流れを汲んだ忍びの系譜とかいう本当か嘘か分かんねー、国家公認の暴力組織だ。こいつも傍流の私もその流れで子供の頃から鍛えてたから、上級探索者まで短期間で登ってこれたわけなんだよな。

 素のままでもダンジョン攻略が可能な戦闘能力持ちが覚醒施術を受けて、身体能力の強化とスキルも得た。だから当然、一族のほとんどが一騎当千のように強い。

 ユーリはそんな一族全体から猫可愛がりされてるお姫様だ。独立してクランを立ち上げても、貞本さんや私がついてきたのも護衛や手伝いのためだ。

 そんなお姫様に、あんなおじさんが手を出したと知られたら……


「おじさんなら問題ないよー。あーしが選んだ人だもんねー」

「そりゃ、強いのは分かるけどさぁ」


 ドラゴンも倒せる人間なんて、そうそういるもんじゃねーからな。一緒にいる従魔たちや人型魔法具も強力だ。でも、それはそれ。


「個人の強さと組織の強さはまた別だろー?」

「それでもおじさんなら問題ないよー。そういう経験もあるだろうしー」

「経験?」

「ふーふーふー。ところでふーちゃんはさー。佐世子先輩の昔の話って聞いてる?」

「佐世子さんの?」


 佐世子さんは前島グループのダンジョン部門であるマエジマラビリンスファクトリーの代表取締役だ。簡単にいうとオーガニックのメインスポンサー。

 傍流の私と違って、ユーリは子供の頃から前島家と交流があって、同じ高校出身だからって今は先輩って呼んでるわけだが、あの人の昔?


「あの人がアンタのオムツを履かせてた話?」

「おい止めろ。あーしのセンシティブなところに踏み込むんじゃない」


 佐世子さんから聞いた話というか、写真まであるのは強烈だよな?


「そーじゃなくてさー。もっとインパクトのある……ほら、アレアレ」

「アレって、もしかして駆け落ちの話? あんま、本人のいないところでそういうのを話すのもどうかって思うけど……て、ちょっと待った」


 あ、閃いちゃった。家出して? 経験あり? おや? おやおや? そういうことか? となると……いやいや、ちょっと待て。いや、ちょっと嘘だろ。今、話が繋がったんだけど。でも繋がったら不味いだろ。絶対にヤバいヤツじゃん、これ。


「まさかユーリ。大貫さんって、佐世子さんが前島家から飛び出して凛ちゃんを産んだっていう、あの時の旦那さん!?」

イクザクトリー(その通りでございます)


 うわ。こいつ、笑顔で言い切りやがった。


「アンタ、スポンサーの元旦那に手を出したのかよ?」

「出したというか、出されたというか……あーいや、そういう意味じゃなくて」

「生々しい。訂正すんな!?」


 たく。烈のアプローチガン無視だし、これまで男に興味もねーって態度だったのによー。できた途端にこれだよ。色ボケっつーより、煮立ってないか? まだ会ってほとんど経ってもいないだろうに。それに佐世子さんの元旦那ってことはよ。そういうことだよな?


「ってこたー、ユーリ、アンタ。自分の教え子の父親に手を出したってことじゃねーか!?」

「あっはっはっはー」

「笑ってんなぁ。おい!?」


 いや、佐世子さんもあの家を飛び出すほどイカれちまった男ってことは、大貫さんってもしかしてかなりヤバいんじゃないのか? とんでもないスケコマシなのか?


「まあ出会いは偶然なんだけどねー」

「本当かよ。まさか佐世子さんと結婚してた時期からの縁だったりしないよな?」

「いやいや、そういうんじゃないから。おじさんと話したのはこのホテルで初めてだったんだけどさー。ティーナちゃんをおが肉でデビューさせるってんで、一度おじさんの部屋で打ち合わせすることになったんだよねー。ほら、喋れる妖精なんて大っぴらにできないからねー」


 こいつ、男の部屋にあっさりと……警戒心がないのか? いや、こいつの強さからすればどんな男だろうが危険じゃねーって話なんだけど。でも実際には食われてるじゃんか。


「そんで打ち合わせも終わったし、夕食ご馳走になって、お酒もちょっと入ってー」

「おい」

「気付いたら、おじさんの腕の中で朝を迎えてた」

「おぉぉぉおおい」


 私の友人がおっさんに良いように部屋に誘われて、酒で酔わされて、口説かれて、処女奪われてた件について。全然シャレになんねーんだが。どうなってんだよ、それ。


「いや……ユーリ。お前、本当にそれで良かったのかよ? 自棄になってるわけじゃねーのは分かるけどさー。初めての相手だからって、何か勘違いしてんじゃねーのか?」


 こいつの顔は明らかに自然で、無理をしている風じゃねえ。だけどよ……なんかそれって。


「んー、順番が違ってただけだよねー。あーしは元からおじさんに目をつけてたしー。だからねー。おじさんから求められたのは嬉しかったなー。あーしが選んだだけじゃなくね。あーしも選ばれたんだって分かったからねー。本当にね。嬉しかったんだー」


 うん?

 元から大貫さんに目をつけてた?

 ホテルで偶然出会っただけなのに?

 何だか分かんねーけど、あの取り乱しようといい、なんでそこまで大貫さんに入れ込んでんだ?


「ちなみに佐世子さんは、あーしとおじさんの関係知ってるねー」

「そうなのか?」

「なんかバレてた。というか、言われておじさんと佐世子さんの関係を知ったぐらいだし」

「凛ちゃんは?」


 あ、顔逸らした。


「おじさんと結婚したら、ママって呼んでくれるかなー?」

「いや佐世子ママがいるし、無理だろユーリ先生」


 あの時期の女の子じゃ、言い出し方次第じゃ普通に拒否られっだろ。

 あの娘はそういう娘じゃなさそうだけどさ。いや、そういう娘じゃなさそうだから反動でグレるかもな。


「ともかくさ。おじさんは覚醒施術を受ける前でも前島家相手にそんなことができる人ってわけ。ウチが手を出したところで問題ないない。まー、なんかあったらあーしも動くし、おじいちゃんとチコ姉が相手でもなきゃ、おじさんなら問題ないっしょ」

「そこまでかよ」


 一応、風間一門の人間としては、信じ難いんだが……いや、実績だけを考えれば、それもそうかとも思えるんだが。


「かなー。烈と同格の貞本だと普通に負けると思うよ」


 そういや烈も大貫さんに負けてたんだったか。

 そりゃ強いわ。


「それにね」

「うん?」

「あーしは家よりも、クランよりも、おじさんを優先するって決めてるから。だから何も問題ないんだよ」


 ああ、それはつまり最悪佐世子さんと同じ道を進むって? ああ、クソ。まったく。透き通るくらいにマジな眼差し。雷霆使いのユーリの眼だ。魔獣も、人も殺せる、戦士の顔……いや。


「コエー顔すんなよ。少なくとも私は反対はしねーよ」

「それでいーよー。おじさんはあーしの特別だからねー。何かあったらさ。たとえ、ふーちゃん相手でも容赦できないしねー」

「脆い友情だな、オイ。別に手なんざ出さねーっての。大体さー。何で大貫さんをおじさん呼びなんだよ? 恋人なんだろう?」

「うん? ちゃんと名前で呼んでるよ」


 ああ、完全にやられちゃってんなぁ。こりゃ……


「ふたりっきりの時はね?」


 女の顔だわ。

【次回予告】

 空に見えた七光の天幕は吉兆の知らせか災厄の警告か。

 その空の下で、妖精女王は己の価値をさらに示した。

 それはかつての魔王の片鱗。

 大陸を蹂躙した太陽の兵団と妖精兵装の再来。

 もはや語り部もおらぬ過去が、この現代に甦る。

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収納おじさん書影

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― 新着の感想 ―
おじさんと感情が繋がってるティーナちゃんは、 おじさんが快楽の時、何を思うのか・・
ひどい惚気を見た 良き!
おじさんヒットマンじゃ無かったっけ?
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