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第24話 超展開?

 エンジェルプリンセスのよくわからない性能の一環なのかは謎ではあるが、お兄さんはすぐに見つかった。

 そして予想通り、そのお兄さんと口論をしている杏ちゃんも発見したのだった。


 なるほどなるほど。杏ちゃんは、お兄さんを真犯人……つまるところ悪の組織の人間だと認識したわけね。

 まぁ当然といえば当然だよね。このお兄さん見るからに不審人物だもんね。


 さて、それで私はどうするべきだろう?

 杏ちゃんとの約束だと、犯人を追い詰めたら変身した私が悪を懲らしめる、ような事になってたような気がしなくもないんだけど、いかんせんその犯人が顔見知り……しかも色々と裏事情を知っちゃってる、というか私が裏事情を抱えなくてはならなくなった元凶みたいな人だから、おいそれと登場したくない。


 そんなわけで、登場のタイミングを見計らうために、いったん物陰に隠れて様子見する事にします。


「何なんだキミは!?私が何をしたと言うんだ!?」


「自分の事を客観視できないんですかアナタ?アナタ以上に怪しい人なんてそうそういませんよ」


 エンジェルプリンセスの異常聴力で離れていても会話が聞き取れるから便利だなぁ……いやぁそれにしても良い事言うなぁ杏ちゃん。お兄さんに自覚してもらうためにももっと言ってあげて。


「あ……」


 お兄さんと杏ちゃんの会話に夢中になっていたところ、ふと後ろから声が聞こえたので振り返ってみると、そこには莉々ちゃんが立っていた。


 アレかな?戦闘も終わったから、いなくなった杏ちゃんを探してたのかな?


「あ、莉々ちゃん。杏ちゃん、真犯人だと思われる人を見つけたみたいだよ」


 とりあえず、遅れて来た莉々ちゃんのために状況を説明してあげる。


「え?何?……奈々……なの?」


 ん?何で莉々ちゃん怪訝そうな顔してるの?

 …………って、ああああああぁぁ!!!?莉々ちゃんを見たから、うっかり条件反射みたいに話しかけちゃったけど、私変身したまんまだ!?どっからどう見ても、莉々ちゃんの大嫌いな、イカレ女の姿しちゃってるよ私!?


 まずい!何か!?何か言い訳を!!?


「あ~……えっと……杏ちゃんを騙すために作ってみたイカレ女のコスプレ衣装なんだけど、どう?似合ってる?」


 って何言ってるんだ私ぃぃ!!?何が「似合ってる?」だよ!?似合ってないから、莉々ちゃんから「イカレ女」ってあだ名つけられてるんじゃないの!!?


「ええ……凄いわね奈々、ソックリじゃない。同じ衣装なのに奈々が着てると似合って見えるわね」


 あの……同一人物ですよ莉々さん。

 っていうか信じたの!?あの無茶苦茶な言い訳信じちゃったの莉々ちゃん!?どれだけお人好しなの!?大丈夫?変な詐欺とかに引っかかったりしてない!?


「それにしても完成度高いわね……カツラまで用意して、よくこれだけのモノを短い時間で作れたわね」


 私が身に着けている衣装を触りながら、感心したようなつぶやきを漏らす莉々ちゃん。


 うん、こんなゴテゴテした衣装、一朝一夕で作れるわけないよ。莉々ちゃん……コレ、モノホンの衣装なんだ。


佐久間(さくま)ですよね?アナタ」


「!?……何故キミが私の名字を知っている?」


 莉々ちゃんとのじゃれ合いで放置していた、お兄さんと杏ちゃんの会話が突然進展したように聞こえて、急ぎソチラに視線を戻す。


「父から聞いています。顔写真も見た事があるので間違いないと思っていました……父はアナタに出資していた一人、といえばわかりますか?」


「……キミが私の事を知っている理由はわかった。だが、それが私を『悪の組織』の人間だ、と決めつける理由にはなっていないと思うのだがね?」


 何ナニ!?何か気が付いたら、アニメ終盤みたいな凄い急展開になってるんだけど!?どうなってるの!?


「あの二人知り合いだった?……いや、杏ちゃんの方が一方的に知ってたって感じに聞こえたけど……どういう関係なんだろう?」


 わからない事は二人で知恵を絞って考える!ってな具合に、隣にいる莉々ちゃんに小声で話しかけてみる。


「え?何が?……もしかして奈々、ここからあの二人の会話が聞こえるの!?どれだけ耳が良いのよ?」


 あ……再度、自分が変身してる事忘れてた。

 そりゃあ生身の聴力じゃ、この距離での会話聞き取りは無理だよね。


「えっと……何となく聞き取れる部分がある、って程度かな?」


 うん、実際はバッチリ全部聞こえてるんでけど、馬鹿正直に答えたら色々と疑われるだろうしね。


「だったらこんな場所にいないで、杏の所に行くわよ。元々そういう約束だったんだし……あの人が真犯人かどうかはともかく、杏が暴走して、犯人でもない人を犯人扱いしているようなら謝罪して、杏を引きはがしてくるのが私達の仕事よ」


「……え!!?」


 私の戸惑いをよそに、言うだけ言って二人の方へと歩いていく莉々ちゃん。


 待って莉々ちゃん!私にとってソッチは鬼門なの!?近づきたくないの!

 とはいえ、莉々ちゃんだけ行って、私がこの場に留まっていたら不審がられちゃうだろうしなぁ……


 仕方なく莉々ちゃんの後ろにコソコソと付いて行く私。

 莉々ちゃんは小言のように「まったく……世話の焼ける子ね……」とか言いながら歩いているけれど、私からしたら莉々ちゃんも同じだよ!何で放っておいてもいい厄介事に首をつっこもうとするの!?


 そしてあっという間に、エンジェルプリンセスの異常聴力を使わなくても二人の声が届く位置までやってきてしまう。


 ええい!こうなったら自棄(やけ)だ!なるようにしかならない!もうどうにでもなれ!!


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