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第18話 莉々ちゃんの心配事

「どうしよう奈々?私達は杏にどう対応すればいいのよ!?」


 昼休みが終わり、杏ちゃんと別れ教室へと戻って来た私達。

 席に着くなり、軽く混乱している莉々ちゃんから即質問された。


「いやぁ……あの感じは馬鹿正直に正体バラさない方がいいんじゃないかな?とりあえず杏ちゃんがいる時は、実は私の正体はイカレ女で、莉々ちゃんはその相方、っていう設定でいくのがいいと思うよ」


 まぁ実際の所、私の正体がエンジェルプリンセスだってのは事実なわけだから、そこまで難しい設定じゃないような気もするしね。


「で、でも……それだと昼休みに作戦会議が上手くできないんじゃないの?」


 ええと……杏ちゃんを昼休みに誘わないっていう選択肢はないのかな?

 まぁ、秘密を共有している者同士で、って名目で一度集まっちゃってるから、今更「明日から来ないでください」って言うのは明らかに不自然すぎる流れだから、杏ちゃんを誘わないわけにはいかないのか……


「ほら、杏ちゃんの予定ってのもあるだろうし、毎回私達に付き合って昼休み一緒にとる、って事もないんじゃないかな?たまには『クラスの友達に誘われたから今日は遠慮します』って日もあるだろうし、そういう時に密に作戦会議すれば大丈夫じゃない?」


「調べたらあの子も、私達みたいにクラスでは浮いた存在らしいのよ……『クラスの友達に誘われて』っていう可能性は0%に近いと思うわ」


 莉々ちゃん……さり気なく『私()』とか、私も同類にカウントしてるし!?いや、現状を見ればあながち間違ってはないんだけど……ないんだけどさぁ……友達たくさん作る計画をまだあきらめきれてない私には、精神的ダメージが大きいよ。


 にしても莉々ちゃん、杏ちゃんの事を既に調べてたのね……すごい行動力だなぁ。


 まぁともかく、私と莉々ちゃんで毎度やってた作戦会議に杏ちゃんが参加し続ける事は、ほぼ確定してる感じなのね。


「でもほら、やりようはいくらでもあるんじゃない?イカレ女目線で会話して『私達のどこが弱点になると思う?』みたいに聞けば、意外と良い意見もらえるかもよ」


「う~ん……そう、ね……そうするしかなさそうね……」


 あれぇ?私なりにナイスアイデア出したと思ったんだけど、莉々ちゃんは微妙にお気に召していなさそうだ。


「奈々……」


 少し黙った後、莉々ちゃんは何か悲しそうな顔で、私の名前をつぶやく。

 何!?もしかして杏ちゃんに「死ねばいいのに」とか言われたのを、まだ引きずってる?いい加減吹っ切れないと、杏ちゃんに正体バレちゃうよ莉々ちゃん。


「……杏に、イカレ女だって思われてて辛くない?」


 って私への同情かい!?

 さっきの悲しそうな顔って、私に対する哀れみの視線だったの!?


 心配しないで莉々ちゃん!私、杏ちゃんにイカレ女だって思われてても辛くないよ!だって事実だから!!

 莉々ちゃんには口が裂けても言えないけどね!!


「大丈夫だよ莉々ちゃん。私メンタルは強い方だから!」


 そんなわけで、適当な事を言って誤魔化しておく。

 ……メンタル強いの?私?


 それにしても、何かややこしい関係図ができてきたなぁ……

 莉々ちゃんに正体をバラせない私。杏ちゃんに正体バラせない莉々ちゃん。これで杏ちゃんが私に対して何か隠し事してたら、見事な三竦みが完成しちゃうねコレ。


「そういえばウチの学校って、3人集まれば同好会とか作れたよね?せっかく部室もあるんだから、私達3人で何か同好会作っちゃう?」


 まだ微妙に暗い顔をしている莉々ちゃんの機嫌を良くしようと、何となく世間話的な事を適当に喋りかけてみる。


「『秘密組織』とか『悪の組織』とか絡んでるから『SF研究会』とかどうかな?作戦会議とかしてるから、いちおうは活動してる事になるよね?学校側にその辺の活動内容報告しとけば、部費とか貰えるんじゃない?私達なりの活動資金になるんじゃない?」


 思いついた事を適当に喋ってみたけど、コレ意外とありなんじゃない?少ないかもしれないけど、部費とかもらえれば、ちょっとした遊ぶお金に……


「奈々……」


 おや?莉々ちゃんの表情が暗い顔から呆れた顔になってる。

 そりゃあそうか、いくらなんでも遊ぶお金欲しさに部費を……


「SF研究会は、この学校既に存在してるわ……」


 あ、ソッチですか……


「あと同好会じゃ部費は下りないわよ。部費が欲しかったらメンバーを5人以上集めて部活申請しないと無理よ」


 さらに追撃が……ごめんなさい、部費を横領しようとしたのは、ほんの出来心なんです。


「ちなみに全部、生徒手帳に書いてあるわよ。さては奈々、校則欄ちゃんと読んでないでしょ?」


 これ以上の追撃はやめてください莉々ちゃん。校則欄どころか、生徒手帳の中身の文章なんて一文字たりとも目を通していません。

 もう二度と部費を横領しようとしません。お金が欲しかったらちゃんとバイトします。だから、内心「楽してお金貰えるかも」とか本気で思って、軽くはしゃいでたさっきまでの私をイジメるのはやめてください。


 あ、ちょっと前に意気揚々と「メンタル強い」とか言ったけど、もしかしたら私、言うほどメンタル強くないかもしれない。


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