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第11話 作戦会議

「そもそも、あのイカレ女はいったい何者なのよ!?」


 早速莉々ちゃんがテンション高目に怒鳴り出す。

 そりゃあ二回も連続で、よくわからない女に、意味不明に自分とこの兵器がぶっ壊されれば怒りたくもなるよね。


「さ、さぁ?何者なんだろうね?」


 正体は私です!とか、とても言えないので、適当に返答しておく。


「そうよね……わかってるわ。奈々が知ってるわけないのはわかってる……ごめんなさい。今のは単なる愚痴よ」


 いや莉々ちゃん。怒る相手、別に間違ってないよ。

 ただ単に私が、意地でも自首したくないってだけだから。


「とにかく、あのイカレ女をどうにかぎゃふんと言わせる案があったら聞きたいのよ」


 今時『ぎゃふん』って……表現が古いな莉々ちゃん。でもまぁなるほど、莉々ちゃんは私のせいで大分ストレスが溜まってるから、何とかして私に痛い目みせたい感じなのね。

 ……ん?ちょっと待って?


「ねぇ莉々ちゃん……ぎゃふんと言わせればいいの?目障りだから殺しちゃったりとかはしないの?」


 そう、莉々ちゃんの言い方だと『二度と逆らえない程度に痛めつけてやりたい』って程度にしか聞こえない。


「殺すのはさすがにやりすぎよ。そこまでしたら犯罪じゃない!?あくまでも正当防衛が成り立つ程度にしておかないと……法に違反する事まではやる必要はないわ」


 悪の組織のくせに変な所で律儀だなぁ……というか器物破損はいいんだろうか?


「あの、莉々ちゃん……最初の時に公共物破損しまくってなかった?」


 お約束だから、とりあえずはツッコミを入れておく。


「あの時壊した箇所は、事前に買い取ってあるわ。だからアレは、私物を壊してたってだけの話よ」


 ごめん待って!?ツッコミが追いつかない!そこまで気にして町を破壊する悪の組織とか聞いた事ないんだけど!?そもそも買えるの!?


「えっと、了解……アレは別に法律に違反するような事は何もなかったのね……」


 意味不明な事に関してのツッコミは放棄するに限る。うん、アレは何も問題はなかった事にして流しておこう。


「とにかく莉々ちゃんは、あのイカレ女を殺しちゃったりする気はまったくないわけね……」


 やっぱり自分の事を『イカレ女』って言うのにはちょっと抵抗があるなぁ……ともかく莉々ちゃんが、私に殺意を持っていないわけね。


「じゃ、じゃあさ……やっつけて捕まえて、バックに何者がいるのかを拷問して問い詰めたりとかは?」


「そうね、バックにいるのが何者かを聞きだすのは良い案ね。世間の目の届かない場所で何かやる分にはもみ消せるから拷問するのは有りかもしれないわね。でも、拷問もやりすぎると身体に障害が残ったりするから、ほどほどにしかできないかもしれないわ」


 ほうほう……と、いう事は……


「それじゃあ『いっそ殺してくれ!』って言いたくなるようなエッチな拷問したりとかは?」


「あのイカレ女の自尊心を滅茶苦茶にするわけね!それなら身体に障害は残らないだろうからやってもいいかもしれないわね!むしろあのイカレ女にピッタリの拷問方法だわ!いい案よ!やっぱり奈々に相談して良かったわ!」


 クッコロ展開キタコレ!!


 変身した私の防御力を考えると、ちょっとやそっとじゃ死ぬような事はないだろうし、莉々ちゃんの相談にのるのは有りかもしれない。

 いや、そりゃあまぁちょっとは痛い思いをするかもしれないけれど、少しくらいはピンチになるような展開っていうのも、変身ヒロインものの王道展開的にほしいしね。少しくらいは我慢しよう。

 というか、試しに一回くらいは体験してみたいクッコロ展開を味わえるなら、むしろ望むところである。


「うん!わかった!莉々ちゃんの頼みだしね!同じイカレ女を嫌いな者同士、相談にのるよ!」


「奈々ならそう言ってくれると信じてたわ。私のためにありがとう……感謝するわ」


 いえ、むしろ私のためなんですけどね。


「それで、どう?何か良い案はある?」


 さっそく莉々ちゃんは目を輝かせながら質問してくる。……何でそんなに嬉しそうなの?


「う~ん……」


 とは言われたものの、変身した私の弱点ってなんだろう?

 攻撃力も防御力も、何か桁違いな感じがするんだよね……どう想像しても、殴り負けるようなイメージがわかないんだよね。

 ……ん?()()()()()


「ねぇ莉々ちゃん。遠距離攻撃とかできる?エンジェ……いや、あのイカレ女って攻撃する時、直接攻撃しかしてないよね?相手の攻撃が届かない範囲から狙撃とかしちゃえばいいんじゃない?」


 そう!絶対に殴り負けるのなら、殴り合いをしなければいいんだ!


「確かにそれはいいかもしれないわね。ええ、レーザービーム砲を搭載した機械人形はあるから、それを使えばやれなくはないわね……」


 ビ、ビーム!?何かすごいの出てきたなぁ……実弾じゃないんだ……耐えられるかな私?


 それにしても莉々ちゃん、何か微妙そうな表情だなぁ……何か問題でもあるのかな?


「ただ、あのイカレ女をおびき出すためには、一度町で暴れなくちゃならないのよ……いきなり、その機械人形の近くに出てこられたら、狙撃も何もできずにやられる可能性が高いわ」


 ああ、なるほど。それで悩んでたのね。


「じゃあ、もう一体、別のどうでもいい化物を放って、それを派手に暴れさせるのは?で、本命の化物は、その場所が見える範囲でなおかつ攻撃の届く距離に事前に待機させておく、とか?」


 まぁよくある囮作戦的な感じ?


「それよ!!何て画期的な案なの!」


 え、いや、けっこうよくある……


「フフフ……奈々のおかげで、次はあのイカレ女を倒せるわ!」


 うん……莉々ちゃん凄い嬉しそうだから何も言わないでおこう。


「まさか伏兵がいるなんて夢にも思わないでしょうね!あのイカレ女の驚く顔が見ものだわ!」


 テンション上がってるところゴメンね莉々ちゃん……私、伏兵がいる事知っちゃってるから、まったく驚きがないと思うんだ。


 ……次の戦闘は、莉々ちゃんのために驚く演技をしてあげた方がいいのかな?


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