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番外編2話 通り魔イカレ女

 まただ!?またあのイカレ女だ!!ホント何なのアレ!?


 しかも今回は、機械人形を放った瞬間だ。

 まだ何も被害なんて出してないのに、いきなり現れて機械人形を壊していった。

 いくら出来損ないの作品だって言っても無料(ただ)ってわけじゃないのよ!?

 もしかしたら今回は、破壊活動しないで慈善事業していった可能性だってあったじゃない!それを何もしてないうちから壊すなんて、本当に頭イカレてるんじゃないの!?


 ほんの一瞬しか機械人形稼働してなかったけど、あの子はちゃんと見てくれていただろうか……?


 そう!今回、急遽機械人形を放ったのには理由がある。

 話せば長くなるのだが、簡単に話すと、私にも初めて友達ができるかもしれないのだ。


 今までは、私の事情を話すと蔑んだ視線を向けられた。「本当の事だ!」と言って詳しく話そうとすればするほどに、その視線は強くなり、終いには「ウザい」「頭大丈夫?」と言われてきた私にも、高校生になって、初めて私の話をちゃんと聞いてくれるかもしれない子が現れたのだ。


 えっと……名前は……あ~……たじま?そう!田島奈々だ!!

 名前の感じも私に似てるし、もうコレって運命なんじゃないの?


 まぁともかく奈々は、私に話しかけてくれたのだ。

 どうせこの子も『私と話しているとウザく感じるようになるのだろう』と思って、素っ気ない態度を取っていた私に、明るく声をかけ続けてくれていた。


 しかも、私と同じように、あの腐れイカレ女が嫌いらしく、私の機械人形を応援してくれるとまで言ってくれたのだ。

 今まで私がやっていた事を認めてくれたみたいで、本当に嬉しかった……


 思い切って私の事を話してみたところ、若干戸惑ったような表情にはなっていたけれど、今までの連中みたいに私の事を『頭のおかしい馬鹿』扱いする事なく、ちゃんと聞いてくれた。

 少し半信半疑な感じではあったけれど……


 まぁでも、それは仕方がない事だと思うわ!いきなりそんな事言われても戸惑うのはわかってる。

 ただ私の話を、頭っから信じてない今までの連中と違う反応をしてくれた事が私は嬉しいの!


 だから、私が言った事が嘘じゃない事を証明したかったの。

 私が話した事が事実だってわかってもらえれば……私が嘘つきの妄想女じゃないって事がわかってさえもらえれば、イカレ女を嫌いな者同士、良い友達になれると思ったの……


 だから今回、奈々に指定した時間と場所に、急遽機械人形を放った。


 それなのに……それなのにあのイカレ女……


 機械人形が起動のための咆哮をあげた瞬間、突然頭部が消失し、気が付いたら機械人形の頭部を持ったイカレ女が近くに立っていた。


 ホントどっから出て来たのよあのイカレ女!?

 動きがあまりに早すぎて、何が起こったのか一瞬理解できなかった。


 私の思考が追いついたのは、イカレ女が何かよくわからない叫び声を上げて、それとほぼ同時に頭部を失って倒れる機械人形を見てからだった。


 何なのよあのイカレ女!?せめて一言くらいあってもいいんじゃないの!?それをいきなり頭もぎ取っていくとか、完全にただの通り魔じゃない!?


 奈々は、私を『悪の組織のボス』と表現していたけれど、これじゃあどっちが『悪』なのかわからなくない?

 『悪の組織と戦う正義のヒーロー』を気取りたいんだったら、せめてそれらしい行動はとってほしいんだけど!

 前回の機械人形が暴れてたからって言っても、今回まだ何もしていない『悪の組織の怪人』の首を登場と同時に刈り取っていく『正義のヒーロー』なんて聞いた事がないわよ!?


 そして、ただ茫然と立ち尽くしている私をよそに、イカレ女は、機械人形の頭部を倒れている機械人形の隣に投げ捨てるようにして置くと同時に、現れた時と同じように、颯爽とその場から姿を消す。


 いきなりその場から消えるとか、どういう移動手段を使っているっていうの?ワープ?

 あのイカレ女は、ワープなんていう移動手段を持っているの?

 ファンタジー世界の魔法でもあるまいし、ワープなんていう技術は、私達ですらまだ確立できていない。

 そんな技術をあのイカレ女は……いや、あのイカレ女が所属している組織は持っているとでも言うの?

 どこの誰だか知らないけれど、私達に敵意を向けている敵の技術力をあまり侮らない方がいいのかもしれない……


 そんな事を考えながら、イカレ女が消えた後も、まだこの場に残っている野次馬連中へと視線を向ける。

 私と同じように、野次馬に紛れて様子を伺っている敵対組織の人間がいるかもしれないと思い、改めて気を引き締める。


「奈々……見当たらないわね……」


 気を引き締めながらも、気になるのは田島奈々の存在。

 私の友達になってくれるかもしれない優しい子……奈々の爪の垢を煎じて、あのイカレ女に飲ませてやりたいくらいだ。


 ともかく奈々は、私の視界に入らない場所で、機械人形が現れたのを見てくれていただろうか?

 直接見なかったとしても、この時間・この場所に機械人形が現れた事を、噂でもなんでもいいから見聞きしてくれているだろうか?


 今私が一番重要視しているのは、ただその一点だけだった。


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