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1.転生しちまった。

初投稿です。

稚拙な文章ではございますが、不定期で更新する予定です。

目覚めると酷い頭痛襲われ、たまらず体を起こして頭を抑えると隣から誰かが呼ぶ声がする。


「ゼン様っ、お目覚めになられましたか!」


どうやら私はベッドで寝ていたらしい、軋む体と頭の痛みに顔をしかめながら、そろりと隣を見やるとおおよそ私の知る人類には自然発生しないであろう菫色の髪を持つ女性が心配そうにこちらを見つめていた。


その瞳は髪色と同じく透き通ったアメジストのようで、涙を湛えている。彼女はよくよく見るとクラシックな侍女服を着ていて、私は未だ夢の世界を彷徨っているかのような錯覚を覚える。


「ゼン様っ!ご気分はいかがでしょうか?痛みはありませんか?すぐに奥様を呼んでまいります。」


慌ただしく言葉を重ねら彼女は、私の返答を聞くことなく急足で部屋のドアを開けてどこかへ去っていった。


だんだんと遠くなっていく足音を聞きながら私は再びベッドで横になり、今の状況を考えているのだが、なかなか答えが浮かばない。止むことのない頭痛とともに、二度寝の誘惑に抗っていると、またもや騒々しい足音に叩き起こされた。


―――こちらは酷く深酒した翌日のような耐え難き痛みに悩まされているというのに。


イラつき混じりに騒音の発生源であろう方角を見ると、熊のような髭を蓄えた男と、妙齢の女性が必死に話しかけてきている。


男はどうやら医者であったらしく、私の健康状態を確認しているらしい。


医師の診断を受けている間、妙齢の女性(覚えはないが、どうやら私の母親らしい)の話はまだ続いていた、どうやら私は魔素分解障害という、奇天烈な名前の病で1週間に渡り生死の淵を彷徨っていたらしいではないか。


「ヘラ様、ゼン様はどうやら記憶に混乱があるようです。魔素分解障害に罹った方には良くあることですな、早ければ明日には、遅くとも2、3日もすれば意識を失う以前のことも思い出せるのでご安心ください。」

「何ですって?先生、本当にゼンは大丈夫なのですか?」

「はい、くれぐれも安静にしていて下さい。この症状は内核に溜まった魔素が精神に負担をかけていた為に起こることです。

魔素が抜けた後は徐々に記憶を取り戻すはずです。」


―――なるほど、どうりで何も思い出せないわけだ。


全く聞いたこともない病名ではあったが、記憶が曖昧な現状、この医者を疑うこともできず、無理矢理自分を納得させる。

病み上がりに色々考えすぎて疲れているようだ、母と医師ご会話する音がだんだんと遠くなり、私は2度目の眠りにつくのであった。



次の日のこと、医師の言葉通り、記憶を取り戻した私は掛け布団を飛ばしながらどこへとなく驚愕の声を上げた。


「いや、ここ日本ちゃうやん!?」


思い出した。

私の名前はゼン・ディエゴ・マルタン・ブランドール。

皇国南部の肥沃な領土を持つ名門ブランドール侯爵家で生を受け、現在12歳になるまでは大きな病もなく(といっても昨日まで今生初の大きな病で倒れていたわけだが)スクスク育ったナイスガイだ。


「てかなんのテンプレやねん!?」


そして、思い出し過ぎたかもしれない。

私が人生初の大きな病の為気が触れてしまったのでなければ、今のゼンとして生まれる前に日本で生き、血を吸うトラックによって生涯を終えた記憶が蘇ってきたのであった。ちなみに私の前世は関西人ではない。


ゼンは私が前世でやっていたRPGゲーム『そして巡り会う、あの時を超えて』に出てくる敵キャラクターだ。

そしてお分かりだろう、私は遠くない未来に主人公の敵として命を落とすことになる。


「いかがなさいました?ゼン様。」


ドアの向こうから昨日の侍女が駆けてくる。

彼女の髪は窓から差し込む光を反射し、薄紫の光を放っているかのようで、私は明らかにここは前世ではないことを再確認しながらまずこの侍女にどう言い訳しようか思考を巡らせるのであった。

稚拙な文章をお読み頂いてありがとうございます。


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