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第七話 手遅れ

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入国し、おば様に出会ってから四十分がたった6時40分。

私はあるボロボロの建物の前にいた。


「おば様まさかとおもいますが。」

「そのまさかだ!」


嘘だと言ってほしい程にガタがきているそれは最早建物とは言えない代物だった。


「ちょっと古臭いのが良いところだぞ!」


ちょっとというには聊か無理があると思うが。私は茫然としたままドアノブを握ったその時。


『バキッ!』

「おば様、玄関のドアノブを握ったら根元から外れたのですが?』

「そういうときもあるわ。」


幸いにも鍵さえ壊れているドアはなんのためらいもなく開くが音が酷い。早速、靴を脱いで廊下に足をかける。


『ベキッ!』

「おば様、廊下が抜け落ちたのですが?」

「あるあるね!」


何とかセーフティゾーンを見つけ抜け落ちた足を引き戻し、目の前にあった階段に恐る恐る足をかけると。


『ギシギシピキッ!』

「おば様、階段からなってはいけない音がするのですが?」

「うんうん!あるあー。」

「ありませんよ。」


未だに誤魔化そうとするおば様に顔を近寄らせて責める。

「文句言うんじゃないよ。仕方ないでしょ?全然誰も来てくれないんだから。」

「そりゃ、こんな有り様だったら来る人もいないでしょうよ。」


何が悲しくてこんなコント染みたことを二人でしなければならないのだ。

私が、今日から家となる場所がこんなところだと知って心から落胆していると玄関を開けるときに聞こえた酷い音が響いてきた。


「おはようございます、ピーターさん。」

「げ!」


そこには変な髪と小さな背丈、小太りな体型が特徴的な男が立っていた。


「ここのところ支払いが日に日に減っているのでどうなのかと思って来た次第なのでありますが、どうですかね?」

「い、いやー。ガイトニーさん、あと一週間待ってもらっていいですか?絶対にお金は用意しますんで。」


情けなすぎる。


「そう言ってもう一ヶ月間、送金が足りていないんですよ?今度払えないのであれば、退いて頂くことも視野に入れておいてください。今日のところはこれにて引き上げさせてもらいますが、早めの退去準備をお勧めします。では。」


閉めにくそうな扉を閉めたガイトニーさんは影を持って行ってしまった。


「だー!もう!こっちだって用意できていたら苦労しないっての!」


ガイトニーさんが出ていった玄関のドアに悪態をつきながらもすぐに現実を叩きつけられたせいか、落ち込むように両肩をガクリと落とした。


ダメな家にダメなおば様と来たか。あのしっかりして几帳面な母様と比べたら本当に姉様なのかと疑ってしまう。


「あのー?大丈夫ですか?私、入国して一週間で実家に帰るという辱しめを受けることはありませんよね?」

「だ、大丈夫!入居者も来たことだし、これからはお金が入るわ!」

「はぁ、そういうとこなら構いませんが。ところで、入居者とは私以外に何人いるのですか?」

「ぜ、0人・・・。」


おば様ら、目を逸らし恥ずかしそうに人差し指同士で指先を突いた。


(この人、可愛い甥っ子から金を巻き上げるために呼んだってことですか。)


つくづく呆れる状況で沈黙が流れる。


「もういいです、聞くだけで疲れそうなので。私の部屋を教えてもらっていいですか?」

「ああ、こっちこっち!」


そう言って、悲鳴を上げる階段を慣れた足つきで登っていく。

二階には埃の被った廊下が真っ直ぐに伸びていて、こう言うのもなんだが、一丁前に三つも部屋があった。


「んーじゃあ、ここに入ってもらおうかな。」


トントンと叩くのは201と書かれた部屋の扉。空気の悪い空間で深呼吸を何度かし、覚悟を決め何も期待していないその先へ繋がる扉を開けると。


「ここに住めと?」

「住めないことはないでしょう?」


覚悟以上のものがそこに広がっていた。畳は色が変色して朽ち果てかけていて、天井には小さな穴が、電気を付けようと付いている紐を引っ張ると根元から落ちてきた。


「おば様。」

「何?」


私は優しい目でおば様の目を見つめ。


「今からでも遅くありません。いいえ!遅いかもしれませんが、今すぐここを売り払い、鬼の里へ帰ってください!」


本気で心配するように両肩を掴んだ私は、冷や汗を垂らしながらおば様にそう言ったのであった。

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