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第一話 大罪人

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青い空に白い雲、風も暑くも無ければ寒くもない、お天道様もご機嫌よろしく、肌が焼ける心配もせずにすみそうだ。


きっとこんな日のことを世間の人たちは『いい日』と呼ぶのだろう。こんなにも意識して空を見たのは始めてだ。もっと早くこの美しさを知っていれば、あと一年は生きていてもよかったかもしれない。


「おら、さっさと歩かんか!」


私がこの美しい空に見とれていると、後ろにいる大男に後頭部を棒でどつかれた。人が楽しんでいるところを邪魔するとは品のない人だ。

まぁ、でもいいさ。今日は私にとって、とても特別な日になるのだから。


何があるのかだって?

逆に問おう。なんだと思う。

この美しい空の下だ、つまらない回答は出来ればよしてくれよ?

何?誕生日?NO

結婚記念日だって!?もっと無いね。

答えは。


おお!空がさっきよりも美しい!きっとこれは何よりも高い場所に上がったからだろう。視界に映っていた余計な物が無くなって映っているのは純粋に空一色。

この美しさを、もしも一人で落ち着いた場所で見ることが出来ているのならば、きっと私は紅茶とお菓子でオフタヌーンティーと洒落込んでいたことだろう。


話は変わりますが、医者が手術を行う時の衣服が緑や青の理由は赤い血の見すぎで酔わないようにするためなんだとか。私は一度も酔ったことなんて無いけれど。


「ここに座れ!」

「はいはい。」


ああ、私の最後を一目見ようとこんなにも沢山の人たちが来てくれている。なんて、ありがたいことだ。

おっと、話がずれていたね、今日はこの私、ジャック・ザ・リッパーの命日になる日なのである。


『皆様!お待たせしました!これより、世紀の異常者、悪魔、そして殺人鬼とうたわれたこの男、ジャック・ザ・リッパーの公開処刑を始めます!』


目の前にいる人たちはスタンティングオベーションを私に送ってくれる。私もだよ、私もこの日をどれほど待ちわびたか。そう考えると涙が出てくる。


「早く殺せ!」

「地獄に叩き落とせ!」


なんて言葉が舞い上がり私も少し興奮する。

いよいよだ。私もいよいよ死ぬんだな。


「最後に言いたいことはあるか?」


それは、死刑を執行する者からの言葉だった。

そう言えば、死刑人は最後の言葉を自由なだけ言っていいという決まりがあったような。

そんな曖昧の中私は口を開く。


「皆様、今日はこの私の命日、死にざまを見に来てくださってありがとうございます。今日こんなにも天気がよろしいのはきっと神様が私にくれる最後の慈悲というものなのでしょう。私はこのまま死んでしまいますが、この人生に後悔はありません。沢山の人を満足できるまで殺すことが出来たのですから。そう言えば神様は死んだ人間をまた違う生命に移してくれるようですね。もしも、それが本当に可能なら鳥にでもなりたいのですが皆様はどう思われますかな?」


会場が一気に静まり返る。それは、きっと私の最後の言葉が死ぬ間際の人間が言うことではないと思ったからだろう。しかし、私にとってそれはとても重要なことなのだ。


なぜ鳥なのかだが、別に鳥に限ったことではない。虫でも草でもなんだったら星にだってなりたい。

でも、出来れば人間やそれに近しい者にはなりたくない。私はもう人を殺さないと誓ったのだから。人間に生まれ変わると、人殺しをしないと保証しかねてしまう。


よく、生まれ変わったら前世の記憶が無いとは聞きくが、この私の事だ、記憶が無くなっても人を殺したいという衝動を抑えきれないだろう。

だから、鳥なのだ。


「ふざけるな!」

「ん?」


処刑台の下の方から声が聞こえた。


「なんですか、あなたは?」

「貴様のような奴が生まれ変われるわけないだろ!」


なんとも失礼な人だな。


「どうしてそう言いきれるのですか?」

「それは、貴様が悪魔だからだ!」


何をいうのかと思えば、くだらない。悪魔だの神様だの。


「その程度で喚くのであれば、口を閉じていなさい。程度がしれますよ。」

「悪魔が作った人間、それがお前だ!今まで殺してきた人たちの無念をなにも感じないのか!?」


その青年は、正義感が強いのだろうか。それとも、自分の考え方に酔っているのだろうか。まだまだ、考え方が若いな。

だとしても、恐らくここらへんで。


「そ、そうだ!この若者の言う通り、貴様は悪魔だ!」

「そうよ、だから早く地獄に行きなさい!」


人間の醜いところだな。

誰かが言ってくれないと自分は何も言えないなんて。こうして仲間が増えていくと次第に自分も大丈夫と考え出して喚く。


ここらで黙らしておくか。

そう思った私は大きく息を吸い込んで。


「神は!!」


その声に青年を始め多くの者が口を閉じた。


「私たちを創造し、運命も神の赴くまま。確か聖書9条二項に書いてありましたよね。それらに則り考えるのであれば、私たちを作ったのは神で、そして私に殺された人たちの運命を決めたのも神だとは思いませんか?」


「ち、違!」


「それに私は神という存在が我々人間に認識されてから、ろくなことがないと思うのです。今や多くの宗教、信者が増えていく中、大昔の人々はたかが崇める神が違っただけで処刑を行っていましたし、今の時代に至るまで何人の人が宗教戦争で犠牲になりましたか?そして、そんな人間を救うはずの神が見殺しとは笑わせる!」


騒ぎ立てていた多くの人たちは無言のまま下を見る。そんな彼らに私は追い討ちをかける。


「教会なる物が出来、教皇という位ができました。その歴代の教皇の中で死刑になった者だっていたでしょう!?理由は私と同じ悪魔だからというではありませんか。あなた方の言う聖域には何人悪魔が入り込めばいいのです?」


はぁ、つまらない。若人よ、だから黙っていろと言ったのだ。


「自分の成功は行ってきたことを誇り、失敗は『なぜ見捨てたの』かと神を責める。もし、神が存在しているのであれば可愛そうですねぇ。最も私は神頼みなんてしたことはありませんが。」

「もういいか?」


私の一方的に言いたかったことが終えると同時に処刑人の大男は斧を持ち上げてそう聞いた。私を待っていたというより、時間切れというふうに感じた。


「最後に、皆様世界の終わりの時に神は救ってくれるそうですが、その終わりを告げるのもまた神だということをお忘れなきように。」


『ザシュ』


首が飛ぶ。空が飛ぶ。青い空と一体化する。そして最後に見たものは首から血を噴出する自分の姿。


(ああ、やっぱり、赤が一番綺麗ですねぇ。)


それを最後にジャック・ザ・リッパーの人生は幕をとじた。

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