本当の別れ
俺は家に帰り、懐中時計を持ち走った。朱菜に会う為…愛する人に会う為…向かう途中で草道から電話越しで止められたが…そんなもので俺の足は止まらなかった。月下霊園までは走って一時間…確かに距離はある。だがそれがどうした?意地でもたどり着いてみせる。
「待ってろよ!…優衣!」
俺はそう言い月下霊園に向かった。俺は今恐らく満足気な顔だろう。アレからどんだけたったか分からない。信号の看板に「月下町」と書いてあるその看板を見て、もうすぐ目的地につくと確信する。何故ならその後ろには「寺」があるから。
「そろそろだな…」
俺はそう言い走り出す。ようやく会えるそうだ…会えたら何を言おう…そんな事を考える。そして朱菜がいるであろう所にに着いたが…
「居ない…何でだよ!おい優衣!なぁ…」
どれだけ探しても…何度呼んでも…朱菜の姿は無かったし…朱菜が俺の前に顔を見せることも無かった。何故か分からない。俺は必死になって声をかけ探した。
「おい!優衣!居るんだろ!?隠れてるんだろ?…なぁ…」
そう言いあたりを見渡し…俺は見てしまった。墓標に記された名前を…
「嘘だろ…?なぁ…?」
その墓標に記された名前は「朱菜 優衣」だった。