別れ
二日後卒業式を迎えた。いつものあのメンバーとも離れ離れになる…俺はこんな時ほど涙が出ない。朱菜と草道は涙ぐんでいたのに…
俺は今中庭にある桜の木で、ある人物を待っていた。その人物は朱菜 優衣だ。今日は朱菜に自分の思いを告げる。そう計画していた…来たな。朱菜が駆け足で俺の前まで来た。心臓の音が加速する。どうしてか?そんなもの問われても簡単だ。緊張するのだ。自分の思いを伝えるのは…でも止まったままではダメだ…だから俺はこんな言葉を綴った。
「もう…お別れだな…」
寂しい笑顔で告げた俺に続き朱菜も同じ表情で
「うん…もうお別れだね……」
と言い下を向いた。するとすすり泣く声が聞こえた。この時点で誰だか分かる、この泣き声は朱菜だと…このままでは思いを告げる事が難しくなるそう思った俺は
「なぁ…?俺がいきなり早退した時…お前は「溜め込まなくてもいいんだよ」って言ってくれただろ?」
そう会話を始めた後に朱菜から返事があった。
「…うん」
その後はもう言葉が簡単に出た。まるで本を朗読しているみたいに。
「あの言葉で俺は助けられたよ…お前みたいに優しくて…人に思いやりを持てる君が………」
その声の後一間を置く…そして瞳を閉じてまた開きこう言った。
「…好きだ」
その声に、朱菜は顔を上げこう返事をしてくれた。
「私も!…大和君みたいに…優しくて…我儘聞いてくれる君が………」
この後俺には想像つかない言葉が飛ぶ。それは朱菜の口からだった。
「…好き!」
俺達はお互いに好きだということを今ここで知れた。俺は下を向き肩を震わせてすすり泣く朱菜を抱きしめこう言った。
「お前もかよ…」
その後は二人でこんな約束をした。もちろん提案は俺からした。
「もしさ!朱菜が帰ってきたら…付き合おうや」
そんな俺の不格好な告白に朱菜は…顔を上げ頷きながらこう言ってくれた。
「…うん!」
忘れもしない…あの日交わした約束を…10年前にした約束を…