予兆
あの日から二日過ぎた。明後日には卒業式を控えてる俺達は下校途中にコンビニによった。3人でコンビニなんて行ったこと無かったので…ちょうどいい。しかも嬉しい事に草道がこんな事を言ってきた。
「よし!今日コンビニに寄るけど…買って欲しいものはあるかい?」
学生のうちに奢る奢られるは少し厳しいので甘えることにした。ちなみに…俺はもう決まっていた。
「俺は…エナドリで」
朱菜は何をチョイスするんだろう?別に気になっているわけでは無い………と言ったら嘘になる実は気になったりしている…と答えが返ってきた。
「ん〜…イチゴオレかな〜」
とまさにと言ってもイイ物をチョイスしていたのに少し安心している。とそろそろ目的の場所に着く。すると草道は財布をポケットから取り出して店の中に入っていた。
「ほな!行ってくる〜」
そんなやる気の無いようなセリフの後に俺と朱菜は
「行ってら」
「待ってるね〜」
で返しておいた。さてここから数分は2人だけの時間だ。俺は朱菜に色々聞きたいことがあったので聞くことにした。
「あのっ………イチゴオレ…好きなの?」
待て…俺よ何故先にそれを聞いた?これも女の前で緊張し…変な会話の始まりをしてしまう俺の悪い所か?答えてくれるかと待っていると
「うーん…飲みやすいからお気に入りかな〜?」
と微妙な感じだった。でも不思議な事に俺の顔をジロジロ見ていたので気になったココは聞くしかない。
「…あの…俺顔になにか着いてる?」
するといきなり朱菜が俺の額に手を当てたのだ。何故なのか分からず俺は少し驚いていた。
「!!!???」
そんな驚いている俺に朱菜は少し困った顔で
「大丈夫?風邪引いた?」
と実際は引いていない。恐らくほとんどの人は俺の反応で分かるだろう…俺は 朱菜 優衣 を好きになった。恐らくあの事件からだろう。あの時以降俺の頭から「朱菜 優衣」この名前が離れることは無かった。草道を待っている間に質問しては答える事を二人でしていた。しかし俺はある事に気付いてしまう。朱菜の顔色が、段々悪くなっていったのだ。俺は心配だったので
「おい…顔色悪いぞ…大丈夫か?」
そう聞くと朱菜は手で身体を押さえつけて震えた声でこう言った。
「ひぐ…らし君…だいじょ…」
朱菜がそう言いかけた後朱菜の身体は、重力に従って倒れてゆく。俺は唖然した目の前で人が倒れる事が無かったから余計だろう。2~3秒たった後に
「…!朱菜!?おい!しっかり!誰か救急車!」
俺は呼吸のテンポが早くなって身体を震わせてている朱菜のそばにいて励ましの声しかかける事か出来なかった。
あれから1時間半ぐらいたっただろう。朱菜が診察室から出る事は無かったが俺と草道は、朱菜の保護者と医師の承諾を得て朱菜に会う事ができた。病院着を来ているところを除けばいつもどうりの朱菜が俺と草道にあの「静かな夜」のような笑みを浮かべてこう言った。
「ただの貧血だって〜…大丈夫だよ〜」
草道も俺も安心しきった表情を浮かべ朱菜の横で安堵の声を出した。
「あ〜もう心配したじゃねぇか」
そう草道が言った後に続き俺は
「大事でなくて良かった…」
しかし朱菜は下を向いたまま
「…うん…良かったよ」
やはりまだ完全復活とはならないようだ。俺達は少しだべりその後に病室を後にした。帰り道俺と草道は無言だった。しかし駅で別れる瞬間草道が、こんな事を言ってきたのだ。
「なぁ!もし離れ離れの道に行ったきり帰って来れなくなったら…ひぐならどうする?」
いつにも増して真剣な顔で草道が尋ねる。俺の答えはすぐに出た。
「そいつとしか作れない思い出を作る」
そう言うと草道は安心した顔で俺に言ってきた。
「前と違う答えで…良かったよ」
その会話の後俺達はそれぞれの帰路に辿るのだった。