第2話
・・・はぁっ?
なんだろうか、この何とも言えない2つの称号は。
(なんだこれ。人違い?人違いってなんだ?人選ミスか?おまけによく分からない称号もあるな。これは話すと色々めんどくさそうだな。よしっ、こっちの方は黙っておこう。・・・さて、他の奴らはどうだったんだろうか)
「ありました!俺は勇者のようです」
「・・・俺は選定者だった」
「私たちも選定者でした」
「ガジェス殿はどうだったのだ?」
「俺は・・・人違いだそうだ」
「・・・人違い?」「――やはりあの者は違ったということなのか?」
「静まれ!・・・そうか、人違い、つまり誤って召喚してしてしまったということか。すまないことをした」
「別に気にしていない。ただ、俺は勇者たちとは関係がない。そうだろう?」
「う、うむ。その通りだ」
「なら、俺は勇者たちとは別行動をとらせてもらう。その方が都合のいい奴らもいるようだしな」
俺の言葉に目を逸らす奴ら数名。気づいていないとでも思っていたのか?バレバレなんだよ!
「待てよ!」
「・・・なんだ?俺はここから出ていくんだが?」
「お前は・・・この世界の住人なんだろう!世界を滅ぼす魔王を、野放しにするつもりか!」
「何を言っているんだ?お前たちは、勇者と、選定者だ。だが、俺は違う。ただの一般人だ。それともなんだ?お前たちは、俺に死ねと言いたいのか?」
「なっ、俺は別にそんなつもりじゃ・・・」
「世界を救おうとする心がけは立派なものだ。しかしそれが出来なかった時、どれ程の人が犠牲になるんだろうな?その心がけが無駄にならないよう、がんばってくれ」
「何を言っているんだ?お前は一体・・・」
「とにかく、俺はお前たち勇者御一行様からは、距離を置かしてもらう。じゃあな」
「あ、お、おい!まだ話は――」
そうして俺は、居心地の悪くなった城を抜け出していった。