間章1
俺は霧下勇太。近所にある高校に通っているただの高校生だった――あの日までは。
高校での放課後の事だ。
「霧下ぁ~、お前どう思う?」
「え?なんの事だよ?」
「だからさ、異世界召喚とか、憧れることね?」
「異世界召喚か・・・確かに憧れるな」
「だよな!でさ、俺は異世界に召喚されるなら勇者として召喚されたいんだけどさ、霧下はどうなんだ?」
それは他愛の無い話だった。俺たち高校生が、自分達の読んでいた本の話で盛り上がり、それが叶わないものだと知りながらも憧れる。それぐらい誰でもすると思う。
「・・・そうだな、俺も勇者かな。まあ、もしその世界に魔族とかがいたとしたら、俺は勇者じゃなくても倒しに行くけどな」
「おぉっ!さすが霧下、格好いい~!・・・まあ、お前ならそういうと思ってたけどな!」
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それからしばらく話した後、俺はそいつと別れて家に帰る事にした。
「異世界召喚・・・か」
もし本当にそんな事があるのだったら、どんなにいいことなんだろうか。
そう思いながら歩いていた時だ。目の前を歩いていた女の子に向かって車が突っ込んでくるのに気付いた。そして、その女の子がそれに気づいていないことも。
「っ!危ない!」
俺はその女の子を突き飛ばし、その女の子が安全な所まで転がっていったのを見た。
「良かった。でも俺は・・・死ぬのか?」
目の前が真っ白になり、俺の意識は――――――――――――
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「――成功だ!」「これで世界は救われる!」
ここはどこだろう?気が付くと俺は、4人の男女と共に広い部屋にいた。もしかすると、この状況は・・・っ!
「お、俺は召喚されたんですよね!俺は、何をすればいいんですか?」