第9話
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今から約十数年前。
人族、獣人族、森人族、龍族、魔人族など、様々な種族が生息していたこの世界「フェルキナ」では、各種族たちが互いに協力し、生活していた。人族、獣人族、魔人族の3種族は主に開けた平野に街を作り、森人族は主に森に街を作る。龍族は、山頂や山奥に街を作っていた。そんな、ある日の事だった。これを期に平和だった世界は、一変する。
空が、割れた。
その裂け目から、莫大な魔力反応が起こり、見たことのない大量の未知の魔物たちが溢れ出てきた。そして、魔物たちは各国に襲いかかった。その魔物たちのなかには、魔物にしてはずる賢く、知恵の働く者や、妙な力を使う者も紛れていた。それらの魔物たちは、後に特殊魔物と呼ばれることになる。
この世界の者たちと、謎の魔物たちとの戦いが始まった。
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その後、彼らは魔物たちの大群の討伐に成功した。安心している者がいるなか、一部の者はこう思っていた。
「これで終わりのはずがない」と。
やがて、裂け目の付近を調査していた一部の者たちが、奇妙な建物を発見する。空が割れる前までは、何も無かったはずの所で、塔が見つかったのだ。そこからは、裂け目から感じた莫大な魔力反応が確認された。
この塔の中に、この事態を引き起こした張本人がいるに違いない。
そう思ったそれぞれの王たちは、自分たちの国の精鋭たちを集め、混成部隊を作り、塔のなかへと突入させた。
しかし、十人いた混成部隊の内、帰ってこれたのはその半分の五人のみだった。帰って来た彼らは言った。
「あの塔の中には、魔王と名乗る者がいました。その者は、あり得ないほど強く、私たちは逃げ回ることしかできませんでした。必死に逃げていた時、
「この我を打ち倒すほどの強き者を連れてこい。さもなければ、我はこの世界を征服する!1年だ。1年後にこの世界は我の物となる!さあ、強者よ、在れ!」
という声が聞こえてきました。私たちはどうにか逃げることができましたが、残りの5人はもうっ・・・」
それを聞いた王たちは、古の伝承を思い出した。
『いつの日か、この世界に魔王と名乗る者現れるだろう。その者、規格外の力を持ちえし者なり。だが、恐れることなかれ。その者に対抗できる者、それこそ、勇者と選定者なり。選定者はこの世界から、勇者はこことは異なる、他の世界から選ばれるだろう。然るべき時のために、ここに召喚・選定の魔法を残す。願わくば、魔王が現れない事を・・・』
その後、王たちが一つの国に集まり召喚・選定の儀式を行った。そして、異世界から勇者が喚ばれ、獣人族と龍族からは戦士、森人族からは回復術師、魔人族からは魔法使い、人族からは召喚師が選ばれた。彼らは世界中を周り、さまざまな問題を解決し、同時に神器を集めていった。
それから約一年後、勇者たちは魔王との戦いに挑んだ。順調に魔王を追い詰めていった彼らだったが、突如形勢が逆転。勇者たちは窮地に立たされた。
そんな時、彼の仲間の人族の少年が魔王の封印に成功する。己の体を犠牲として。
不思議な事に、その魔王を封印した彼の素性はわからない事が多い。共に旅をしてきたはずの勇者たちも、彼の名を思い出す事はできなかった。
ただ分かっている事は、彼は人族の少年で、召喚師だったという事だけである。