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狼少年


『バケモノを見た』


 なんて、大人に言っても普通なら笑われるだけだ。


 だから今日の朝も、僕の言った事にお父さんもお母さんも笑ってた。


 でも違うんだ。


 だって登校中に、後ろからついてきてるのが分かるから。


 小学校が見えてきたけど、校門の前にたくさんの人と車があって入れない。


 今日は学校はお休みだから帰りなさい、って言われたので僕はそのまま家に帰ってきた。


 ……あれ?


 お母さんの靴の隣にお父さんの靴がある。お父さんも会社がお休みになったのかな?


「ただい――」






 言いかけた言葉は、僕の後をずっとついてきた『バケモノ』のせいで最後まで言えなかった。

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