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道に横たわるモノ
――私は砂利道を歩いていた。
見上げた空は赤く、何か黒いものが飛来している。
……背後から音が聞こえたので振り向くと、軽トラックが近付いて来る所だった。
私は道の脇に移動する。
足元で、蓙が、がさり、と音を立てた。
――蓙?
蓙は、何かを覆っていた。
その膨らみは、何処かで見た事のある形をしている。
そしてそれが何なのか、私は知っていた。
……それを見てはいけない。
そう思っているのに、私の手は蓙に触れていた。
蓙を捲る。
――蓙の下には人が横たわっていた。
黒くなった、元、人間が。
焼かれたのだろうその身体は、赤い部分が黒い部分からはみ出していた。
焦げた皮膚。
熱された筋肉。
溶けた脂肪。
――先程の車が、急に炎上した。
見ると、あちこちで火の手が上がっている。
音がして、私は空を見上げた。
黒いものが。
おちてくる。