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相似の条件

残酷描写があります。

 ――私達って似てると思わない?




 彼女は私にそう言った。


 そうだろうか、と私は思う。


 私と彼女は歩いている。


 彼女の家へと歩いている。


 彼女の家へ近付く。


 家の外で、執事らしき老人がこちらを見て礼をした。


 かちゃり、と玄関の扉が開く。


 お母さん、と彼女は玄関から出てきた女性に言う。


 私達、似てるでしょう?


 彼女は言う。


 虚ろな目で、彼女の母親は私を見る。


 ……そうね、とだけ言い、彼女の母親は家の中へと入っていった。


 何故か嬉しそうに、彼女も家の中へ入っていった。


 ――と。


 彼女の母親が、また玄関から現れた。


 何か奇妙なモノが私の視界に映り、そちらに私は視線を移す。


 彼女の母親は――包丁を持っていた。


 あの娘は二人もいらないの。


 そう言って、右手にあるソレを、私に向けて振り上げる。


 私は反射的に避け、逃げ出した。


 しかし、すぐに追い付かれ、目前に刃が迫る。


 ――死ぬ。


 と思い目を瞑ったが。


 めきり、という奇妙な音に、私は目を開けた。


 ……私の手が包丁を奪い、彼女の母親の腕を切断していた。


 無意識、なのだろう。


 無意識に、私は彼女の母親を打ち据える。




 腕を折る。


 切断する。


 解体する。




 ……何故、私は、彼女の母親を肉塊にしているのだろう。


 頭では異常だと思っているのに、行動を止める事が出来ない。


 ――視界の隅に、老人が映った。


 貴女は狂っている。


 そう言って、老人が、鎌を持ち、私に迫る。


 だが、私は鎌を奪い、老人にも刄を振るう。


 目の前が、朱に染まる。


 私は、何故、こんな事を――。


 かちゃり、という音に私は視線を向ける。


 彼女が家から出てきた。


 笑みを浮かべ。


 右手に包丁を持った彼女が。


 ――あぁそうか、と私は納得した。


 私と彼女は確かに似ている。




 ――包丁と鎌を持ち、私は彼女へと近付く。


 彼女と同じ笑みを浮かべながら。

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