夏恋
忘れられない人がいます。
茶色の髪と、右耳のピアスが印象的な男の子です。
何年も前、夏休みの間だけ一緒に過ごしました。
優しくて、大人っぽくて、爽やかに笑う。
まるで、雨上がりの空みたいな人でした。
きっとあれが私の初恋で。
そして、もう二度と、あんなに人を愛することはできない。
そんな風に思ってしまうほど、素敵な人でした。
彼は、夏休みが終わる頃に都会へ戻っていってしまったけれど。
今でも、ふとしたときに思い出してしまうのです。
彼の姿を探してしまうのです。そして、願ってしまうのです。 どうか、彼が約束をおぼえていますように、と。
……もう会えないことは、知っているのに。
それでも私は、雨上がりの青空に思ってしまうのです。
もう一度、葵くんと笑い合えますように、と。
* * * *
忘れられない人がいる。
何年も前の夏休み、親の都合で預けられた親戚の家の、隣に住んでいた女の子。
綺麗な黒髪と、大きな目が印象的だった。すこし儚げで、大人びていて、綺麗に笑って綺麗に泣いた。
まるで、夕焼けに染まった空みたいな人だった。
あれは俺の初恋で。
俺にいろんなことをおしえてくれた。
あれから何年も経ったのに、彼女以上に好きになれる人なんていなくって。
もう一度、隣にいきたいと思ってしまう。それほど愛した人だった。
俺は、夏休みが終わる頃に、都会に連れ戻されてしまったけれど。
今でも、ふとしたときに思い出す。電車にのっているとき、仕事をしてるとき、彼女の面影を探してしまう。
そして、願ってしまうのだ。
もう一度、会えたらと。
隣で笑い合えたなら、と。
もう俺は、君を連れていける力がある。
君が約束を覚えてくれているなら、今すぐにだって迎えに行くだろう。
……なんて、覚えてるはずないんだけれど。
それでも俺は、夕焼け空に願うんだ。
もう一度、茜と会えますように。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
二人の人を登場させてみました。
後で続きというか、夏休みの話というかそんな感じのをあげるつもりです。
この話はその話のプロローグ的な感じです。
夏っぽく!と思って書いてたのにあんまり夏がでてこない…あれ?笑
なにはともあれ、ここまで読んでくださりありがとうございました。