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ワールド・イズ・マイン!(後)


「あれ・・・確かここに。」


ズボンのポケットの中を確かめる京介。

京介の服装は黒のぴったりとしたジーンズに、白いシャツと元の世界にいた時の服装と変わりはない。細いうえに高い身長と着る服を選んでしまうことが京介の悩みでもあった。


「あったあった。」


結局シャツにある胸のポケットから取り出されたそれは、スマートフォンだった。電源ボタンを押しスリープモードから復帰させる。パネルが淡く光をともす。


「キョウスケ様それは、魔道具ですか?」


「いや、これは基本は遠くの人と連絡を取り合う道具さ、他にもいろんな情報を集めたり管理できるアイテムなんだ。」


「奇跡の力ですね!?」


目を輝かせるユニ。


「いや違うから・・・。」


パネルを操作しながらげんなりする京介。


「あ、これこれ。」


京介が「モモsiri」と書かれたアプリをタップする。


『こんばんは、キョウ様。』


甘ったるい女の声が挨拶をする。パネルの中ではやたらと色気のある秘書の格好をした女性のイラストが動いている。彼女の名前はモモ。ヒップラインがチャームポイントの専属秘書という設定のキャラクターだ。「モモsiri」は京介がいた世界ではやっていた秘書アプリで、男性の「一生で一度はエロい秘書を囲いたい」という夢をバーチャルではあるが実現した、神アプリとして圧倒的人気をはくしていた。


『キョウ様の今日のご予定は。19時から合コン、明日も合コン、明後日も合コンでございます。そうそう昨日も合コンでしたね。少しは勉学に励んではいかがでしょうか?あ、あれですか、性教育ですか?それであればキョウ様はたいそう勉強熱心でございますね。まったく将来が楽しみです。末は博士か大臣か。私も鼻が高うございます。よ、エロ博士、エロ大…プ。』


「・・・・・。」

「・・・・・。」


「モモsiri」はそのふざけた設定とは裏腹に非常に優れた性能を有していた。スマフォに蓄積されたメールや検索エンジンなどの情報を元に成長していく独自のAIは人間と軽いコミュニケーションをとれるまでになっていた。京介の友人にはこれにはまりすぎて自分のモモと結婚すると言いだした者までいる。


「さてと。」


京介は冷めた空気を完全にスルーする。


「き、奇跡の力ですね!?」


ユニの気遣いが痛い。


「そ、そうだ。これからもっとすごいものを見せてやるゾ!」


照れ隠しなのか、テンションが妙なことになっている。


「よ、よし始めるぞ。」


スマフォを握る手に力を集めて行く。光が溢れだす。まず、創造するのは知性。先ほどの秘書アプリをベースに知性を底上げし、人格と呼んでも遜色のないAIを作り上げる。そしてもう一つ、新たな姿。京介の手から光が消えると、その手のひらの上には先ほどのモモと同じ顔を持つ小さな妖精がいた。いや、妖精というには少し禍々しい。何しろ羽は蝙蝠のような羽であるし、お尻からは矢印型のしっぽ。手のひらサイズながらも妖艶なスタイルも相まって、さながらサキュバスのようだった。


「うーん。」


悩ましげに体を伸ばし、モモが目を覚ます。


「おはよう、モモ。」


京介が語りかける。


「おはようございます。キョウ様。今日の予定は19時から…」

「もういい!!」

「あら、珍しい。合コンよろしいんですか?」


いたずらっぽく軽口をたたく。京介の魔法は良くも悪くも成功していたようだ。


「キョウスケ様すごいです!使い魔を使役できるなんて、高位の魔法使いにしかできないことですよ!!」


目を輝かせるユニ。どうやら先ほどのマイナス分は取り返せたようだ。しかし、


「使い魔ですって?私は秘書よ。奴隷なんかのあなたとは違うの!!」


モモはユニの言葉に気分を害した。


「え、あ、すいません。」


モモの剣幕にたじろぐユニ。


「やめろ、モモ。ユニにはこれから役に立ってもらうんだから。」

「・・・そうね。ふふふ。楽しみだわ・・・。」

「え、な、なんですか?」

「それは後でのお楽しみ。モモ、パネルオープン。」


パチンと京介が指を鳴らす。


「かしこまり~」


モモが手をかざすとスマフォのパネルのようなものが空中に映し出される。


「まずは情報の検索だよな~。」


言いながらスマフォのパネルをタッチし


「検索ソフトダウンロード」


創造魔法で作ったアプリをモモにダウンロードする。パネルには「グルグル先生」というアイコンが生まれている。


「さて、アプリはOK。後はプロバイダだな。ユニ出番だぞ。」

「うあ、はい、なんでしょう?」

「お前にはこの世界にアクセスするための入口になってもらう。」

「大丈夫ちょっとチクってなるだけだから・・・。」


あやしい笑みを浮かべてユニにすり寄るモモ。矢印型のしっぽがゆっくりと揺れている。


「ま、まさか!?いや!」


逃げ出そうとするが、京介の隷属の魔法が効いていて体が動かない。


「あ!!」


言葉はむなしくモモのしっぽがユニの額に突き刺さる。


「あんまり動かないでね。あんまり動くとすぐイっちゃうんだから。」


なぜか恍惚とした表情でモモは尻尾使い、ユニの頭から情報を引き出す。そしてその情報をきっかけにユニと近しい関係にあった人物をリストアップしていく、さらに魔力を介して人と人とのつながりをネットワーク化していく。ユニの友人から、友人の友人へと情報の網を広げていくのだ。世界からユニは忘れられてしまったが、ユニは世界を覚えている。一方的な世界のアクセスにこれ以上適したものはいない。


「世界検索完了。」


10分くらいしてユニの頭から尻尾が引き抜かれる。崩れ落ちるユニ、無理もない頭の中の情報をひっかきまわされたのだ。下手したら気がおかしくなっていても仕方がない状況だ。


「終わったわ。入口があの子しかいないから完璧じゃないとは思うけど。」

「いやいや。上出来だよ。情報を制する者が世界を制する。無責任なこの世界住人にも、身勝手なくそ神にもひと泡吹かせてやるぞ。ふふ。ふははは。」


夜の森に京介の笑い声が響き渡る。そして夜空を指さし、京介は宣言する。


「俺は絶対元の世界に帰ってやるからな!」


・・・あれ?錬金じゃないね?でも、なんか生み出した感じだしよしとしよう。うん。それより話が進んでないね。まあ、こんな作者ですけど気長にお付き合いください。


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・・・そろそろ感想とかほしいなw

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